玉突き人事
玉突き人事とは?
「玉突き人事」とは、一人の従業員を特定のポジションに異動させたことで、ビリヤードの玉突き連鎖のように次々と穴埋めで行われる人事異動のことをいいます。本来、人事異動は人材育成や組織活性化を目的に本人の希望も加味しながら、明確な目的をもって行われますが、玉突き人事の場合には客観的な理由が不明瞭なまま異動を申し渡されることも少なくありません。
新たな問題を生む危険も
異動を行ううえで留意すべきポイントとは
玉突き人事に巻き込まれたことよる異動が、従業員のキャリアにおいてプラスに働けばいいのですが、キャリアが阻害されるようなことになれば、エンゲージメントの低下や退職につながってしまう恐れもあります。また、チームメンバーが変わることで教育のコストがかかったり、一時的に生産性が下がったりすれば、組織にとって大きな負担にもなりかねません。目先の問題解決や業務維持を行うための突発的な人事異動は、新たな問題を生む可能性があるのです。
企業には、やむを得ない事情で異動を行う場合、異動先で活躍できる人材を見極めたうえで本人や関連部署へのフォローを行うことが求められます。異動対象者に内示を伝えるとき、異動理由が明確であれば本人の納得感を得られやすくなります。キャリア開発、適材適所、生産性の改善、全社最適化など、人事異動が行われる理由はさまざま。あらかじめ従業員の能力やキャリアの希望を把握し、企業の課題解決と個人の適性が重なり合った部分を丁寧に伝えるようにしましょう。
また、異動先や異動させる人材を見きわめる上で参考になるのが、各部署で求められる人材のコンピテンシー・モデルです。コンピテンシーとは、ビジネスにおいて優秀な成果を出す人が持つ行動特性のことで、採用や人事評価などに用いられます。これを人事配置にも応用し、配属先に必要な人材をきちんとコンピテンシーに落とし込むことで、新たなチームでのミスマッチを避けることができます。
企業には、ときに人材配置を急遽変えなければならない状況が訪れます。そのとき、単なる人数合わせとして従業員を当てはめていくだけでは、企業にとっても従業員本人にとっても、不幸な結果につながりかねません。目先のニーズにとらわれず、中長期的な組織の運営と、従業員一人ひとりのキャリアの実現に向けて、配慮を行うことが求められます。
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