ルーブリック
ルーブリックとは?
「ルーブリック」とは、学習目標の達成度を評価するためのツールです。評価の「観点」を縦軸、到達度をレベル別に並べた「尺度」を横軸に、マトリクス形式で表した評価基準表のことをいいます。「観点」と「尺度」が交差するマスには文章で評価基準を記載。主に数値化しづらい課題において、学習者のパフォーマンスの質を評価するために使われます。ルーブリックは教育現場で用いられることが多いツールですが、近年は企業の人材育成などでも活用されています。
ルーブリックは評価の透明性を高める
成長の道しるべにも
学校では、テストによって点数が付けられ、学習の達成度をある程度数値で知ることができました。しかし社会においては、○と×で評価できることのほうが少ないのではないでしょうか。状況によって正解が変わったり、知力より人柄が影響したりと、成長のためにどのような努力をすれば良いかは明確ではありません。
そのような状況下で、一つの道しるべとなってくれるのがルーブリックです。テスト形式での数値化が難しい観点を評価するのに適しています。4〜5段階程度にレベル分けをして評価するため、できる・できないといった評価ではなく、どの程度できるかをグラデーションで捉えることができる点が特徴です。
ルーブリックの第一人者として知られるのは、米国のポートランド州立大学の名誉教授、ダネル・D・スティーブンス氏。日本では、2010年代にルーブリックが広まりましたが、背景には教育現場でのアクティブ・ラーニングの浸透があります。アクティブ・ラーニング導入に際しては、決められた内容を学習するだけではなく、学習者が主体的に学ぶことの重要性が強調されました。しかし、「ディスカッション」や「体験」を従来の評価軸に当てはめて評価することは難しく、ルーブリックが取り入れられることになったのです。
ルーブリックは、評価の「観点」を縦軸に、評価の「尺度」を横軸に並べるのが基本。それぞれが交差するマスに記述式で評価基準を記します。たとえば、プレゼンテーションの良し悪しを評価するルーブリックで、観点の一つに「論点の提示」があったとします。評価の尺度が4段階なら「4. 論点が明確で、伝えたい内容が誰にでもわかる」「3. 論点が提示されており、伝えたい内容が8割程度わかる」「2. 論点は記載されているが、筋が通っていない箇所もある」「1. 論点が提示されていない」といったように、レベルごとに評価の基準を文章で記載します。
企業においては、研修の達成度を示すために用いられたり、バンド型賃金の基準を定める際に活用されたりもしています。ルーブリックは、評価者と被評価者の認識をすり合わせることができ、「何が評価されるのか」が明確になるため、評価の透明性向上にもつながります。目線合わせに用いることができるツールだからこそ、ルーブリックの基準は一度定めて終わりではなく、双方が納得できるように随時修正し、改善を重ねていく必要があります。
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