パースペクティブ・テイキング
パースペクティブ・テイキングとは?
「パースペクティブ・テイキング(Perspective Taking)」とは、相手の立場に立って物事を考えること。日本語では「視点取得」などと訳されます。ミスコミュニケーションはさまざまな要因によって起こりますが、相手が置かれている状況を理解できず、互いに一方向からしか状況を捉えられていないことも要因の一つ。自分の視点を異なる立場に移動させ、その視点から見える景色や感情、考えなどを推測することによって相互理解を図り、問題の解決に向けた折衝を円滑にします。
パースペクティブ・テイキングで
「自分はわかっていない」から始めよう
「どうしてわかってもらえないんだろうか」。他者と働いていると、うまく話が通じない場面に出あうことがあります。そうした際に、イライラした態度をとってしまったり、異なる見解を無視して自分の考えだけを強行に押し通したりしていないでしょうか。
意見が対立していたとしても、多くの場合は双方の体験や知識レベルに違いがあったり、言葉が足りなかったり、相手の置かれている立場を想像できていないなど、相互理解が足りていないだけなのかもしれません。昨今のテレワークの浸透によって、以前のような対面でのコミュニケーション機会が減り、言葉のバックグラウンドを想像しにくくなったことも確かです。
たとえば、リモート会議で部下が的外れな発言をしたとします。会議を主導する上司の立場からすれば「集中力が散漫になっている」ように映るかもしれませんが、部下のデスク周りには子どもがいて、突然世話が必要になったのかもしれません。
異なる立場の他者を理解するためにまず必要なのは「自分はわかっていない」と理解することです。思い込みや偏見によって、自分から見えている状況に“色”がついていないかどうかを考えます。人は自分に都合のいい情報ばかりを集めがちです。自分の考えが必ずしも完璧ではないこと、相手の行動に関する推測が間違っているかもしれないことを意識することが重要です。
パースペクティブ・テイキングを鍛えるときによく用いられるのは、ロールプレイング。役柄になりきり演じることで相手の視点を獲得し、情緒的な共感を得られやすくなります。他者の視点を取得することで異なる環境下にある人を尊重できるようになり、偏見を捨てて協力関係を築き、建設的な話し合いも可能になるでしょう。
用語の基本的な意味、具体的な業務に関する解説や事例などが豊富に掲載されています。掲載用語数は1,400以上、毎月新しい用語を掲載。基礎知識の習得に、課題解決のヒントに、すべてのビジネスパーソンをサポートする人事辞典です。