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ニュース 掲載日:2019/02/01

『中国・東南アジア・インドの求人・求職者動向レポート 2018年10‐12月期』:リクルート

株式会社リクルートホールディングスのグループ会社であり、アジアを中心に人材紹介事業を展開するRGF International Recruitment Holdings Limited(本社:香港、Chairman:葛原孝司)は、このたび、2018年10‐12月期の中国・東南アジア・インドにおける日系企業を中心とした求人・求職者の動向をまとめました。

 

■中国大陸
米中貿易摩擦の影響は残るものの、医療機器業界の求人動向に新しい兆しも。

・当社で取り扱う日系企業を中心とした10-12月の求人数は2,057件で、前年同期比ほぼ横ばい(2,066件)。

・米中貿易摩擦が一時停戦となったものの、状況が好転するかは不透明であり、足元の業績の好不調にかかわらず、企業が人的投資を含めた投資に対して用心深くなっている状況が続いている。

・業界別にみると、これまで求人案件数の増加をけん引してきた製造は前年同期比で3%の減少、商社/貿易は横ばいとなった。製造業界の求人案件数の減少要因としては、米中貿易摩擦が設備投資意欲の減退と中国国内需要の鈍化につながったことが挙げられる。

・新しい兆しとしては、医療機器業界の求人案件数が増加したことが挙げられる。医療機器は景気に左右されにくく、成長が続いている市場である。品質の高さという観点で中国国内でも日系企業が評価されている分野であり、今後も求人は増加していくと思われる。

・日系企業からは、日本人の若手人材を募集する求人が多いが、20代日本人求職者の数が限られており、企業間の人材獲得競争が激化している。そのため若手人材の給与相場も少しずつ上昇傾向にある。

○転職事例:医療機器登録専門スタッフ(現地人材)/日系・医療機器企業/20歳代前半/約8.2万中国人民元(年収)

 

■香港
小売業界の香港市場参入に伴い、マーケティング職の求人案件が増加。

・香港の転職市場は、クリスマス休暇や香港特有の年末手当(ダブルペイ)、ボーナス支給前というタイミングが重なり転職者数の動きは落ち着いていた。

・業界別にみると、製造業や金融業は一定数の募集が1年通じて出ており、10-12月期もその状況は継続した。その中で10-12月期に特に求人が増加したのは、商社や製造業の営業職。営業部門では現地の人材も積極的に採用しながら機動力を確保しており、日本語力を必要とする営業職および営業アシスタントの募集が増加した。

・また、2019年の人員計画を見越した採用活動も始まっている。小売業界の企業が市場拡大のために香港市場に進出するケースが増えてきており、語学不問で、業界の事情や香港マーケットに精通している人材の採用が進んでいる。特にマーケティング職の求人案件数が増加した。

○転職事例:日系企業担当営業および総務責任者(現地人材)/日系・商社/30歳代後半/約31.5万香港ドル(年収)


■インド共和国
日系自動車関連企業の求人に加え、小売、飲食、サービス業の新規進出に伴う求人が増加。

・例年通り、ディワリ(インド暦の正月)の前後で離職者が増加し、欠員補充が発生する影響から、求人案件数は増加。

・全体の転職市場の傾向としては、日系企業のインド進出に関連する求人が多く見られた。インド進出する日系企業は、例年自動車業界を中心とした製造業が多いが、この時期は自動車業界に加え、小売、飲食、サービス業の新規進出関連の求人が目立った。理由としては、年々インドに進出する日系企業数が増加し、それに伴い日本人が増加していること。また、日系企業から見てインド市場がB to Cビジネスにおいてもネクストマーケットとして認知されてきていることが挙げられる。

・日本人採用の需要では、経理、人事、経営企画など、バックオフィスの求人が目立った。主な理由としては、現地に根付いたより安定した組織作りを考える日系企業が増えており、日本本社からの出向者から現地採用社員への切り替えを検討する企業が増加しているため。しかし一方で、インドでの現地採用を希望する日本人求職者は諸外国と比較してまだ少なく、給与額も企業の提示額と求職者の希望に乖離があるため、採用難易度は高い。

〇転職事例:営業(日本人材)/日系・製造業(産業機械)/20歳代前半/約270万円(年収)


■インドネシア共和国
金融業界や日本人駐在員向けの住宅サービスに関連した求人が増加。

・インドネシアの転職市場は、例年通り、ボーナス支給前となる年末は企業側、求職者ともに大きな動きはなく落ち着いていた。大統領選を今年の4月に控え、企業は投資や外国人雇用をはじめとする各種規制見通しがより難しくなっており、大規模な増員をする動きは見られなかった。

