企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】プロボノ プロボノ

「プロボノ」とは、ラテン語の“pro bono publico”(公共善のために)の略で、社会人が仕事を通じて培った知識やスキル、経験を活用して社会貢献するボランティア活動全般を指す言葉です。米国や英国の弁護士が始めた無料の法律相談が発端となって、他分野へ波及。近年は、企業が社員のプロボノ活動を組織的に後押しする動きも見られ、資金力や組織力に乏しいNPO(民間非営利団体)に、自社の人材を提供するといった形で実践の場が広がっています。
(2011/5/9掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロボノのケーススタディ

職能を活かす新しいボランティア手法
社会貢献とスキルアップの両立に期待

ボランティアというと、たとえば地域の清掃活動や、森林整備、障がい者の支援など、ふだんの仕事や本業とは関係のない、“非日常のイベント”をイメージする人が多いのではないでしょうか。そうしたボランティアに対する先入観から「やってみたいけれど経験がないので……」と、二の足を踏んでいる人も少なくないはずです。実際、各種調査では、国民の6割以上がボランティアに関心を持ちながら、実際に参加した経験のある人はそのうちの2、3割にとどまるという結果も出ています。

社会人としての自らの専門知識や仕事上のスキルを社会貢献に活かす「プロボノ」は、いわば“本業の延長”であり、その点で従来のボランティア活動とは大きく異なります。慣れ親しんだフィールドで活動できることから、参加のハードルが低く、継続しやすいという大きなメリットがあるのです。

もともと米国の弁護士による低所得者向けの無料法律相談サービスが始まりといわれるプロボノの取り組みは、やがて税理士や会計士、コンサルタントといったフリーランスの「士業」に波及し、一般企業のビジネスパーソンにまで広がっていきました。2000年以降、おもに米国や英国でさかんになり、日本でも注目されるようになったのは、リーマン・ショックに象徴される金融機関などの金もうけ主義への反発から、あらためて個人の働き方を見直そうという機運が高まったことが理由のひとつだと考えられています。発祥地の米国では、法律や経理、広報、デザイン、システム開発などの各種スペシャリストが、「月に何時間」あるいは「年に何日」と時間を決めて、無償でNPOの相談や支援活動にあたるというのが、ごく一般的なプロボノのイメージです。

日本でも、プロボノ希望者をNPOなどに仲介するサービスの登録者数が2010年の1年間で前年比2.5倍になるなど、大きな伸びを示しています。支援する側にとっても個人のスキルアップやモチベーションアップにつながることから、一部の先進企業では、社員のプロボノ活動への参加を組織的に後押しする仕組みづくりが始まっています。ゴールドマン・サックス証券は、昨年8月から社内で女性中心のチームを作り、教育や子育て関連のNPOの財務見直しを支援するプロボノを立ち上げました。日本IBMも昨年3月から教育関連のNPOやコミュニティーカレッジを支援するプロジェクトを発足、NECでは社会起業家が興したソーシャルベンチャーなどの支援に力を入れています。

プロボノは社会貢献やボランティア活動の新しい手法であると同時に、物質的な利益にとらわれない新しい働き方のひとつであり、新しいプロフェッショナリズムの表現であるともいえるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

産業保健活動総合支援事業
「産業保健活動総合支援事業」とは、企業の産業保健活動に対する効果的な支援を促進するために、厚生労働省が2014年4月から運営を開始した新事業です。「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(201三年12月24日閣議決定)をうけて、同省は、産業保健を支援する既存の三つの事業――地域産業保健事業、産業...
マッチングギフト
「マッチングギフト」とは、企業や団体などが社会貢献を目的として寄附や義援金を募る際、寄せられた金額に対して企業側が一定比率の額を上乗せし、寄附金額を増やした上で寄附する上乗せ贈与制度のことです。近年、企業が従業員の募金活動を金銭的にサポートするしくみとして導入するケースが増えており、会社が従業員か...
転進支援制度
従業員の多様なライフプランに対応して、その転職や独立を支援する制度のことです。65歳までの雇用を継続できない企業が、従業員のセカンドキャリアを支援するために設けているケースも少なくないようです。

関連する記事

人事マネジメント「解体新書」第57回 社員の「ボランティア活動」と企業の支援(前編)
企業の社会的責任(CSR)が注目されているが、2011年の「東日本大震災」以降は、社員の「ボランティア活動」を推進する企業が増えているという。 それでは、実際に社員はどのようにボランティアに取り組み、企業はそれをどうサポートしているのか――。 『前編』では、「...
2012/06/25掲載人事マネジメント解体新書
人事マネジメント「解体新書」第58回 社員の「ボランティア活動」と企業の支援(後編)
『前編』では、企業におけるボランティア活動の新たな動きを見てきた。『後編』では、社会貢献を第一の目的にしていると同時に、新たに、東日本大震災による被災地での社員のボランティア活動への参加を「人材育成の場」(事例1)、あるいは「気づきの場」(事例2)として取り組...
2012/07/02掲載人事マネジメント解体新書
ダレのための解禁日なのか?
毎年学生と企業を悩ます新卒採用の「解禁日」。解禁日を厳守している企業は年々減少し、形骸化が進む今、「解禁日」は本当に必要なのでしょうか。「解禁日」に関する調査結果から、企業と学生の本音に迫ります。
2018/04/09掲載新卒・パート/アルバイト調査

関連するQ&A

ボランティア活動
社員のボランティア活動に対し、会社が交通費を支給することは可能でしょうか。
ボランティア活動の際の事故・・・
よろしくお願いいたします。 会社が参加を勧めているボランティア活動に、従業員が公休日を使い、参加。 その際に、行き返り移動時、あるいはボランティア活動中の怪我や事故については、会社としてはどのような対応が必要でしょうか。 基本ボランティア活動のため、業務ではなくあくまでも休みを使っての参加です。 し...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 人材開発 ]
新卒採用向けの「採用管理システム」を比較する4つのポイントを解説! 特長や料金も一覧で検討できます

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

シェアNo.1採用管理システムi-web

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


新卒採用向け「採用管理システム」導入のポイント~競争力を持った採用活動の実現に向けて~

新卒採用向けの「採用管理システム」。導入する際に押さえておくべきポイントと選び方のヒントを解説


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


3年目社員の「賢い」育て方 (第1回)

3年目社員の「賢い」育て方 (第1回)

「若手社員の約3割が、入社から3年以内で退職している」といわれる。今や...


「ワーク・ライフ・バランス」実現に向けて<br />
~企業は何に取り組むべきなのか?

「ワーク・ライフ・バランス」実現に向けて
~企業は何に取り組むべきなのか?

近年、長時間労働の是正や育児支援制度の導入など、企業の「ワーク・ライフ...