人手不足倒産
人手不足倒産とは?
「人手不足倒産」とはその名の通り、労働力不足が原因で倒産してしまうことをいいます。企業が人手不足に陥る主な原因として、新たな労働力の確保が困難な求人難や、コア人材の退職により、事業の継続が困難になること。新規採用やつなぎ止めのための給与アップなど、人件費のコストアップによる収益の悪化などがあげられます。
じわじわ迫りくる生産人口減少の影
AIやシニア世代の活用は、人手不足倒産の歯止めとなるか?
日本は超高齢化社会に突入していると言われます。しかし、あるときを境にがらりと生活が変わったわけでもなく、その影響を実感じている人は少ないかもしれません。しかし、生産人口が減少していることで、私たちの周りではその影響がじわじわと見え始めています。
例えばここ数年で、外食産業の人材不足が顕著になっています。大手牛丼チェーンでの一人で店舗を回す「ワンオペ体制」が問題になったように、働き手が足りないことによって、さまざまな弊害が現れています。アルバイト確保のために時給を上げる外食企業も珍しくありませんが、その結果、人件費を含めた管理費が高騰し、売上は上がっているのに減益になるケースも。人手不足から閉店を余儀なくされる店舗も後をたちません。薄利多売のビジネスモデルとして成り立ってきたファミリーレストランや牛丼チェーンは、人手が足りないことで、その仕組みを維持することが難しくなってきているのです。
リクルートジョブズが行っている、アルバイト・パート募集時平均時給調査によると、2018年1月度の平均時給は前年同月より27円増加の1,019円となりました。3年前の2015年1月度は平均時給が959円だったので、この3年間だけを切り取っても、時給の上昇をフックに、各社が人材獲得に必死になっていることがうかがえます。
これは小売りやサービス業のアルバイトに限った話ではありません。東京商工リサーチの調査によると、建設業でも人材不足による経営破綻が多くなっているといいます。良好な景況感を背景に、全体の倒産件数は低水準のまま推移していますが、「求人難」を理由にした人手不足倒産が、2017年は前年より2.2倍増加していることが分かりました。
今後も生産人口の急激な増加は見込めない状況の中、労働力不足の解決策として注目されているのが、AI(人工知能)とシニア世代、そして外国人労働者です。なかでもAIは、無人レジや清掃ロボットにみられる業務の効率化や自動化など、その進歩に期待が高まっています。
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