立ち会議
立ち会議とは?
「立ち会議」とは、文字どおり、参加者が立って行う短時間の会議や打ち合わせのこと。「スタンディング会議」「スタンドアップ・ミーティング」とも呼ばれます。あらかじめ会議室などを確保してメンバーを招集するやり方ではなく、必要な関係者が必要に応じてオフィスの一角に集まり、起立したまま時間を区切って、必要な要件についてのみ情報の伝達・共有、相談、意思決定などを図るのが特徴です。立つことでメンバー個々の集中力が高まり、より短時間でよりよい結論を得ようと意見交換も活性化。ムダな会議を減らし、生産性向上が期待できることから導入する企業が増えています。
「内職している人が4割」が日本の会議の現実
“立つ”ことで生産性向上、働き方にも変化が
企業や組織で働く人にとって、避けて通れないのが会議です。会議の流れや雰囲気に、その組織における仕事の進め方や従業員の働き方の問題点が表れていることが少なくありません。最たるものが生産性の問題でしょう。時間が長い割に内容が乏しいなど、会議の生産性が低い組織は、その職場自体の生産性も低い。そもそも会議ばかりが続いて社員の仕事の流れを中断させたり、貴重な時間を奪ったりすること自体が生産性向上のネックになっているケースもよくあります。
2012年10月にNTTデータ経営研究所が発表した「会議の革新とワークスタイル」に関する調査によると、会社で開かれる会議の業務全体に占める割合は15.4%。仕事全体の約7分の1が会議に費やされているという結果でした。これは、1年のうち2ヵ月近くも会議をしている計算になります。企業規模が大きくなるほど、会議の占める割合が高くなる傾向にあり、500人以上の企業では16%を超えていました。
いかに会議が業務活動の多くを占めていたとしても、相応の成果がともなっていれば、一概に否定されるものではありません。ところが、同調査で「会議についていつも感じている問題・課題」についてたずねてみると、「会議の時間が長い」(44.1%)や「会議の頻度が多い」(36.7%)を抑えてトップだった回答は、「ムダな会議が多い」(45.0%)でした。また、会議が会社の価値創造(仕事の生産性向上、イノベーションの創出など)に 貢献していると思うかという問いに対しては、「あまりそうは思わない」「全くそう思わない」が合せて66.9%に達しています。そうした“日本の会議”の残念な実態を何よりよく表している数字は、「会議中に内職をしている」(41.7%)かもしれません。
じっくり時間をかけないとよいものはできないと思いがちですが、ダラダラと無意味に長く話し合っても、かえって判断力を鈍らせてしまうだけでしょう。そこで、ゆるんだ雰囲気を引き締め、必要な会議を短時間で効率よく進めるために有効とされている手法が、参加者が起立して行う「立ち会議」です。立ったままだと足が疲れて辛いので、早く終わらせようとして、メンバーの集中力や参加意識が自然とアップ。眠くなることもなければ、内職にいそしむ余裕もありません。導入する企業も増えており、キヤノン電子は10年以上前から、アイリスオーヤマでは20年以上も前から打ち合わせは立って行うのが当たり前になっているそうです。
同様の会議のスタイルに「ハドル会議」「スクラム会議」と呼ばれるものがあります。ハドル(huddle)とは、アメリカンフットボールの選手が試合中に円陣を組んで行なう短時間の作戦会議を指す言葉で、こちらは立って行うか否かより、問題発生時など必要なときに少人数がさっと集まり、短時間で結論を出す機動性が重視されます。何日も前から会議室をおさえ、参加者全員のスケジュールを調整した上でないと、会議のひとつも開けないようでは、変化の激しい不確実なビジネス環境に対応することは難しいでしょう。
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