ノマドワーカー
ノマドワーカーとは?
「ノマド」(nomad)とは、英語で“遊牧民”を指す言葉。定住地を持たない遊牧民のように、オフィスに縛られることなく、喫茶店やファストフード店などを活用して、働く場所を自由に選択しながら仕事をする働き方を「ノマドワーキング」といいます。このような働き方を選択する人々は「ノマドワーカー」と呼ばれ、近年注目が集まっています。クラウド・コンピューティングの出現やモバイル端末の高性能化、ネットワーク環境の高速・大容量化など、テクノロジーの進化によって実現・普及が有望視されている新しいワークスタイルです。
生産性向上とワーク・ライフ・バランスの改善を実現する
オフィスに縛られない新しい働き方
ノマドワーキングに代表される“場所や時間の制約に縛られない”柔軟な勤務形態に、注目が集まっています。労働力人口の減少やグローバル競争の激化など、日本企業を取り巻く経営環境が厳しさを増すなか、企業の競争力を維持するために、社員一人ひとりの生産性や効率を引き上げるワークスタイルが求められるようになりました。いつでも、どこでも、オフィスと同じ環境で作業ができる――テクノロジーの進化が、そうした仕事術をノマドワーキングという形に具現化しつつあるのです。また先の東日本大震災の教訓に学ぶとすれば、非常事態によって出社困難な社員が出てきた場合の対応策としても、こうした柔軟なワークスタイルの導入が検討されるべきではないでしょうか。
もちろん個々のビジネスパーソンにとっても、うまく機能すればワーク・ライフ・バランスの改善につながる、豊かな働き方であることは間違いありません。日常的に実践している「ノマドワーカー」はまだわずかですが、現に彼らの多くは外出先でのすき間時間を効率よく活用し、通勤ラッシュや無用の残業から解放されるなど、そのメリットを享受し始めています。
ノートPCやスマートフォン、クラウドサービスなどを駆使することで、「サードプレイス」と呼ばれる、自宅でもオフィスでもない、いわば“第三の自分の居場所”で仕事を進めることを可能にしたのがノマドワーキングのスタイル。カフェや公園、乗り物の中、クライアントのオフィスなどが、このサードプレイスとして活用されています。周囲の騒音や人目が気になって、一見作業に集中しにくい環境のようにも思われますが、「普段から仕事の九割はオフィスの外」というコンサルタントの中谷健一氏は、ノマドワーキングの実践法を説いた著書『「どこでもオフィス」仕事術』において、「集中力は場所を変えることによってコントロールできる」「仕事の内容や身体のサイクルに応じて働く場所を意図的に変えることができれば、より快適に、より効率的に仕事ができる」と指摘し、「ノマドワーキングにもっとも向いているのはルーティンワークではなく、知的創造型の仕事」だと強調しています。
もっとも、会社の管理が行き届きにくいオフィスの外での作業には、当然、セキュリティの面でリスクも伴います。個人が、オフィスにいるのと同じように自社の情報を大量かつ自由自在に取り扱えるとなると、情報流出やPC・携帯端末の盗難、紛失といった事態に直面した場合、その被害はきわめて深刻なものになるでしょう。
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