アンドラゴジー、ペダゴジー
アンドラゴジー、ペダゴジーとは?
人材教育には大きく分けて二つの理論があり、大人に必要な教育理論のことを「アンドラゴジー」、子供の学び方のことを「ペダゴジー」といいます。どちらもギリシャ語がベースの言葉です。学校では、先生が生徒に物ごとを教え、学びそのものをゴールとする学校教育を行っています。そういう意味でペダゴジーは、他者依存的な教育体系ということができます。一方、大人の学びのアンドラゴジーは、学びの先にある結果や実践を重視する、自己決定的なアプローチです。企業研修でアンドラゴジーを念頭におかずに設計すると、依存的な人材を育てることになってしまいます。
知識を付与するつめこみ研修は
依存型の人材を増やすだけかもしれない
皆さんの企業では、どのような研修を行っていますか。講師が一方的に話すだけの、知識付与型の研修になってはいませんか。基礎知識や技術を学ぶ上で、確かにティーチングは効果的です。しかし知識付与型のカリキュラムは、基本的にペダゴジーになりがちです。つまり、大人を相手に、子ども向けの教育方法をとってしまっているのです。
アメリカの成人教育の理論家であるマルカム・ノールズは、アンドラゴジーの概念を発展させる際、「自己概念」「学習経験」「レディネス」「方向付け」「動機付け」という五つの観点で、子どもの教育とは異なっていることを発見しました。その違いを意識することで、より大人向けの教育に近づくことができるといわれています。しかし昨今では、子どもにアンドラゴジーを適応することで学びを促せるケースもみられており、単純に「大人向け」「子ども向け」という話ではなくなってきているようです。
なぜ私たちは教育を受けるのでしょうか。子どものころは、試験で良い点をとるためでした。勉強そのものが目的だったのです。しかし、大人は研修を受けることが目的ではありません。企業の業績向上に貢献するため、あるいは、よりよい世の中をつくるためなど、学習の先に目的があるから学ぶのです。
アンドラゴジーを必要とする人たちには、特長があります。学ぶ必要性を理解していないと学びにつながらないこと、これまでの人生経験があること、実利的で役に立つものに興味があることなど。どれだけ知識を与えられても、実務でその知識を活用して実績を上げることができなければ、その作業は意味をなしません。
そのため、社員に研修を受けさせる際には、ファシリテーターは答えを持っている「先生」ではなく、思考の方向性を指し示す「ガイド」でなければいけません。問いを投げかえていくことで、参加者である社員が内発的な動機から学びに向かうことができるようになるのです。
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