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【ヨミ】ピボット ピボット

「ピボット」(pivot)とは、本来「回転軸」を意味する英語で、転じて近年は企業経営における「方向転換」や「路線変更」を表す用語としてもよく使われます。とりわけスタートアップ企業が当初の事業戦略に行き詰まって、大きな軌道修正を余儀なくされたり、まったく別のアイデアに取り組んだりすること、またそうした経営判断そのものを「ピボット」と呼んでいます。
(2012/7/13掲載)

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ピボットのケーススタディ

市場との“擦り合わせ”を図るプロセス
方向転換をしないほうがリスクは大きい

ピボット」は、シリコンバレーをはじめとするアメリカのベンチャービジネスの現場で使われ、流行している言葉です。ベンチャー企業のスタートアップというと、アイデアはあるけれど資金などのリソースが乏しいというイメージが一般的ですが、だからといって十分な資金を得れば必ず、温めていたプランがそのまま事業として実を結ぶわけではありません。起業を志す人なら誰でも自分のアイデアに絶対の自信を持っているでしょうし、そもそもそうした確たる思いがなければ新しいビジネスの成功はおぼつかないはずです。

しかし実際には、ベンチャーから上場するような規模に成長した企業の場合、起業家が当初想定した通りに事業化が進んだケースはほとんどないといわれます。最初から市場のニーズに完璧にマッチした製品やサービスを提供できるほうがまれなのです。現在、欧米で成功している先進企業の多くも、起業当初のビジネスプランが暗礁に乗り上げて、事業の路線変更=ピボットを余儀なくされた歴史を持っているといわれます。

例えば、携帯電話端末で世界有数のシェアを誇るフィンランドのノキアは、1990年代に携帯電話市場に本格参入するまでは、ゴム長靴や家電、パソコンなどさまざまなものを製造していましたが、ピボットを繰り返して、通信機器事業にリソースを集中させています。

ピボットとはいいかえれば、戦略やアイデアと市場のニーズとの“擦り合わせ”のプロセスです。実際に動いてみなければ、また、自らのアイデアを製品やサービスとして世に問うてみなければ、市場とのズレの大小に気づくこともできません。その意味で失敗は決してムダではなく、むしろ動かないこと、方向を転換して可能性を探ってみないことのほうがリスクとしては大きいといえます。近年、ピボットをどれだけすばやく、数多くできるかがスタートアップ成功の秘訣といわれるのもこのためです。

しかし方向転換は容易ではありません。自分のアイデアへの過信や、失敗に対する恐怖感、さらにはこれまで費やした努力や投資を惜しむ気持ちが決断を妨げるからです。変わらなければいけないのに変わろうとしない、変わりたくても変われない――こうしたコンフリクトは、起業のプロセスに限って生じるのではなく、個人の仕事の進め方やキャリア設計についてもあてはまります。壁にぶつかったとき、あえて転機を求めて自分と組織のニーズ、市場のニーズ、社会のニーズとの擦り合わせを図る、そうしたピボットの発想も必要ではないでしょうか。

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