輪番制
輪番制とは?
輪番とは、順番を決めてもちまわりで事に当たること。一定の組織を構成する個人や集団などの各単位で、輪番で何らかの役割や役目を割り当てるルールを「輪番制」といいます。電力の供給不足などに対応するために複数の事業所や工場が協力しあって、あるところが稼働しているときには別のところは停止するというように、操業と休業を交替で行うことを「輪番操業」と呼びます。
輪番休業で所定休日を平日にシフト
従業員の生活に及ぼす影響に配慮を
東日本大震災の影響で、夏場の電力需給バランスの悪化が見込まれることから、各企業・業界には、労働時間の見直しなど労務管理面にまで踏み込んだ節電対策が求められています。日立製作所は、7~9月の消費電力の分散化・平準化を図る目的で、電力需要が少ない土、日曜日を出勤日とするかわりに、休みを月~金曜日に振り替えて輪番制で取得すると発表しました。休日の輪番制は、病院や営業・サービス部門をのぞく事業グループ単位で平日の2日間を所定休日に設定。たとえば電力事業や自動車関連の生産拠点では、木、金曜日が休みとなります。
コマツの東京本社では夏季の節電対策として、ビルの“フロアごと”に輪番休日を導入しました。社員を勤務する階ごとに区分し、月~金曜日に輪番で1日ずつ休ませるしくみです。休日の取得には有給休暇を消化したり、祝日を振り替えたりして対応。土、日曜日は従来どおり所定休日のままなので、あわせて“週休三日”となります。化学大手の三菱ケミカルでも、東京本社ビルの各フロアが半日ずつ業務を休む「輪番休業」の取り組みを、7月中旬から2ヵ月間実施する予定です。たとえば月曜の午前は4階、午後は5階、火曜の午前は6階というように半日ずつ輪番で休業し、空調や照明を止めることで、毎週本社全体が半日休むのとほぼ同じ節電効果が得られるといいます。
労務行政研究所が4月下旬の時点で、東京電力・東北電力管内の事業所を対象に調査を行い、各社がどのような節電対策を検討しているかを「本社・本店等」「工場・倉庫等」「営業所・店舗等」の三つに分けてたずねたところ、「所定休日の変更(輪番休業などで本来の所定労働日を平日から休日へ移行)」を本社・本店等の節電対策として挙げた企業は36.2%でした。工場・倉庫等では52.5%、営業所・店舗等では23.3%で、「所定外労働の削減の徹底」「始業・終業時刻の繰り上げ」「夏季連続休暇の時期・長さの変更」といった対策と並んで、検討している企業が多いことがわかりました。
こうした労働条件の変更・見直しが、従業員の生活に大きな影響をもたらすことはいうまでもありません。導入にあたっては、労働基準法などの法令を遵守することはもちろん、各事業場の実情を踏まえて労使が十分に話し合い、双方が納得した上で、節電対策が適切に実行される環境を整えることが肝要です。先述の日立製作所では、輪番休日を実施して土日を出勤日とした場合、小さな子どもや要介護者を抱えた社員の家庭で世話をする人がいなくなるなどの懸念がありました。そこで同社は、該当する社員約2,000人を対象にベビーシッターや託児所、介護施設などの利用料を補助。近隣にそうした施設やサービスがない社員にも配慮して、グループ内の7拠点に土日限定の臨時託児所を設置する予定です。
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