人手不足倒産
人手不足倒産とは?
「人手不足倒産」とは、人材を確保できずに経営が行き詰まった結果として発生する倒産のことです。昨今の採用難や人件費の高騰、従業員の退職などを理由に、日本では企業規模や業種を問わず倒産が増加傾向にあります。少子高齢化にともなう労働者の減少や、労働市場の流動化が進む中、人材をどう確保・定着させるかが企業の存続に直結する時代となっています。
人手不足倒産は2年連続で過去最多に
生き残りをかけた人材戦略を
24時間営業をやめるコンビニエンスストアが増えています。共同通信の調査では、2024年4月時点で、主要6社のうち24時間営業をしない「時短店舗」が全体の1割超に上ることがわかりました。夜間営業の需要不足に加え、働き手を確保できないことが、24時間営業のハードルになっているようです。
このような話は小売店や飲食店にとどまりません。工場の生産ラインが回らない、トラックドライバーを確保できず受注を断らざるをえないなど、人手不足が原因で倒産の危機にさらされている企業が増えています。
帝国データバンクの調査によると、2024年の人手不足倒産は342件で、前年比1.3倍に増加。2013年に調査を開始して以降、最多の数値を2年連続で大幅に更新しました。
これには人手不足だけでなく、原材料費や人件費の著しい増加など、社会構造的な要因が大きく影響しています。コスト削減を迫られる経営者にとっては重い負担であり、労働条件を改善しなければさらに離職が進むなど、「現状維持」もままならないのです。
大手企業であれば、採用コストの上昇や労働条件の整備がある程度可能なため、比較的人員を確保しやすいでしょう。しかし、中小企業ではそうはいきません。知名度がないため、求職者のエントリー数が少なく、採用活動そのものがままならないケースも珍しくありません。採用がなかなか進まない中で、従業員の退職が重なると業務が回らなくなることもあるでしょう。
こうした事態を回避するために、採用手法を見直し、副業人材・短期アルバイトの活用など外部リソースを活用する必要があります。昨今は、地域や業界内で連携したり自治体との協力体制を築いたりすることで、人材プールを共有する取り組みも進められています。元従業員に再入社してもらうアルムナイ採用も一つの手段です。
足元の採用ニーズだけでなく、定着率を高めるための工夫も必要です。ワークライフバランスを考慮した柔軟な働き方を取り入れたり、DXで従業員の負担を減らしたりと、従業員が健全に働ける環境を作ることが肝となります。人手を確保するためには、目先の採用だけでなく、中長期的な視点での人材戦略が重要です。
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