企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】カジョウテキオウ 過剰適応

「過剰適応」とは、ある環境に合うように、自身の行動や考え方を変える程度が度を超えている状態を指します。その結果、うつ病やパニック障害といった二次障害を引き起こすこともあり、精神疾患者に陥りやすい人が持ち合わせている傾向ともいえます。人から良く思われたい、認められたいという「承認欲求」は社会生活を営んでいる限り誰もが抱くものです。その欲求が強くなるあまり、自己の本質よりも他者に認められるための行動を優先してしまい、心身を消耗してしまう。またそれを習慣的かつ反射的に行ってしまうのが過剰適応の特徴です。

過剰適応のケーススタディ

自分も他人もOK
部下を過剰適応にさせないために

相手の機嫌をそこねないよう、相手に合わせることを優先してきた。親の期待に応えるべく行動し、いつも「いい子」だと言われてきた。悪いことが起こると、周囲ではなく自分を責める。自分の欲望や主張より、相手の意向を尊重する――。程度に差こそあれ、ほとんどの人が「周囲を気にする」行為を経験しているのではないでしょうか。他者を尊重するのはパーソナリティの一つでもあり、どこからが過剰なのか明確に線引きをするのは難しいものです。

「適応」と呼ばれるものには、二種類あります。一つは、社会や現実の要求に応じて、自分を変化させていく「外的適応」。もう一つは、内面的に幸福感や満足感を経験し、心的状態が安定していることを指す「内的適応」。何をもって過剰と判断するかの目安となるのが、これらのバランスです。外的適応が重視されすぎており、内的適応が軽視されている場合に、過剰適応傾向にあると判断することができます。

過剰適応には、「アサーション」と呼ばれる自他尊重の考え方の訓練が有効です。一般にコミュニケーションにおける表現は、攻撃的な自己表現、非主導的な自己表現(過剰適応)、相手と対等な自己表現(アサーティブ)の三つがあります。アサーションでは三つ目のアサーティブな状態を目指すトレーニングで、「相手を傷つけず自分も傷つけない」自他尊重のマインドを持つことで、自己犠牲的な承認を軽減させていきます。

場合によっては、精神疾患にもつながりかねない過剰適応。自分の感情を抑える「感情労働」を求められる職場では、過剰適応状態に陥りやすい環境といえます。上司は部下を過剰適応状態にさせないよう、自分や同僚の顔色をうかがってストレスをため込んでいる因子が見られたら、彼らが自尊感情を取り戻せる環境を整えるためのサポートが必要です。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

セルフ・コンパッション
「セルフ・コンパッション」とは、あるがままの自分を受け入れること。コンパッションとは英語で思いやりのことで、直訳すると「自分に対する思いやり」という意味になります。2011年に米国テキサス大学のクリスティーン・ネフ氏によって『セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる』が出版され、ネガティ...
アサーション
「アサーション」(assertion)とは、より良い人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルの一つで、「人は誰でも自分の意見や要求を表明する権利がある」との立場に基づく適切な自己主張のことです。トレーニングを通じて、一方的に自分の意見を押し付けるのでも、我慢するのでもなく、お互いを尊重しな...
DESC法
「DESC法」とは、ポジティブなコミュニケーションを行うための方法で、率直で誠実な意見の伝え方を目指します。DESCは自分の意見を述べるための四つのプロセスの頭文字をとったもの。Dは「Describe」で客観的に事実を描写すること、Eは「Express」で自分の感情を率直に伝えること、Sは「Spec...

関連する記事

尾形真実哉さん: リアリティ・ショックの扱い方がポイントに 新入社員の組織適応を促す要素とは
この4月に、新入社員を迎えた企業は多いでしょう。昨今の労働力不足を考えると、採用した人材が組織に定着し、長きにわたって活躍するしくみを整えることは、企業にとって重要な課題といえます。では、新入社員が入社初期の葛藤を乗り越えて組織に適応するために、何が必要なので...
2020/07/13掲載キーパーソンが語る“人と組織”
職場のモヤモヤ解決図鑑【第2回】 1on1で、ついつい上司ばかりが話してしまった
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!
2020/02/18掲載編集部注目レポート
小島貴子さん:ダイバーシティ・リーダーシップが会社を変える、日本を変える「自分で決められる人材」の育て方とは
変化と多様性の時代に、職場のキーパーソンとして求められるのは「自分で決める、決められるダイバーシティ・リーダーシップの持ち主」であると、東洋大学グローバル・キャリア教育センター副センター長の小島貴子准教授はおっしゃいます。元埼玉県庁の伝説のキャリアカウンセラー...
2013/04/08掲載キーパーソンが語る“人と組織”

関連するQ&A

労災の適応に関して
基本的な質問ですが どなたかお願いします。 労災の適応範囲は雇用契約が結ばれていれば全員適用で問題ないのでしょうか? どなたかお答えください。 よろしくお願いします。
就業規則 遅刻の際のペナルティーについて
弊社の役員は、「遅刻」をとにかく嫌っており、 交通機関や自然災害等の理由以外で遅刻をした場合には、 たとえ「1分」の遅刻でも、「半休」扱いとすると 以前から公言し、これが適応されてしまっています。 就業規則の制裁として適応される範囲でしょうか? 従業員からは厳しいという声が多数上がっているため、 ...
みなし労働制について
いつもお世話になっております。みなし労働制をセールス部と管理系部門に展開をしようと検討しておりますが、みなし労働は、事業場外で労働し、労働時間の算定が難しい時に適応されると認識しております。 そこで、内勤の事務系のスタッフにも同じくみなし労働を適応しても、法律違反にはならないでしょうか? また本人が...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「日本一いい会社」を目指すために<br />
社内で「産業カウンセラー」を育成するメリットとは

「日本一いい会社」を目指すために
社内で「産業カウンセラー」を育成するメリットとは

健全な職場環境づくりのプロフェッショナルとして、あるいは社内外の信頼関...