『中国・東南アジア・インドの求人・求職者動向レポート 2017年7‐9月期』:リクルートホールディングス
株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)の100%子会社であり、アジアを中心に人材紹介事業を展開するRGF Hong Kong Limited(本社:香港、President:葛原孝司)は、このたび、2017年7‐9月期の中国・東南アジア・インドにおける日系企業を中心とした求人・求職者の動向をまとめました。
<中国大陸>
自動車・半導体・産業機器業界の堅調さに加え、新エネルギー車シフトによる動きあり
●当社で取り扱う7-9期の求人数は前年同期比6%増。(1)日系自動車販売台数が市場全体の伸び率を上回り好調に推移していること、(2)自動車業界で新エネルギー車へのシフトが始まっており、機能化学、電子部品関連企業にもその動きが波及していること、(3)中国政府の政策として半導体業界に大規模投資が続いていること、(4)中国国内の工場などで「自動化」投資が活発化しており産業用ロボットや工作機械関連業界が堅調であること が主な要因。
●当社サービスに新たに登録される日本人求職者は、50歳代以上が約30%。特に技術者など専門性を持つ人が多い。企業の求人は若手層向けのポジションが多いため、採用決定に至る割合は多くないが、企業にとってはベテラン日本人採用のチャンスが広がっていると言える。
○転職事例:営業マネジャー(現地人材)/日系・製造装置メーカー/40歳代後半/約32万5,000中国人民元(年収)
<香港>
景気回復への期待で採用・求職活動が活発。周辺国から仮想通貨事業者の進出が進む
●香港の雇用環境は完全雇用に近い状態が続いている。例年と比べ転職率が安定しているため、人材獲得に苦戦している企業もある。
●日本で仮想通貨法(改正資金決済法)が施行されたことを受けて、多くの仮想通貨事業者が香港に進出。地場の金融機関と協力して香港政府にレギュレーション整備の申し入れを行っている。9月には中国でも暗号通貨取引自体が規制されたため、香港に市場が集まりつつある。
●地元企業には、再び好景気が到来すると楽観的な見方がある。中国人顧客が再び増加傾向にあり、小売業界が再び活性化、商業地や住宅価格も上昇に転じている。この動きにあわせ、足もとの下期では、企業の採用活動・求職者の動きともに活発化している。特に小売やIT業界で顕著。
●日本から香港への越境転職希望者が若干増加。香港外にも人材を求めてビザの新規発給を前向きに検討する企業も増えているため、日本人求職者にとって、香港での就業チャンスは増加している。
○転職事例:ITマネジャー(現地人材)/日系・フィンテック関連企業/30歳代後半/約950万円(年収)
<インド共和国>
日系企業が多様化し、IT企業の進出も。"インド新幹線"関連の人材需要も続く
●インドに進出する日系企業が多様化している。引き続き製造や商社の求人が多くを占めるものの、最近は、デジタル広告事業主など、ITサービス関連企業の進出も目立っており、人材採用についての問い合わせを受けるようになった。
●日本からの受注が多いインド系ゲーム開発会社にて日本人コーディネーター(通訳・翻訳、日本との渉外担当)の採用案件を委託、採用に至った。また、日系企業のインド進出・事業拡大が続くなか、日系企業を顧客に持つインド系・欧米系企業(銀行、会計事務所)からも日本人採用のニーズがある。
●日本への転職を希望するインド人求職者からの問い合わせが増加している。日系企業の求める人材要件にマッチする人材は多くないものの、経済・産業分野における日本とインドの連携が強まっているニュースはインドでも大きく取り上げられており、日系企業を転職先の一つとして意識するインド人が増えているのかもしれない。
●"インド新幹線"プロジェクトに関連した人材の動きが続いており、当社の紹介で複数名の日本人求職者が日系企業や日系独立行政法人で採用に至った。日本が関わるインフラプロジェクトに関連した日系企業現地法人での人材ニーズは継続しそうだ。
○転職事例:総務マネジャー(日本人材)/日系・建設/30歳代前半/約190万インドルピー(年収)
<インドネシア共和国>
スカイトレイン、MRTなど鉄道プロジェクトが活況。建設業の人材需要が高い
