マークラインズ、2016年の新興国最低賃金比較を発表
~新興10カ国12地域について、2016年1月時点の最低賃金をとりまとめ~
マークラインズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:酒井 誠)は、自動車工場が集積している新興10カ国12地域について、2016年1月時点の最低賃金をとりまとめました。
・メキシコの最低賃金は、都市部で前年比4%増の日額73.04ペソ(月額約90ドル)、地方で3%増の日額68.28ペソ(月額約85ドル)。比較対象国では最低水準で、上昇率も他国と比べ低く安定しています。但し、最低賃金に含まれない各種手当があり、製造業一般工職の平均賃金は260~360ドルと、下限値ではインドネシアやフィリピン、上限値ではインドやタイと同水準になっています。
・中国の最低賃金は、上海で前年比11%増の月額2,020元(約310ドル)、広州で22%増の1,895元(約290ドル)。比較対象国では最高水準で、2010年比でそれぞれ2倍以上となっています。平均賃金はブラジルやロシアを下回りますが、ASEAN諸国、インド、メキシコよりも高い水準です。但し、先進国の下限値と比べても、最低賃金で半分以下、平均賃金で3分の1程度に留まっています。
・ベトナムの最低賃金は、第2地域(ダナン市など)で前年比13%増の月額310万ドン(約140ドル)に引き上げられました。現地通貨建てで2010年値の2.6倍上昇していますが、最低賃金と平均賃金がほぼ同水準で、平均賃金は比較対象国の中で最も低くなっています。
・インドネシアの最低賃金は、西ジャワ州カラワン県で前年比13%増の月額333万ルピア(約240ドル)。現地通貨建てで2010年値の約5倍も上昇し、比較対象国で突出した上昇率になっていますが、平均賃金はベトナムに次いで2番目に低い水準です。
・マレーシアの最低賃金は、2013年にマレー半島全域で月額900リンギット(約200ドル)に設定されましたが、 2016年7月に1,000リンギット(約230ドル)に引き上げられる予定です。
・タイの最低賃金は、2013年から全国一律で日額300バーツ(月額180ドル)に設定され、2016年6月まで据え置かれることが決定しています。
・インドの最低賃金は、各州政府が業種別に決定し、最低5年に1回改定されます。首都ニューデリーの最低賃金は2013年10月に月額8,086ルピー(約120ドル)に改定後据え置かれています。なお、最低賃金を全国一律化する草案が2015年12月に内閣に提出されています。
※注記
中国:
・各省・直轄市政府が最低賃金を設定、改定時期はそれぞれ異なる
インドネシア:
・最低賃金は毎年、州別に発表する。首都ジャカルタの2016年最低賃金は310万ルピア/月(前年比14.8%増)
フィリピン:
・最低賃金は地域別に発表、改定時期はそれぞれ異なる
・マニラ首都圏の最低賃金は2015年4月4日に15ペソ引き上げられたが、対応できない企業は1年の猶予が認められる
ブラジル:
・最低賃金は連邦政府によって定められており、毎年改定される
マレーシア:
・2013年から最低賃金制度を一部導入。2016年7月にマレー半島では現行900から1,000リンギット/月に、東マレーシアでは現行800から920リンギット/月に改定される予定
タイ:
・2013~2016年6月の最低賃金は全国一律300バーツ/日で固定
ロシア:
・州・共和国・自治州政府が独自の最低賃金を設定することができるが、連邦政府が規定した額を下回らない範囲とされている
・連邦政府が設定した2016年最低賃金は6,204ルーブル/月、モスクワ市は16,500ルーブル/月
ベトナム:
・最低賃金は毎年、第1~4地域別に設定。2011年9月までは外資・内資別だったが同年10月から統一
・2016年最低賃金は、第1地域(ハノイ、ホーチミンなど)が350万ドン/月、第2地域(ダナンなど)が310万ドン/月、第3地域(クアンナムなど)が270万ドン/月、第4地域(その他)が240万ドン/月
インド:
・各州政府が業種別に最低賃金を決定、最低5年に1回改定
・ニューデリーの最低賃金は2013年10月改定以降、未発表(2015年末時点)
・インド労働省は2015年12月、州毎に異なる最低賃金を全土一律化する草案を内閣に提出している
メキシコ:
・最低賃金は、政府、労働組合、経済界の代表からなる国家最低賃金委員会(CONASAMI)が制定
・非熟練工向けの一般最低賃金のほか、熟練工向けの職業別最低賃金が定められる
・2016年の地域A(メキシコシティなどの首都圏)の一般最低賃金は73.04ペソ/日、地域B(アグアスカリエンテスなど)の一般最低賃金は68.28ペソ/日
<本件に関するお問い合わせ先>
マークラインズ株式会社 調査部
電話:03-5785-1385
e-mail:research-dept@marklines.com
担当:永野、雪嶋
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(マークラインズ株式会社 http://www.marklines.com/ /1月15日発表・同社プレスリリースより転載)