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【ヨミ】シュッコウキギョウ 出向起業

「出向起業」とは、大企業などに所属している人材が、辞職せずに自ら起業したり、スタートアップ企業に出向したりすることによって、フルタイムで新規事業創出に向けた実務に従事すること。経済産業省が出向起業を支援する補助金制度「大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金」を新設したことで、注目を集めています。同制度では、これまで活用されてこなかった経営資源(人材・知的財産含む)の開放を促進し、新規事業の担い手を増やしていくことを目的にしています。

出向起業のケーススタディ

出戻りも可能な出向起業制度で
起業のセーフティネットを

「2019年版 中小企業白書」によれば、日本の開業率は1988年の7.4%をピークに減少傾向に転じ、2017年は5.6%でした。諸外国の状況を見ると、フランスが13.2%、イギリスが13.1%、ドイツが6.7%で、日本を上回っています。ただし、これらの国では廃業率も高く、日本の廃業率3.5%に対して、イギリスが12.2%、フランスが10.3%、ドイツが7.5%となっています。

各国で統計方法が異なり、単純比較はできませんが、少なくとも日本は開業も廃業も多くなく、新規事業への取り組みが諸外国ほど活発ではないことがわかります。日本は新卒一括採用の文化があるため雇用の流動性が低く、一度退職すると復帰しにくくなることが要因の一つといえます。

そうした背景もあり、経済産業省は2020年、出向起業を後押しする補助金を新設。条件を満たす企業に最大500万円を支給することを決定しました。補助を受けるための出向起業の定義は、次の通りです。

(1) 新規事業創造を行うために、大企業等に所属する人材が、所属元企業以外の資本(経営者の個人資本含む)を80%以上活用して会社を設立すること。(所属元企業資本比率20%未満)
(2) 大企業等に所属する人材が、自ら設立した新会社への出向等によりフルタイムで経営者として新規事業創造に向けた実務に従事すること。
(3)設立した新会社および出向等により従事する経営者に対しては、そのまま独立する、または所属企業へ戻る(買い戻す)計画・オプションが用意されていること。

これにより、新規事業がうまく行けば独立、うまく行かない場合は所属元企業へ復帰という、リスクを低減した起業が可能になりました。「出向起業等創出支援事業」のポータルサイトによれば、関西電力や三菱UFJ信託銀行、NECといった企業出身の起業家がすでに支援を受けているとのこと。日本経済やスタートアップ業界に、新たな流れを起こすことが期待されます。

・参考
2019年版 中小企業白書(中小企業庁)
「出向起業等創出支援事業」ポータルサイト

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