【本誌特別調査】
慶弔見舞金の支給実態(労務行政研究所)
会社支給の場合、結婚祝金は4万円、死亡弔慰金は23万円の水準
2 祝金
本人出産祝金[図表8~9]
会社・共済会とも9割近くが支給。平均は会社・共済会とも約1.9万円
支給している割合は、会社88.3%、共済会88.2%と9割近くに上っている。
規模別では、1000人以上での支給割合は82.2%、300人未満では91.1%と、9ポイントほどの開きがある。その要因として、規模の大きい企業では、会社か共済会のどちらか一方が支給するケースがあるためとみられる。
祝金を支給する場合、第2子以降については「第1子と同額を支給」が会社で83.3%、共済会で92.0%と圧倒的に多い。「第1子よりも減額支給」は会社で9.6%、共済会で5.7%であるが、その場合は “第1子1万円、第2子以降5000円” “第1子2万円、第2子以降1万円” というように、第1子の半額とするケースが多く見られた。
一方、「その他」(会社6.1%・共済会2.3%)に回答があった中では、「第2子以降は第1子よりも増額支給」や「第1子と第2子は同額、第3子以降は増額支給」というように、子どもが多いほど支給額を増やしているケースが見られた。具体的には、“第1子1万円、第2子2万円、第3子以降3万円” “第1子・第2子2万円、第3子以降3万円” などである。2011年の前回調査でも同様の設定が数社で見られており、少子化が進む中で自社なりの考えを反映した例といえよう。
併せて、子どもの人数による支給制限の有無を聞いているが、会社・共済会とも「制限なし」が9割台と大半を占めた。
以上から、子どもの出生順による金額差はなく、また子どもの人数による支給制限もない企業が主流といえる。
祝金の水準を、第1子のケースで集計した[図表9]。会社、共済会とも分布は「1万円台」が最も多く(会社51.5%、共済会46.7%)、平均額は会社が1万8884円、共済会が1万9056円である。
また近年、社員の育児支援を目的として、上記のような出産祝金とは別の位置づけで、比較的高額な一時金を支給する事例(例えば出産時に100万円支給など)が見られるが、今回調査でも同様の支給例が数社あった(なお、このように一般的な祝金と性質が異なるとみられるものは本集計では除外している)。
配偶者出産の場合[図表10]
8割超が支給。内容は「本人出産と取り扱い・金額とも同じ」が大半占める
配偶者の出産についても見ておこう。祝金を支給している割合は会社で85.9%、共済会で86.3%であり、[図表8]で見た本人出産の場合と大きな差はない。支給内容も、「本人出産と取り扱い・金額とも同じ」がほとんどである。
夫婦ともに自社の従業員(共済会員)である場合の出産祝金の取り扱い[図表11]
会社は「一方にのみ支給」、共済会は「両方に支給」が多い
夫婦がともに自社の従業員(共済会員)である場合、妻の出産時の祝金支給をどのように定めているかを尋ねてみた[図表11]。回答企業では、規程上明確なルールがないケースも見られたが、取り扱いが明らかなものについて集計したところ、会社は「一方にのみ規定額を支給」が62.3%となり、規模が大きいほどその割合が高くなっている。対して共済会は、「両方に規定額を支給」が63.5%に上り、会社との取り扱いの違いが明らかになっている。
子どもの入園・入学祝金[図表12~13]
支給企業は会社11.3%、共済会35.3%。分布は、5000~1万5000円未満に集中
支給企業は、会社で11.3%、共済会で35.3%である[図表12]。共済会では、1000人以上規模で40.4%と、他の規模に比べ支給する割合が高い。
今回の調査では、小学校・中学校・高校の入学に限定して、祝金の金額を回答いただいた[図表13]。平均額は、小学校で会社1万4571円、共済会1万2229円、中学校で同様に1万5909円・1万1737円、高校で4万円・1万円である(高校は集計社数が少ない点に留意いただきたい)。分布を見ると、いずれの入学時についても会社は「5000~1万円未満」、共済会は「1万~1万5000円未満」が最多となっており、この二つの階級を合わせた5000~1万5000円未満の範囲に分布が集中している。
なお、現金の「祝金」ではなく図書カードや品物を贈る企業も見られたが、金額が明らかな場合はそれらも集計に含めている。
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