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【ヨミ】ツウショウシヨウ

通称使用

通称とは、戸籍上の本名ではないけれど、日常生活で使用し、世間一般にも通用している氏名のこと。特に仕事など社会的活動の場で、既婚者が便宜上、結婚後も旧姓を通称として使う慣行を指して「通称使用」といいます。日本では夫婦別姓制度が導入されていないため、旧姓の通称使用を認める職場が増えていますが、納税や社会保険の適用、給与の銀行振り込みなどの際には戸籍名を使用する必要があるため、通称使用を認める企業では戸籍名と通称の“二つの名前”を管理するコストが生じるなど、課題も指摘されています。
(2016/2/15掲載)

ケーススタディ

65%の企業で旧姓OKが最高裁の判決理由に
“二つの名前”への対応で管理部門の負担増

2015年12月16日、最高裁判所は「夫婦は同姓」と定めた民法の規定が憲法に反しない、すなわち合憲であるとの判断を下しました。そもそもこの問題は、1996年に法制審議会がいわゆる選択的夫婦別姓制度採用を含めた、民法改正を答申したことに端を発します。以降、たびたび夫婦別姓導入の民法改正案が準備され、議論が重ねられてきました。

今回、司法判断としては一定の決着をみましたが、むしろ最高裁の判決が出たことで、議論が再燃した感もあります。実際、最高裁も、結婚による姓の変更で仕事上の不利益やアイデンティティーの喪失感などが生じることなどを問題点として挙げ、選択的夫婦別姓を含めた議論を国会に促しました。

先進国のうち、法律で夫婦別姓を禁じている国は日本だけ。それでも、最高裁が現行の民法規定を合憲とした理由は、職場などで便宜上、旧姓を通称として使う「通称使用」の広がりにあります。「旧姓の通称使用が広まることで不利益は一定程度緩和されうる」と判断されたわけです。01年、各省庁が国家公務員について、職場での呼称や職員録などに旧姓を使うのを認めたことから、旧姓の通称使用が広がり始めました。弁護士など一部の国家資格を必要とする職業や公立学校でも仕事上の通称使用を認め、民間企業でも認める企業が増えています。一般財団法人「労務行政研究所」が13年に、上場企業など約3700社を調査したところ、仕事上、旧姓の使用を認める企業は全体の65%、従業員数1000人以上の企業に限ると78%に上りました。93年調査時の13%と比べると、通称使用の拡大は顕著です。

ただし、通称使用を認める企業も、給与や社会保障、税などに関しては旧姓ではなく、戸籍名を使用する必要があるため、人事・経理部門では、手続きの性質に応じて戸籍名と通称を区別するなど、“二つの名前”を管理しなければなりません。また、海外勤務の際にも、パスポートは戸籍名での取得が基本ですから、通称を使うと別人扱いされるなどのトラブルを招くおそれがあります。

NPO法人、mネット・民法改正情報ネットワークの坂本洋子理事長は「ダブルネーム(戸籍名と旧姓)を管理するコストがかかるため、中小企業やオーナー色の強い企業では通称使用を認めない職場が多い」と述べています。通称使用を求める人の多くは、キャリア志向の強い女性。管理コストの負担と、通称使用が認められないことによるすぐれた女性人材モチベーション低下と、どちらが企業にとってより大きな損失なのかを冷静に見定める必要がありそうです。

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