【ヨミ】シンリテキジュウナンセイ

心理的柔軟性

心理的柔軟性とは?

「心理的柔軟性」とは、「今、この瞬間」への気づきを持ちつつ、自分が本当に大切にしたい価値に集中し、効果的な行動をとる能力のこと。「ACT(アクト:Acceptance and Commitment Therapy)」と呼ばれる心の健康を維持・回復させる療法に用いられています。ACTは米国の心理学者、スティーブン・ヘイズ氏とケリー・ウィルソン氏によって提唱されました。マインドフルネスの考え方をベースに心理的柔軟性を高めることが、心の健康につながると説いています。ACTが世界的に認められるようになったことで、心理的柔軟性への注目も高まりました。

掲載日:2023/02/16

「心理的柔軟性」と「心理的安全性」の違いは?
心理的柔軟性を高めるための方法

あなたの周囲に「安定感があり、何かあったときに頼りたい」と感じさせる人はいますか。特別に目立つわけではないけれど、仕事ができて周囲からの信頼も厚い。器が大きく、大局を見失わない安定感がある——。その人は「心理的柔軟性」の高さから、周囲にポジティブな印象を与えているのかもしれません。

心理的柔軟性が高い人には、「自分にとって大切なものがわかっている」「変えられないものは受け入れる」「状況をマインドフルに見分けられる」という特徴があります。

人は未知やトラブルに遭遇すると、「こんなことになって、あの人はどう思うだろう。正直に状況を話して、降格にでもなったら嫌だな」などと、種々雑多なことが頭に浮かびます。起こってもいないことを想像して身動きが取れなくなり、仕事のパフォーマンスが下がることもあるでしょう。そんなとき、状況をしっかりと把握しながら、「自分が本当に大切にすべきこと」「変えられないもの」を見分ければ、硬直状態に陥らず柔軟に対応することができます。

前出の「ACT」では、心理的柔軟性を高めるためのアプローチとして「脱フュージョン」「拡張」「接続」「観察する自己」「価値」「目標に向かう行動」の六つが紹介されていますが、ここでは「脱フュージョン」を解説します。フュージョンとは一体化のこと。日常生活の中ではいろいろと考え事をしますが、役立つアイデアもあれば、思い込みや偏見もあります。それらの思考と自分自身が距離を取れずに一体化すると、時間やエネルギーを消耗してしまいます。ここで必要なのが、四つ目の「観察する自己」にもつながる「メタ認知力」です。現実をありのままに捉えつつ、自分の思考と距離を取ることで、冷静に判断しやすくなり、心理的柔軟性が高まっていきます。

心理的柔軟性と似た言葉に「心理的安全性」があります。心理的安全性はチームに宿る概念。心理的柔軟性の高いメンバーが集まることで、チームの心理的安全性が高まると言われています。メンバーの中でも、リーダーの心理的柔軟性は特に強くチームに影響します。

勘違いされがちですが、心理的柔軟性は持って生まれたパーソナリティではありません。誰もが習得できるスキルのため、鍛えることが可能です。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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