企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ギジュツケイエイ 技術経営(MOT)

「技術経営」(MOT:Management of Technology)とは、技術力をコアコンピタンスとする企業・組織が、その事業の持続的発展のために研究開発や技術開発の成果を事業化に結びつけ、新たな経済的価値を創出していくマネジメントのこと。あるいはそれを推進する学問的研究や教育プログラムなどを指します。技術を経営資源として戦略的・効率的に活用するためには、テクノロジーとマネジメントの双方に精通した人材が必要であり、こうした技術経営(以下、MOT)人材の育成が、わが国の産業界においても喫緊の課題として浮上しています。
(2010/12/6掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

技術経営(MOT)のケーススタディ

技術のマネジメント――原点はアポロ計画
MBAにかわる産業競争力強化の切り札に

現在のMOTにつながる発想が生まれた原点は、当時の最先端テクノロジーを結集した米国のアポロ計画だといわれています。人類を月に運び、無事地球まで帰還させるという巨大プロジェクトをスケジュール通りに完遂するためには、持てる技術とノウハウをあらゆる面で緻密にマネジメントする必要があったのです。1960年には、マサチューセッツ工科大学(MIT)でアポロ計画関連の技術マネジメント研究が始まりました。MITのスローン・スクールには、エド・ロバーツ教授を中心とするMOTグループが設立され、81年には大学院生向けの「MOTプログラム」が開講。これがMOT隆盛の契機となりました。

かつて米国のビジネス界では、MBA(Master of Business Administration)が一世を風靡。企業戦略やプロジェクト戦略の構築を担う人材を育成するために、MBA教育がさかんに行われ、企業はMBA取得者を将来の経営幹部候補として積極的に雇用していました。しかしMBAでは、技術や研究開発を経営資源として重視してこなかったという反省から、技術革新を理解し、それを企業経営に活かせるマネジメント人材を育てようという動きが高まってきました。MITのビジネススクールである、前述のスローン・スクールにMOTが導入された背景には、まさにそうした流れがあったのです。

逆もまた真なりで、技術的にいくら成功したとしても、必ずしも事業化に成功するわけではありません。現に90年代におけるわが国の製造業の国際競争力の低下は、世界トップクラスにある研究開発投資や特許取得に比べて、極端に低いマネジメントレベルが原因であるともいわれています。テクノロジーは自然科学分野、マネジメントは社会科学分野として切り離されてきた従来の日本の学校教育体制の下では、さらなる産業競争力の衰退さえ危惧されます。こうした現状を踏まえ、日本経済の活性化に資するMOT人材を養成していくための技術経営(MOTプログラム開発事業が、現在、経済産業省、日本経団連、三菱総合研究所を中心に、大学、大学院および民間教育機関とも連携して産官学一体で進められています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

イグジット・マネジメント
「イグジット・マネジメント」(Exit Management)とは“組織の出口(exit)管理”を意味します。組織の健全な新陳代謝を促すために、雇用の入口にあたる採用の一方で、出口に相当する退職などの個人との関係解消についても戦略的に計画・管理する人材マネジメントのことです。社内外の流動化を高め、...
エンプロイメンタビリティ
「エンプロイメンタビリティ」(employmentability)とは、「企業の雇用能力」を意味する用語です。雇用される側からみて魅力的な企業か、継続的に雇用されたいかといった価値に関する概念で、雇用主としての能力や優秀な人材をひきつける吸引力を表します。単に高報酬を保障できればいいということでは...
タレント・マネジメント
人材こそ企業の競争力の源泉と見なし、採用から配置、育成、キャリア形成といった一連のプロセスを効果的に管理・支援するしくみを指します。

関連する記事

研修・人材育成とは
人材育成のために、今、企業に求められていることは何か。企業における人材育成の現状について確認し、今後、どのような対策を行っていけばいいのか、進むべき方向性を整理した。
2012/10/12掲載よくわかる講座
人事マネジメント「解体新書」 第30回 「タレントマネジメント」の時代(前編) ~ポストHRM・HCへ。いま、多様な人材の適切な配置・活用が求められている
人事マネジメント「解体新書」 第30回 「タレントマネジメント」の時代(前編) ~ポストHRM・HCへ。いま、多様な人材の適切な配置・活用が求められている
2009/10/09掲載人事マネジメント解体新書
人事部課長に聞いた 人事戦略の現状と課題
民間調査機関の労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)は、「人事部課長に聞いた 人事戦略の現状と課題」についてのWEBアンケートを実施。本記事では、その中から「経営戦略上の重要テーマ」「『人材育成』に関する人事戦略」「人事戦略の策定・明文化」について取り上げます。
2012/08/20掲載人事・労務実態調査

関連するQ&A

英語で学べるマネジメント研修について
英語で学べるマネジメント研修を探しております。MBAレベルまでは求めておらず、通学形式で長くても半年程度で学べるプログラムを検討しています。また、エリアとしては横浜~東京で求めています。 何か良いスクールやプログラムがありましたらご教示いただきたく、お願いいたします。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 人材開発 ]
新卒採用向けの「採用管理システム」を比較する4つのポイントを解説! 特長や料金も一覧で検討できます

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

シェアNo.1採用管理システムi-web

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


新卒採用向け「採用管理システム」導入のポイント~競争力を持った採用活動の実現に向けて~

新卒採用向けの「採用管理システム」。導入する際に押さえておくべきポイントと選び方のヒントを解説


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


尻込み、指示待ち、評論家……<br />
ひそかに進行する20代社員の“ゆでガエル化”現象とは

尻込み、指示待ち、評論家……
ひそかに進行する20代社員の“ゆでガエル化”現象とは

ゆっくりと進行する危機や環境の変化に対応する難しさを戒めた、いわゆる「...


エンゲージメントサーベイの選択眼を養う<br />
~押さえたい設計の基礎と判断軸~

エンゲージメントサーベイの選択眼を養う
~押さえたい設計の基礎と判断軸~

従業員に長く活躍してもらうために、いかに組織の土台を作り上げていけばい...