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【ヨミ】ショクムハツメイ 職務発明

「職務発明」とは、企業などに所属する研究者や従業員が、職務としてその業務範囲の中で行う発明のことです。現行の特許法は職務発明について、特許を受ける権利は原始的に発明者である従業員個人に帰属すると定め、企業など使用者にはこれを無償で自由に利用できる通常実施権を認める一方、使用者が特許権を承継する場合は従業員に相当の対価を支払わなければならないとしています。しかし“相当の対価”の判断基準があいまいなために、使用者と発明者との間で高額訴訟に発展するトラブルが頻出。企業の研究・開発投資への意欲を阻害するなどの指摘を受けて、制度の抜本的な見直しが進められています。
(2013/8/26掲載)

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職務発明のケーススタディ

産業競争力強化か、頭脳流出の危機か
特許権の法人帰属で訴訟リスクを軽減

今年6月、政府は長期的な知的財産戦略のビジョンを示す「知的財産政策に関する基本方針」を閣議決定し、その目玉として、企業の研究者らが職務として行う「職務発明」に関する制度改正を盛り込みました。企業が高額の支払いを迫られる訴訟リスクを軽減するために、特許の帰属を発明者である従業員側から企業へ移すなど産業競争力強化に資する措置を講じる方針です。

先述のとおり、現行の職務発明の規定によると、特許権は原則、発明した従業員個人に帰属し、従業員が企業に特許を譲渡するなどした場合は「相当の対価」を受け取ることができます。しかし、相当の対価とはいくらなのかをめぐって企業と発明者が紛争し、裁判で企業が高額の支払いを課せられるケースが増えたため、経団連などがかねて特許の帰属を企業側に移すよう求めていました。

職務発明の対価が争われた裁判では、青色発光ダイオードを開発した中村修二氏が発明当時の勤務先である日亜化学工業を相手取り、20憶円の支払いを求めた訴訟が有名です。紆余曲折の末、05年に約8億4000万円の支払いで和解が成立しましたが、これを機に東芝、ソニー、味の素、日立などで従業員からの提訴が相次ぎました。こうしたトラブルを避けるために、04年の特許法改正では、従業員が企業に特許権を譲渡する際の対価について社内規定を設けるよう促しました。しかし、従業員がその規定に納得しない場合は裁判所が対価を算出するしくみのため、訴訟リスクは残されていたのです。

今回、閣議決定された「知的財産政策に関する基本方針」は、職務発明制度について、現在は出願時点から従業員が保有する特許権を「法人への帰属」か、あるいは「使用者と従業員との契約に委ねる」と明記しました。抜本的な制度改革により、企業の研究・開発投資意欲を促し、産業競争力強化や開発拠点の海外移転防止につなげるのがねらいです。一方、従業員側からは労組を中心に、企業の搾取につながり、優秀な開発者の流出を招くとの批判が高まっています。

ちなみに他の先進国の例をみると、イギリスやフランス、オランダなどは、職務発明の特許を使用者に帰属させ、従業員には対価の請求権を認めています。ドイツは逆に日本と同様、特許権は発明した従業員のものです。またアメリカでは、給与の中に特許権譲渡の対価も含まれる雇用契約が一般的なため、トラブルになることはほとんどありません。

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