4割以上の企業が、社員の介護問題への支援を人事労務管理上の重要課題と位置づけ。7割弱が社員の実態把握に取り組む~『介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果』:日本経済団体連合会
一般社団法人 日本経済団体連合会は、1月16日、『介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果』を発表しました。
【介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果】(抜粋)
1.社員の介護問題への支援に関する考え方
4割以上の企業が、社員の介護問題への支援を人事労務管理上の重要課題と位置づけている。
2.社員の介護をめぐる状況の把握
(1)介護離職者数の把握
介護事由による離職者数の把握に取り組んでいる企業はおよそ7割で、その方法としては、人事 部門等への社員からの申し出や、職場の上司による聴取が多い。
離職者本人が話しづらい場合があることなどを想定し、「退職願の中の介護に関する項目への記述」により把握している企業も2割強あった。
(2)介護に直面している社員の数や状況、ニーズ等の把握
介護に直面している社員の実態把握に7割弱が取り組んでおり、介護の状況のほか、自社の支援制度・働き方等や仕事との両立に向けた上司・同僚への要望を確認 している企業が多い。
把握方法のうち、アンケート調査を特に効果的と考えている割合が高く、「全社員対象」と「対象者限定」のいずれも、実施企業の約7割が効果的と回答している。
(3)介護に直面した際の会社への早期申し出に関する働きかけ
介護に直面した際に、早期に会社に申し出るよう社員に働きかけている企業はおよそ7割に達し、その主体は人事部門であることが最も多い。
4.介護に直面した社員が仕事と介護を両立できる職場づくり
(1)経営トップからのメッセージ発信
仕事と介護の両立に関して、経営トップからメッセージを発信している割合はおよそ3割にとどまり、4割弱が検討中となっている。
(2)部下が介護に直面することを想定した管理職教育
管理職教育に取り組んでいる企業(37.6%)の多くが、部下から介護に関する相談があった際の対応として、「部下の希望する働き方の確認」「両立支援制度等の紹介」「介護と両立できるよう支援する旨を伝えること」を実施するよう周知している。
(3)管理職が介護に直面した場合の業務体制の維持に向けた取組み
管理職が介護に直面した場合に、業務体制を維持できるよう取組みを進めている企業
(35.0%)では、約7割が社内制度の柔軟な運用により業務体制の維持を図っている。
(4)両立支援制度の整備
[1]介護休業制度
8割以上の企業が育児・介護休業法(以下、法律)を上回る介護休業制度を整備している。大半が最長期間(93日)を延長、3回を超えた分割取得も約半数が可能としている。
直近3年程度の利用者数は「横ばい」(73.5%)が最も多く、「増加」と「その他(利用実績なし等)」がいずれも12.0%であった。
[2]介護休暇制度
介護休暇を法律を上回る内容に拡充している企業は約半数で、その内容として有給での休暇と回答している企業がおよそ8割と最も多い。
直近3年の利用者数は「急激に増加」と「増加」を合わせると3割を超え、介護休業制度と比べると増加傾向にある企業が多い。
[3]選択的措置義務
法律で定める選択的措置義務(※)について、法律を上回る内容に拡充している企業は8割超。
大半が二つ以上の措置を導入しており、短時間勤務制度とフレックスタイム制度を併せて導入している割合はおよそ7割に上る。短時間勤務制度とフレックスタイム制度を併せて導入している企業は69.5%〔66社〕
※選択的措置義務...短時間勤務制度、フレックスタイム制度、時差出勤、介護サービスの費用助成、その他これに準ずる制度のいずれか一つを事業主が選択して措置
[4]法律で規定されている項目以外の制度
介護を事由とした休暇、転勤等についての配慮、在宅勤務・テレワークの導入割合が高い。
在宅勤務・テレワークと、短時間勤務制度・フレックスタイム制度と併せて導入している企業は、回答企業全体の約4割であった。
【調査概要】
1.調査目的
介護を事由とした社員の離職の予防に関する主な取組みとして、以下の(1)~(3)についての現状や現時点での考えを調査し、会員企業が今後の対応策を検討する際の参考に供する。
(1)社員の介護をめぐる状況の把握
(2)仕事と両立しやすい介護体制の構築支援
(3)介護と両立できる職場づくり
2.調査対象
雇用政策委員会と労働法規委員会の委員企業(計232社)
3.調査時期
2017年5月~6月
4.回答状況
有効回答数117社(有効回答率50.4%)。
産業別:製造業58社(49.6%)、非製造業59社(50.4%)
規模別:社員数5,000人以上69社(59.0%)、5,000人未満48社(41.0%)
◆本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(一般社団法人日本経済団体連合会 http://www.keidanren.or.jp/ /1月16日発表・同連合プレスリリースより転載)