ファシリテーション
ファシリテーションとは?
「ファシリテーション」(facilitation)とは、集団や組織において、対立しがちで相互理解や合意形成の難しい問題の解決を支援し、参加者の協働や活性化を促すことにより、事がうまく運ぶように舵取りをすることをいいます。狭義には「会議を効果的・効率的に運営するための働きかけ」と解釈され、ビジネスシーンではこうした意味合いで使われるのが一般的です。メンバーに発言を促したり、議論の流れを整理・共有して認識の一致を確認したり、あるいは会議そのものの段取りや進行までデザインしたり、対話の場とプロセスに介入する行為全般がこれに含まれます。「ファシリテーション」の能力やスキルはリーダーシップの一要素としても重視され、近年は会議やミーティング、ワークショップなどの仕切り役をはじめ、さまざまな場面で「ファシリテーション」の機能を担う役割、もしくはその当事者を「ファシリテーター」と呼ぶようになってきました。
日本人が生涯で会議に費やす時間は3万時間!?
会議の生産性向上を担うリーダー必須のスキル
『世界で一番やさしい会議の教科書』の著者で業務改革コンサルタントの榊巻亮氏(ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)の試算によると、日本の一般的なビジネスパーソンが一生のうち会議に費やす時間は3万時間だといいます。労働時間のじつに3割が、何らかの会議や打ち合わせなどに充てられている計算です。長時間労働の是正に向けて、“長すぎる”会議の効率化、生産性向上は喫緊の課題といえるでしょう。
「日経情報ストラテジー」が2016年11月にICT系情報サイトITproで実施した『会議実態調査』でも、「効率的な会議」ができているという回答者は全体のわずか13.2%に過ぎませんでした。参加する会議の問題点をたずねた質問では、「特定の人がしゃべっている」が58.5%で最も多く、次いで「脱線する、時間がかかる、密度が薄い」(49.1%)「納得感がない」(40.6%)「意見が出ない」(35.9%)などが問題点として挙げられています。
意見が出ないのも問題ですが、逆に意見やアイデアをどんどん主張する人ばかりが集まったからといって、会議の生産性が上がるとはかぎりません。話し合いの場とプロセスに適切に介入して、会議を取りまとめるリーダーがいないと、意思決定のための会議なのか、情報共有が目的なのかといったところからぐらついて、収拾がつかなくなり、時間ばかり浪費することになります。そうした会議の仕切り役を担うために活用されるのが、「ファシリテーション」の技術です。
特定非営利法人日本ファシリテーション協会の公式サイトによると、ビジネス分野への応用は1970年代頃からアメリカで始まりました。会議を効率的に進める手法として開発され、やがて現場主導型の業務改革などに活用されるようになったのです。アメリカでは現在、ファシリテーションは専門技能として認知され、重要な会議にファシリテーターが置かれることは珍しくありません。日本でも言葉自体は一般的になってきましたが、そのスキルがビジネスの現場に普及・定着し、日本の会議を変えてくれるようになるまでには、まだ少し時間がかかりそうです。
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