・業界別にみると、金融業界では、インドネシアの豊富な人口と成長余地のある自動車普及率等を背景とした消費者向けローンが注目され、企業間のマーケットシェア獲得競争が激しい。そのため営業力強化やオペレーション改善など、ローカライズのための採用ニーズが増加している。

・また、日系企業のインドネシア進出を受けて、日本人駐在員が増加。駐在員家族のため、工業団地エリアで第二の日本人学校の開校が控えており、同時に日本人向け住宅サービス業界の求人が増加している。

・日系企業のニーズに比べて、ビジネスレベルの日本語を話す求職者が不足しており、企業間の人材獲得競争が激化している。

〇転職事例:営業(日系人材)/日系・金融サービス会社/20歳代後半/約5億インドネシアルピア(年収)


■シンガポール共和国
サイバーセキュリティ分野の採用ニーズが継続して増加傾向。

・例年10-12月期はボーナス支給や年末年始の長期休暇を控えているため、求職者および企業側の採用の動きは落ち着いている。

・日系・外資系企業問わず、フィンテック事業のセキュリティに対する意識の高まりによって、昨年夏以降顕著に伸びてきたサイバーセキュリティ分野の求人案件数は引き続き増加。2017年と2018年を比較すると、求人案件数は500%以上増え、求人倍率も2~3倍と他業種に比べ高い。そのため各社間で人材獲得競争が激化し、2017年比較で同じ求人内容の給与が最大40%上昇するケースも出てくるなど、給与額の高騰が見られる。

・日系企業の動向を業界別に見ると、中堅・中小規模のコンサルティング・アドバイザリー企業で即戦力となる日本人の採用意欲が旺盛。日系企業の進出・事業拡大に伴うM&Aが背景。IT業界では、SIerなどもプロジェクトの増加に伴い、現地のIT人材の採用が活発化している。

〇転職事例:システムエンジニア(現地人材)/日系IT企業/30歳代後半/約700万円(年収)


■タイ王国
サービス業の新規参入や自動車業界の堅調な伸びを受け求人が増加。

・例年日系企業は12月にボーナス支給を控えているため、求職者および企業側の採用の動きは落ち着いていた。

・日系企業の動向としては、前期(7-9月期)に引き続き、小売を中心としたサービス業の新規進出・事業拡大が進んでおり、市場拡大のためのマーケティングや営業に関連した求人案件数が増加している。

・またタイには日系の自動車関連企業が集中しており、自動車メーカーと関連するサプライヤー企業を中心に常に一定の採用ニーズがある。最近では自動車業界全体の堅調な伸びに加え、自動車の電子化の加速に伴った、電子部品関連の求人案件数が増加している。

・東南アジアの中でもマーケットが大きく、政府の税制優遇施策や地理的な利便性を理由に、シンガポールや中国からアジアの本社機能をタイへ移管する動きが近年増えている。そのため管理部門系の人材を中心にマネージャークラス以上の採用ニーズが高い。

〇転職事例:GM候補(日本人材)/日系・自動車部品メーカー/40歳代後半/約135万タイバーツ(年収)


■ベトナム社会主義共和国
引き続きサービス業や消費財メーカーを中心とした日系企業のベトナム進出が加速。

・春節休暇後の最盛期と比べるとやや落ち着いたものの、引き続き採用需要高のマーケットは続いている。日系、韓国系企業を筆頭に多くのFDI(海外直接投資)が続いており、企業間の人材獲得競争が激化している。

・業界別にみると、2017年から日本人駐在員増加に伴い、レストラン、商業施設、教育需要が高まっており、サービス業の進出が加速しているが、その傾向が2018年も続いた。またサービス業の増加に伴い、消費財メーカーの取引量も増加。これまでベトナムに拠点を構えていなかった日系企業が続々進出しており、企業立ち上げに必要となる会計、法律、人事コンサルタントの需要高がみられる。

・一方、求人案件数が増加する中で、求職者の動きは年末にかけて鈍化。テト(旧正月)明けまで転職活動を控える現地の求職者が多かった。また、引き続き給与交渉における希望額との乖離がみられ、非日系企業との人材獲得競争の難易度が高まっている。

〇転職事例:営業マネージャー(日本人材)/日越合弁・物流企業/30歳代/約280万円(年収)

 

本件に関するお問い合わせ先

 

◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社リクルート http://www.recruit.jp/ /1月31日発表・同社プレスリリースより転載)

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