【ヨミ】ケイピーアイ KPI
「KPI」はKey Performance Indicatorの略で、一般に「重要業績評価指標」と訳されます。企業目標やビジネス戦略の実現に向けて、業務プロセスが適切に実施されているかどうかをモニタリングする目的で設定される業績評価指標(Performance Indicators)のうち、特に重要なものを指します。
(2011/9/12掲載)
KPIのケーススタディ
プロセスの実施状況を中間チェック
指標設定はシンプルにわかりやすく
経営戦略の実行にあたってはまず「目標」を明確にし、次にその目標を達成するための具体的な「手段」を策定し、その手段が目標に向けてきちんと遂行されているかどうかを定量的に測定するための「指標」を設定するのが普通です。組織の「目標」を達成するためには正しい「指標」を設定することが不可欠であり、この指標となるのが「KGI」(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)と「KPI」です。
KGIは、「何をもって成果とするか」を定量的に定めたもの。業務プロセスにおける目標(ゴール)とそれが達成されたか否かを判断する評価基準であるのに対し、KPIはプロセスの実施状況を計測するために、組織や個人のパフォーマンスの度合いを定量的に表す指標を意味します。KGIの達成に向けてプロセスが適切に実施されているかどうかを中間的に計測するのがKPIであり、二つの指標は対で利用されることが少なくありません。測定の結果、KGIからギャップが生じた場合は、プロセスにおける組織・個人の行動が想定していた方向やレベルに向かっていないことを示し、中間的指標であるKPIの分析・改善、あるいは設定の見直しが必要となります。
もっとも、KPIの定義は幅広く解釈されるケースが多く、KGIとの混同もしばしば見られます。具体例でいうと、KGIは「売上高」「営業利益率」「EVA(経済的付加価値)」といった組織全体における財務指標をみるのが一般的。これに対してKPIは、たとえば営業部門なら「引き合い案件数」「顧客訪問回数」「クレーム発生件数」、人材開発部門なら「社内提案件数」「教育時間」などの指標を設け、これらを日次・週次など一定期間ごとに実績数値でモニタリングし、プロセスの進捗状況を管理します。
ところがせっかくKPIを設定しても、複雑すぎてわかりにくかったり、戦略との因果関係が希薄で納得感に乏しかったり、あるいは組織内で周知徹底されなかったりすると、社員はKPIを意識せずに行動してしまいがち。そうした状況に陥らないためには、設定するKPIの数を増やし過ぎないことが肝要です。一組織・個人につき3~5個の指標が適当といわれ、最大でも10個程度。それ以上になると、パフォーマンスに混乱をきたしかねません。また組織の目標・戦略がシフトすれば、KPIも当然、それに応じて柔軟に見直す必要があります。ビジネス環境の変化や社員の成長とともに、目標との因果関係が薄れ、KPIが形骸化してしまうことも多いからです。