第1四半期に全体的に増加した求人が、第2四半期になり一服した国々と好調な国々と、二分した結果に~『アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向』(2018年4月~6月):JACリクルートメントグループ
世界10ヵ国で人材紹介事業を展開し、東南アジアでは最大級の規模(※1)を誇る株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役社長:松園 健)は、この度、2018年第2四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向をまとめましたので、お知らせいたします。
(※1) 自社調べ (アジアで人材紹介事業を展開する同業他社の売上規模を比較)
【サマリー】
・第1四半期に全体的に増加した求人が、第2四半期になり一服した国々と好調な国々と、二分した結果に
・中国ではハイテク関連、半導体関連などの求人増により対前期比116%、対前年四半期比131%
・韓国では半導体の輸出により関連の求人依頼が増加し、対前年四半期比で121%
・ベトナムではFinTech、AI(人工知能)など、IT関連の求人依頼が増加し対前年四半期比で308%
■■マレーシア■■
前期比で増加した第1四半期の反動で第2四半期の求人は減少したものの、
高度人材やマネジメント人材のニーズは引き続き底堅い動きが続く
【求人数】
対前年四半期比 88%
対前四半期比 88%
JAC Recruitment マレーシア法人社長 大西 信彰
5月9日に実施されたマレーシア議会下院選挙(定数222)は、マハティール元首相が率いる野党連合が過半数を超える113議席を獲得し、1957年の独立以来初の政権交代が実現。政権発足後、GST(物品・サービス税)の撤廃、大型インフラ事業の計画見直しなど10の公約を着実に実行しています。6月にVistage-MIER(マレーシア経済研究所) が発表したCEO Confidence Index(経済動向信頼感指数-CEO回答数は614)によると、第2四半期は106.9ポイントとなり2017年第2四半期の89.6と較べ17.3ポイント増加と、楽観視していることが伺えます。(DI指数に100を加えた指数)
■■シンガポール■■
シンガポールにおける実質経済成長率が増加
雇用は現地のローカル人材を優先する傾向に
【求人数】
対前年四半期比 99%
対前四半期比 91%
JAC Recruitment シンガポール法人社長 早瀬 恭
シンガポールの政労使の代表で構成される全国賃金評議会(National Wages Council)が5月末に発表され、シンガポールにおける実質経済成長率は2017年実績3.6%(予測1-3%)で2016年の2.4%よりも増加し、2018年予測は2.5%~3.5%となりました。消費者物価指数(CPI)は2017年0.6%(予測:0.5-1.5%)と2016年まで2年続いたマイナスから脱却。2018年の予測は0%~1%で実質賃金、生産性ともに増加しています。
賃金評議会のガイドラインでは、引き続き低賃金所得者へのベースアップ($1,200以下のスタッフへの賃上げ実施)、高齢者雇用促進(一定の条件を満たした採用を行った場合の補助金制度延長)をしつつ、今年から、仕事に復帰する女性への雇用促進(フレキシブルな労働条件の導入、家庭に優しい職場環境整備)を図る項目が追加されました。
■■タイ■■
第2四半期は景況感が改善。採用動向は横ばいだが堅調な状況
引き続き売り手市場が続く
【求人数】
対前年四半期比 85%
対前四半期比 93%
JAC Recruitment タイランド法人社長 山下 勝弘
新車の販売台数が直近のピークであった2012~13年の水準に戻りつつあり、タイでは多くの日系企業が影響を受ける景況感の指標が概ね改善傾向で、近年の中では好調な景況感であると言えます。また、政治面では来年にクーデター後の再民主化を控え、さらなる景況感の改善が期待されるものの、一方で計画通りには物事が進まないことも多く先行きは不透明な状態です。
■■インドネシア■■
レバラン(断食明け祭)などの影響で全体的に求人は減少したものの、
インフラ、建設業では採用に積極的
【求人数】
対前年四半期比 88%
対前四半期比 93%
JAC Recruitment インドネシア法人社長 小林 千絵
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領の任期最後の年であり、実績を残すためにさまざまな改革が急ピッチで行われています。地方の開発も課題ですが、各地の空港で改良目的の整備が進められています。8月にジャカルタでアジア競技大会が開催されることもあり、ジャカルタ市内では道路や歩道の工事、競技会場の改築などの工事が行われています。インドネシアは4,000を超える法令があると言われ、外資系企業の進出や業務拡大にも各省庁への申請などのプロセスに時間を要していましたが、6月末にすべて手続きをオンライン化し簡素化するという新規定を出しました。書面で申請中の案件をすべて保留し、その準備に入ったことを早急すぎるという声もありますが、一方で評価する声もあがっています。ルピア安が続き、企業やビジネスの現場ではさまざまな調整を迫られていますが、政府のスピーディな動きによる景気の回復が期待されています。
■■ベトナム■■
好調な経済成長にともない、労働市場も活況な状況に
【求人数】
対前年四半期比 308%
対前四半期比 78%
JAC Recruitment ベトナム法人 ディレクター Le Thuy Dieu Uyen(レー・トゥイ・ユー・ウィン)
