2018年卒採用、各社はどう動く!?選考開始は6月より早く実施する企業が64.0%で多数派に~『2018年3月卒業予定者採用動向調査レポート』:学情
株式会社学情では企業の2018 年卒学生に対する採用計画・傾向を明らかにするため、『2018年3月卒業予定者採用計画アンケート』を全国の企業および団体を対象に実施。今号ではその調査結果の一部をご紹介、2018年卒採用の状況や展望についてレポートする。
※レポート内の各項目の数値は小数点第二位を四捨五入し小数点第一位までを表記しているため、択一式の回答の合計が100.0%にならない場合があります。
<採用予定数の増減について>
採用予定数は増加傾向。
採用予定数に占める女性比率も増加させる傾向に
2018年卒の採用予定数は前年度と比較して「昨年並み」(59.6%)が半数以上を占めるものの、「増やす」(23.6%)が「減らす」(5.0%)を18.6ポイント上回った。待ったなしで少子化が進行する中、若手労働者確保は多くの企業において至上命題であり、各社の採用意欲は前年に続き旺盛だ。
採用予定数のうち「女性比率の増減」についても聞いたところ、「変わらない」が59.5%で過半数であるものの、「大幅に増やす」+「やや増やす」が18.6%、「大幅に減らす」+「やや減らす」が6.0%となり、計画的に女性比率を広げようとする企業が増加している。2016年4月1日より施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(通称:女性活躍推進法)。これにより従業員数301人以上の企業において、採用者や管理職に占める女性比率や、男女別の勤続年数等の状況把握・課題分析や数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・公表等が義務付けられた。こうした法律に加え、ダイバーシティーの推進や仕事と家庭を両立しやすい職場環境作りなどが社業発展や採用活動にもプラス材料になるという考えも広がっており、女性採用に力を入れる企業が増加したと見られる。なお、女性活躍推進法が求める取り組み内容は、従業員数300人以下の企業は「努力義務」とされている。こうしたこともあってか、従業員数別で見ると「300人以上」の方が女性の比率を増やすことに積極的である。
<採用スケジュールについて>
前年度と比べ「企業セミナー開始」、「内々定出し」は前倒し傾向。
各社の採用スケジュールについて、企業セミナーの開始時期は3月が61.7%と半数以上を占め、多くの企業が3月1日の採用広報解禁を皮切りにセミナーを順次実施していく状況だ。一方で3月より前にセミナーを実施する企業は前年度比9.1ポイント増の18.9%に及ぶ。広報解禁日を待たずにセミナーに踏み切る企業が増加している。
選考については経団連の指針で示された「6月1日選考解禁」に則って6月以降に選考を開始する企業は17.0%に留まる。ただ選考開始時期は前年度から大きな変化は見られない。
内々定出しの開始時期は、3月が前年度比2.1ポイント増の9.7%、4月が同4.9ポイント増の28.1%など、前年度と比べると前倒しする傾向が見られる。学生優位の採用市況の中で、スピーディに選考を進め「学生の気持ちが他社に移らないうちに内々定を出したい」「最終的に学生が複数内定を得たとしても、その選択肢のうちの1社にはなっておきたい」といった思いが強まったと言えそうだ。
<「採用選考に関する指針」に基づいた広報・選考開始時期について>
3月広報開始は遵守予定が62.5%で多数を占めるが、3月より早くスタートする企業も増加。
選考開始は6月より早く実施する企業が64.0%で多数派に。
「3月広報開始」については、「遵守する予定」が62.5%と3分の2を占めるが、前年度比4.0ポイント減少した。逆に「3月より早く広報をする予定」(20.5%)は同3.9ポイント増となった。3月広報開始が経団連の指針として提示されて3年目になるが、弊社調査では「3月より早く広報をする予定」の企業の割合は3年連続増加している。
「6月選考開始」については「遵守する予定」が同1.0ポイント減の18.2%。一方、「6月より早く選考をする予定」は、同2.0ポイント増の64.0%となった。前年度に続き6月という縛りを気にせずに動くという企業が多数派であり、さらに前年度と比べると僅かではあるがそうした傾向は強まっている。前述の「内々定出し時期の前倒し」からも見て取れるが、「スピード勝負」「先行逃げ切り」で臨まなければ自社に合う学生の獲得は難しいという思いが各社にあるようだ。
<インターンシップ実施状況について>
インターンシップ実施企業は4割弱。
うち半数弱は採用活動との関連付けを意図して実施。
採用広報解禁が3月となって以来、各社が注力しているものがインターンシップである。2018年卒学生を対象とするインターンシップ実施状況は「実施している」が前年度比8.5ポイント増の38.6%。
上場区分別で見ると、上場企業では実施率63.7%(同12.4ポイント増)と前年度から大きく上昇し、3社に2社が実施している状況だ。一方、非上場企業では同7.0ポイント増加しているものの実施率33.5%と、大きく差が開いた。インターンシップ実施における課題として「マンパワー不足」「社員の協力を得づらい」といった声が上がることが多く、人的や労力的に対応が難しい中小企業ほどインターンシップが実施しづらい状況と言える。
インターンシップの実施にあたっては「採用ミスマッチを減らす上でインターンは効果的」「これだけの労力を費やしている以上、採用に結び付けなくては企業としてメリットがない」といった声が聞かれ、何かしらの形で採用と結び付けたいという意向の企業は多い。インターンシップ実施企業に対し採用との関連付けの有無を聞くと、「インターンシップ内で選考・内定出しを行っている」が5.1%、「インターンシップ参加者は通常選考で優遇する」が43.4%と、既に約半数は関連付けを行っている。特に通常選考で優遇する企業は同5.7ポイント増加しており、その後の採用活動を睨んだインターンシップ実施が広がっている。
実施時期については、「3 年生の2月」実施が53.2%で最多に。夏休み期間の「3 年生の7~9月」と冬休み期間の「3 年生の12~1月」が42.1%でそれに次ぐ。前年度も「3 年生の2月」が最多であり、採用広報解禁直前の2月に少しでも学生との接触を果たそうと集中的に実施されている。受け入れ日数については「1日」(62.2%)が同5.7ポイントアップし、他の項目を大きく引き離して最多となった。インターンシップが広報ツールとして活用される度合がいっそう強まっている。
<調査概要>
●調査対象:全国の企業および団体
●調査期間:2017年1月5日~1月31日
●回答企業数:2,307社
●調査方法:企業および団体にアンケート(紙面、WEB)を配布・回収
●上場区分別内訳:上場375社/非上場1,932社
※本紙内の2017年卒採用に関する参考データは前年度同時期調査(2016年1月5日~1月29日)の集計結果を掲載
◆本調査結果の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社学情 http://company.gakujo.ne.jp/ /3月10日発表・同社プレスリリースより転載)