従業員満足(ES)
従業員満足(ES)とは?
従業員満足(ES:employee satisfaction)とは、顧客満足(CS:customer satisfaction)に対比される概念で、企業内で就労する従業員の業務内容や職場環境、人間関係などに対する満足度のことをいいます。
重要な経営指標のひとつとして注目
「ES→CS→売上増大→企業成長」のプロセスを想定
従業員満足(以下、ES)は、主に報酬や人事考課・評価への満足といった「処遇」に関する項目と、上司や仕事の魅力、組織内コミュニケーションの円滑化や福利厚生などの各種制度の実施といった「働きやすさ」に関する項目に対して満足度を問う、従業員満足度調査(ES調査)によって測定されます。その結果を項目ごとに分析し、値の低い項目については、状況を改善する人事施策の構築と運用により、従業員の活力アップや組織力の強化を図ります。
最近では、この「働きやすさ」を狭義のESとし、これに「働きがい」といった要素を加えた新しい考え方が注目されています。働きやすい会社の従業員満足度は確かに高いですが、外的動機付けによる満足度の向上だけでは、従業員の活力アップには限界があるという考え方によるものです。
2007年は新規採用枠が拡大し、就職戦線はバブル期以来の活況を呈しました。一方で、入社3年以内で会社を辞める若者が後を絶ちません。企業が求める人材を質・量共に確保するには、「働きがい」のある会社であることが必要だといえます。「働きがい」は「働きやすさ」以上に、個々の従業員の価値観や生き方に深く関係するので、捉えにくいものではあります。
企業活力研究所が実施した調査、「若手企業人の『働きがい』の向上に向けて(平成19年4月)」によれば、働きがいの形成に必要な要素は、以下の5つの分野に集約されます。
第一に、経営理念や事業ビジョン、運営方針など経営者や上司に対する共感や尊敬といった「マネジメントに対する信頼」。第二に、仕事や会社そのものに対する面白さややりがい、意義といった「仕事や会社に対する誇り」。第三は職場内の円滑なコミュニケーションによって醸成される「連帯感」。第四が自分の仕事が誰かの役に立っているという「貢献実感」。そして、第五が、会社の前途への見通しや、自分自身に関する成長欲求という、個々のキャリアデザインも含めた「将来展望」です。
これらの要素を満たし、ESが高いと判断できる企業は、市場においても高い競争力を有する例が多いといえます。ESはいまや企業にとって、重要な経営指標のひとつとして位置づけられています。
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