ベトナム統計総局の発表によると、2018年上半期の国内総生産(GDP)実質成長率(推定値)は7.08%増となりました。第1四半期の成長率は7.45%増に比べ第2四半期は6.79%とやや鈍化したものの、上半期では2011年以降最高値を記録しました。産業別のGDPは、農林水産業が3.93%増加、鉱工業・建設業が9.07%増加、サービス業が6.9%増加しました。成長が著しかった鉱工業・建設業の中でも、製造業は13.0%増加し、過去7年間で最も高い伸びとなりました。サービス業も過去最高値となり、卸売業と小売業は8.21%増(昨年同期比)と成長に貢献しました。なお、財政関連の銀行や保険業は7.58%増、ホテルと飲食業は7.02%増、運送倉庫業は7.67%増、不動産業は4.12%増となりました。
■■中国(上海・広州)■■
第1四半期に引き続き企業の採用意欲が高く、前年同期比、前期比共に増加
【求人数】
対前年四半期比 131%
対前四半期比 116%
JAC Recruitment 中国法人社長 蓮子 哲也
7月、中国国家統計局は中国の2018年4月~6月の国内総生産(GDP)の実質成長率を6.7%とし、若干減速傾向にあると発表しました。アメリカとの貿易摩擦の影響や、スマートフォン向けの電子機器への設備投資が落ち着きをみせた中、IT、AI(人工知能)や半導体などのハイテク関連、自動車領域は依然好調です。昨年から広東省政府は外国人の就業関連の方針を頻繁に発表しており、高度な専門知識、技術を有する人材の就業支援を強化していく方針です。その反面、職能レベルが一般よりも低い外国人の就業許可の取得が困難になることが懸念されており、外国人への優遇面で差が出てくることが考えられます。
■■香港■■
第2四半期は活況だった春節(旧正月)以降の活況な状態から落ち着きを見せる
【求人数】
対前年四半期比 99%
対前四半期比 117%
JAC Recruitment 香港法人社長 蓮子 哲也
現在、香港では広東省の9都市に香港とマカオを加えた11都市で構成される一大経済圏構想のビックベイエリア構想が注目されています。中国大陸と香港を結ぶ鉄道も整備が進み、香港~マカオ~珠海を結ぶ海上橋もかかり、開通が目前に迫っています。香港証券取引所に上場する6割の企業は中国企業で、引き続き高騰する不動産価格も中国大陸からの資金流入の影響が大きいと言われており、今後この構想が進むにつれてその影響度はますます高まると考えられており、香港経済が今後どのように変化していくのか動向が注目されています。
■■韓国■■
半導体関連企業が好調
日本企業が日本で勤務できる韓国人技術者を採用する動きも
【求人数】
対前年四半期比 121%
対前四半期比 90%
JAC Recruitment 韓国法人社長 土山 雄一郎
韓国では7月1日から週52時間労働制が開始されました。これは文在寅政権の雇用政策の柱の一つであり、雇用創出及びワークライフバランスの向上を目指す目的です。また、先月の「統一地方選と国会議員補欠・再選挙」は与党圧勝となり、議席数を伸ばしたことで今まで以上に国政基盤が安定する見込みです。ただし、統計庁によると5月失業率は4.0%と悪化しており、特に若年層の失業率は10.5%と非常に厳しい結果となり、国民(特に若い世代)から改善が求められています。
■■インド■■
高額紙幣廃止やGST(物品・サービス税)導入の影響が薄れ始める
【求人数】
対前年四半期比 140%
対前四半期比 83%
JAC Recruitment インド法人社長 筧 裕樹
2016年11月に実施された高額紙幣の廃止や、2017年7月のGST(物品・サービス税)の導入により経済の先行きに不透明感が増したことが影響し2017年にインド経済は一時停滞しましたが、その影響も徐々に薄れ、直近の2017年度第4四半期(2018年1~3月)のGDPは7.7%成長と順調に回復しています。2018年においてはさらなる景気回復を見込んでおり、GDPは7.0~7.5%と予測されており、2015年(7.6%)、2016年(7.1%)と同水準に戻る見込みです。
■■日本■■
足元の景気は堅調、高度な専門人材は獲得競争が一層熾烈に
【求人数】(日本企業の海外事業関連求人)
対前年四半期比 112%
対前四半期比 119%
JAC Recruitment(日本) 海外進出支援室 室長 佐原 賢治
厚労省が発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.60倍と、依然として1990年以降の最高水準で高止まりしています。株式市場は米中の貿易摩擦や新興国リスクを嫌気し弱含みですが、2018年3月期は最高益を更新した企業が相次ぐなど足元の景気は堅調です。特に、FA(Factory Automation、工場の生産工程の自動化を図るシステム)機器やロボットを中心とした機械、ASEANでの市場が回復基調にある自動車関連で好調な企業が目立ちます。一方、米中問題に加え、アップル社によるスマートフォンの減産や、中国における建機需要の減退などから、2019年3月期の業績見通しには保守的な企業も目立ちます。
※各国の求人数の増減については、その国々の景況感による変動や各国が講じた戦略(高額帯年収の求人やスペシャリスト層求人に特化など)により、意図的に減る場合もございます。そのため、求人数の増減は直接各国の業績に結び付くものではありません。
<当プレスリリースに関するお問い合わせ>
株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント 広報室 後藤
(電話:03-5259-6926 email: press@jac-recruitment.jp)
◆ 本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント http://corp.jac-recruitment.jp/ /7月30日発表・同社プレスリリースより転載)