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【ヨミ】シュウカツエリート 就活エリート

「就活エリート」とは、就職活動において、学生からの人気が高い有名企業や大手企業から、いち早く複数の内定をもらう学生、いわば“就活の勝ち組”を表す造語です。エントリーシートから入念に作り込み、面接での受け答えもぬかりない――彼らは、まるで難関校の受験勉強にいそしむように万全の就活対策を講じるため、採用試験の評価は高いのですが、いざ入社してみるとスタートラインでつまずきやすく、早期離職に至るケースも少なくありません。「就活エリート」という表現には、そんな若者の迷走ぶりを揶揄するニュアンスも込められています。
(2016/2/29掲載)

就活エリートのケーススタディ

採用時の評価が高い新人ほど使えない!?
「やりたいことは?」が招く就活の誤解

内定一つをとるのに悪戦苦闘する多くの学生をしり目に、「就活エリート」と呼ばれる学生には、第一志望を含む複数企業から内定が集中する傾向があります。これは、売り手市場でありながら、一方で企業による厳選化も依然として根強く、結果として就職活動の二極化が進行したためでしょう。ところが、首尾よく優良企業に就職し、採用時の評価も期待も高かったはずの彼らが、いざ現場に入ってみると仕事や組織にうまく適応できず、“使えない新人”のレッテルを貼られるケースが増えているといいます。

リクルートワークス研究所・主幹研究員で、2010年に『就活エリートの迷走』を上梓した豊田義博氏によると、昨今の就活生は、次の四つの階層に分かれているといいます。天才肌の「ハイパー大学生層」と努力型の「就活エリート層」が上位の2割を占め、残り8割の半分は就職活動に懸命に取り組むものの、対策や準備が甘く、苦戦しがちな「就活漂流層」、もう半分は働く意欲が低く、就活の波に乗れない「就活諦観層」です。

下位の「漂流層」や「諦観層」の学生たちをどうするか、いわば就職弱者にスポットを当てた議論はこれまでにもありましたが、それらの問題の本質はつまるところ、新卒採用市場の質的・量的変容に起因するものでしょう。むしろ企業の採用方針や選考手法など、就活の仕組みそのものが引き起こしている最大の問題は、就活の勝ち組である「就活エリート層」の多くが、社会人としてのスタートラインでつまずき、あるいは伸び悩んで迷走していることだと、豊田氏は指摘しています。

どの企業も学生に対して、エントリーシートや面接で「あなたが大学時代に力を入れたことは何ですか?」「(当社に入社したら)あなたがやりたいことは何ですか?」と聞くでしょう。真面目に就活に取り組む学生ほど、「やりたいこと」探しに熱を上げ、「私は、○○の経験を通して○○の能力を養ってきた。それを活かして○○を実現する仕事につきたい」といった、自身のライフストーリーを綿密に創りあげていきます。企業にとって、「あなたのやりたいことは?」という質問はあくまでも判断材料の一つに過ぎません。しかし自己分析から始め、「やりたいこと」を何度となく書き、語ってきた学生は、内定が出ればそれで自分の描いたライフストーリー全体が企業から承認されたと思い込み、志望通りの部署に配属されるものと信じ込んでしまう。ここに入社後の現実との大きなズレが生じている、というのが豊田氏の分析です。

これまで当たり前のように繰り返してきた「あなたのやりたいことは何ですか?」――就活生にそう問うことが、自社の求める人材を見極める上でどれほどの意味をもつのか、もう一度考える必要があるのかもしれません。

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