健康経営のカギは従業員のヘルスリテラシー?
健康への関心が高まる中、「ヘルスリテラシー」をいかに高めるかが注目されている。ヘルスリテラシーとは、健康に関する情報を正しく理解し、効果的に利用する力を指す。
健康経営の一環として、従業員のヘルスリテラシー向上に取り組む企業も増えている。花王では、「ヘルスリテラシーの高い社員を増やす」ことを健康経営の目標に設定。内臓脂肪をマーカーとした生活習慣測定会や、しっかり食べても太りにくい食事の「質」に関するセミナーなどを実施している。また、SCSKでは全社員を対象に、健康に特化したe-Learning研修を実施。部課長クラスには集合研修も実施している。2016年度の受講率は全従業員の96%にのぼり、従業員の「ヘルスリテラシー」の向上へとつなげている。
日本とEU8ヵ国(オーストリア、ブルガリア、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、オランダ、ポーランド、スペイン)のヘルスリテラシーを比較した調査(※)によると、「気になる病気の症状に関する情報を見つけるのは難しい」と回答した割合は、EUで22.8%、日本では46.1%。「医師に言われたことを理解するのは難しい」と答えた割合も、EUの15.3%に対して日本では44%と、日本人のヘルスリテラシーの低さが浮き彫りとなった。
健康や病気に関する情報を正しく理解することで、病気の予防や早期発見にもつながる。従業員が長く健康に働くためにも、ヘルスリテラシーの向上にむけた、企業のさらなるサポートが求められるだろう。
※European Health Literacy Survey Questionnaire 、HLS-EU-Q47
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-015-1835-x
(『日本の人事部』編集部)