●スカイトレイン、MRTなど鉄道プロジェクトが活況。建設業の人材需要が高い
●日系企業では、特に建設業で人材需要が高い。スカルノ・ハッタ国際空港で運行が始まったスカイトレイン、今後予定されているMRT(都市高速交通)といった、鉄道建設に関連した人材需要がある。
●日系企業のうち、自動車をはじめとする製造業では、部門トップや中間管理職層の求人が中心。従来、日本からの出向者で占められていたポジションを、現地採用の日本人人材に置き換える動きが続いている。 また、技術職(金型技術者、品質管理、生産技術)や専門職(システムエンジニア)の求人は増加傾向。 製造業以外(サービス業界、IT業界)は、事業拡大に向けて新規開拓を担う営業職の採用ニーズが強い。
●インドネシア語能力のある日本人求職者は希少。特に若手層で日常会話レベル以上の語学力を持つ日本人求職者にとっては"売り手市場"で、さまざまな職種で求人が豊富。
○転職事例:営業(日本人材)/日系・製造/20歳代前半/約260万円 (手取り年収、車・運転手支給)
<シンガポール共和国>
就業ビザ要件厳格化により、永住権・配偶者ビザを持つ日本人求職者向け求人が増加
●シンガポールの転職市場では、政府によるフィンテック領域やサイバーセキュリティへの取組み強化を背景に、IT・コンサルティング業界の求人が増加傾向。
●日系企業では、人材の流動性が比較的高いためか、サービス業の営業職を中心とした求人が目立つ。
●今年1月より外国人の就労ビザ取得基準が厳格化し、取得に必要な給与水準も上がった。これに伴い、日系企業の求人も高い給与水準に見合う即戦力・専門職人材の案件にシフト。このため、限られた日本人求職者に複数の企業からオファーが出る状況も見受けられる。また、就業に就労ビザを必要としない、永住権、配偶者ビザを持つ日本人求職者へのニーズが以前よりも高まっており、秘書・総務といったアシスタント職での募集が多い。
●海外経験や技術力を活かして東南アジアで働きたいという40~50歳代の日本人求職者からの相談も途切れない。数としては多くはないが、東南アジアでの勤務経験や、建築関係などの専門スキルがあれば就業の機会がある。
○転職事例:ファンドマネジャー(日本人材)/日系・資産運用/30歳代/約25万シンガポールドル (年収)
<タイ王国>
地域統括拠点のシンガポール → タイ移転の動きが続くも、人材難がネックに
●周辺諸国の経済成長、AEC発足、タイ政府の税制優遇などを背景に、日系企業がシンガポールなどから地域統括拠点をタイに移す動きがある。これを受けて、人事・会計・財務・法務といった管理部門の職種でマネジャーレベルの採用が増加した。しかし、企業が求める要件にマッチする求職者が少ないため、企業にとっては採用難の状況。
●日本人を対象とした採用ニーズは、引き続き若手~ミドル層の営業職や、エンジニアの求人が多いが、人材は不足している。
●今年も、上期(1-6月)の賞与が支給される7月をピークに、8月までは、タイ人求職者の動きが活発であった。下期(9月以降)は、例年通り、年末年始の賞与支給を待つトレンドになり、求職者の動きは鈍化する見込み。
○転職事例:工場管理(日本人材)/日系・製造/40~60歳代/約135万タイバーツ(年収)
<ベトナム社会主義共和国>
日系企業は業績好調、事業拡大に向けた人員増強が進む。営業・エンジニアの募集が多い
●進出日系企業の多くは業績好調。一層の事業拡大をめざして営業職やエンジニア職の募集が継続して増えている。特にIT業界は積極的にエンジニアを募集している企業が多く、「売り手市場」が続いている。
●都市別に見ると、ハノイ、ホーチミンでは、事業拡大に伴う内装関連の求人や、商業施設・ホテル・工場といった建築関連の求人が増加。ハイフォンでは、製造業、物流業の求人が目立つ。
●日本に留学しているベトナム人は、夏に大学を卒業し、ベトナムに帰国、求職活動を行う。このため、7-9月にはジュニア(若手層向け)ポジションでの採用決定が多くなった。
○転職事例:営業(ベトナム人材)/日系・物流/20歳代半ば/約1億5,600万ベトナムドン(年収)
◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルートホールディングス http://www.recruit.jp/ /10月30日発表・同社プレスリリースより転載)