第4次産業革命に求められる、価値創造型のIT人材の資質は、従来の課題解決型のIT人材に求められる資質とは異なる~「IT人材白書2018」を発行:情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田 達夫)は2017年度IT人材動向調査を実施し、「IT人材白書2018」として発行しました。同調査はIT人材育成施策に必要となる基礎データの収集やIT人材の育成に関する動向や課題等について、とりまとめたものです。
IPAでは2008年から毎年、IT人材を取り巻く環境や動向などを把握することを目的として調査を実施し、「IT人材白書」として取りまとめています。
「IT人材白書2018」で、明らかになったのは以下の3点です。
(1)第4次産業革命(*1)に求められる、価値創造型(*2)のIT人材の資質は、従来(課題解決型(*2))のIT人材に求められる資質とは異なること。
(2)人材の“質”不足の緩和(質向上)には、知識や経験を得やすい企業文化・風土が強く関係しており、効果があること。一方、企業文化・風土と人材の“量”不足の関係性は、“質”ほど明確ではないこと。
(3)企業文化・風土を醸成させるにはモチベーション向上のための施策が有効であること。
これらのことから、第4次産業革命・デジタル化に向けた人材の“質”の変革や不足の緩和には、モチベーション向上のための各種施策が一定の効果をもたらすと考えられます。上記の示唆が導き出された調査の結果は次のとおりです。
1.IT企業におけるIT人材の“量”に対する不足感で「大幅に不足している」と回答した割合は過去最多で、29.5%、“質”の不足は29.7%で、過去最多の2008年の32.4%に次ぐ結果。
2.従来とは異なる、第4次産業革命において求められるIT人材(価値創造型)の“質”。
“質”が「大幅に不足している」と回答したIT企業の実務者層に不足している“質”を聞いたところ、「価値創造型」と「課題解決型」で顕著な差が見られたのは、以下の5つでした。
3.「社内の風通しが良い」「自社のビジョンや価値観が従業員に行き渡っている」などの、企業文化・風土が当てはまる割合が総合的に高い組織では、IT人材の“質”の不足感が緩和されている。
したがって、第4次産業革命・デジタル化に必要な“質”を備えた人材の育成・確保にも企業文化・風土の醸成が役立つと考えられます。
4.一方で、図5を見ると、IT人材の“量”の不足感と、企業文化・風土はそれほど関係性は明確ではない。
これまで“質”と“量”の不足感の経年変化は連動した動きをするとみなしていました(図1、2)。しかし、「企業文化・風土と“量”の不足感の関係」を見ると、“量”と“質”は必ずしも連動した動きをしていないことがわかります。
5.モチベーション向上に関する施策が企業文化・風土の醸成に有効。
<脚注>
(*1)IoTやビッグデータ、人工知能(AI)などの急速に発展するデジタル技術を用いて、新たな付加価値を生み出す社会変革、技術革新。
(*2)IT人材がかかわる事業/業務を、その特性により「価値創造型」と「課題解決型」の2種類に分類した。定義の詳細は別紙の表1参照。
(*3)設問への回答を点数化し、企業ごとに合計点を計算したものを“風土点”とした。
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(独立行政法人情報処理推進機構 http://www.ipa.go.jp/ /4月24日発表・同社プレスリリースより転載)