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【後編】今改めて考えるべき「日本版ジョブ型」の実態と目的

【前編】では、「日本版ジョブ型」の定義や導入目的、そして2020年代初頭の導入状況を整理しました。2025年現在、DX推進や人的資本経営の浸透といった社会的な要請も相まって、職務の明確化や適材適所の重要性はますます高まっています。

しかし、ジョブ型人事制度は「導入して終わり」ではありません。むしろ、導入後の「運用・定着」こそが最も重要であり、多くの企業が壁に直面するポイントでもあります。

本記事【後編】では、ジョブ型を定着させる上での最大の鍵となる「現場管理職のサポート」の重要性と、人事部門が取り組むべき3つの具体的なポイントについて解説します。
 

【前編】目次
・本来の意味とは異なる「日本版ジョブ型」
・「日本版ジョブ型」を導入する目的
・(参考)2020年代初頭のジョブ型実施状況


【後編】目次
・ジョブ型人事制度の導入で浮かび上がる管理職サポートの重要性
・ジョブ型人事制度の定着に必要な3つのポイント
1.管理職の評価軸の見直し
2.目標管理とその結果の分析/フィードバック
3.「現場視点」という意味におけるHRBP的な存在
・ジョブ型人事制度の導入よりも企業の在りたい姿の浸透を

 

ジョブ型人事制度の導入で浮かび上がる管理職サポートの重要性

「日本版ジョブ型」の肝は、職務やポストの明確化・言語化です 。しかし、この「定義する」プロセスにおいて、現場の協力が不可欠であるにもかかわらず、以下のような問題が発生しがちです。

  • 現場組織側にとって、職務を言語化するメリットが見えにくく、現業が優先されて協力が得られない 。
  • 職務定義のフォーマットを渡しても、部署や記載者によってアウトプット(内容の粒度や質)に差が出てしまう 。
  • 組織変更や職務内容の変動に合わせて職務定義が更新されず、一度作成した定義が陳腐化してしまう 。

人事が考える理想の形が、現場にとっては大きな負担となることもあります。かといって強制的な実施は、現場の不満やモチベーション低下につながるリスクを伴います 。

ジョブ型人事制度を実現するためには、現場管理職に対する制度や施策の理解と浸透、そして協力が不可欠です 。

そもそも、ジョブ型人事制度は、現場の管理職層に対して、以下のような従来以上に高度なアクションを求めるものです。

 

  • 職務やポストの定義作成、および変動に合わせた更新・最適化 。
  • 企業戦略や人事戦略の意義を自分の言葉でメンバーへ浸透させ、適切な組織目標設定と実行責任を持つこと 。
  • チームメンバーの成長やスキルアップ、キャリア形成を促すためのキャリアマネジメント。
  • チームのモチベーションやエンゲージメントを維持し、個人・組織の自律性を高める役割。


特にメンバーの教育や成長については、人事が一律の研修を実施するだけでなく、現場の管理職が日頃の業務やコミュニケーションの中でフォローアップすることが求められます 。

結果として、管理職には、これまでの個人的な経験やパーソナリティをベースとした「優れたタレント」としての対価(管理職等級)ではなく、より「組織や人材をマネジメントする職務」としてのスキルやミッションが求められるようになります。

したがって、「日本版ジョブ型」がクローズアップされる時代においては、実際にジョブ型を導入するかにかかわらず、管理職の役割がこれまで以上に重要となります 。そして、彼らをいかにサポートし、新たな役割へのキャッチアップに貢献できるかが、今後の人事施策の実施と継続における最大のポイントであると考えます 。


ジョブ型人事制度の定着に必要な3つのポイント

では、ジョブ型人事制度を定着させ、管理職の役割遂行をサポートするために、人事部門は何をすべきでしょうか。ここでは3つのポイントを提案します。

ポイント1:管理職の評価軸の見直し
まず、管理職自身の評価制度を見直す必要があります。現業の業績や目標に対する成果だけでなく、それ以上に「組織課題への協力度合い」と「メンバー育成への貢献」を高く評価す必要があります。

例えば、以下のような評価基準を導入することが考えられます。

  • 企業目的や人事戦略のメンバーへの浸透、モチベーション維持やエンゲージメントへの貢献を、管理職としての必須要件とする 。
  • 個人の成果(点)よりも、メンバーの成長を集約した「チームとしての成果」および「企業への貢献」を高く評価する 。
  • メンバーの上位職への昇格や、社内公募への合格人数など、具体的な「キャリア形成への貢献数」を評価対象とする 。
  • 最新の職務状況や、適切な人材情報のフィードバックの「質と量」を評価する。

「管理職は人事戦略に協力して当然」とするのではなく、貢献した管理職は「優れた成果を出している」と明確に評価する人事制度設計が必要です 。これが、ジョブ型人事制度を形骸化させない近道であり、管理職自身のマネジメントスキル向上への意識変化も促すことにつながります。
 

ポイント2:目標管理とその結果の分析/フィードバック

職務やポストを明確に定義し、等級を定めたとしても、適切な目標が策定されなかったり、目標に対して適切なアクションが行われなかったりすれば、組織としてのパフォーマンスは発揮できず、定義した職務内容が適切だったかも評価できません。

結果として、定義した内容が形骸化していくでしょう 。よって、目標管理の正しい運用が必要不可欠です 。

重要なのは、各職務の目標管理やアクションプランの策定・実施結果、そして現れた成果といった「実績」を蓄積し、分析することです 。どのようなメンバーが優秀な結果を出したのか、どんなアクションが組織のパフォーマンスにつながったのかを分析していくことが重要です 。その際、目標設定時や期末の振り返り、あるいは日々の1on1における管理職とメンバーのフィードバック等の記録は、貴重なエビデンスやノウハウとなります 。

目標管理の方法自体も見直す余地があるかもしれません。例えば、目標やアクションプランの策定方法・手順を統一化したり 、目標水準や達成レベルをより言語化・標準化したりする ことで、情報を蓄積・分析しやすくなります。

こうして分析した情報を現場に提供していくことが、管理職による職務定義の最新化や、チームメンバーの成長サポートにつながると考えられます。

 

ポイント3:「現場視点」という意味におけるHRBP的な存在
上記の1・2(管理職の評価見直し、目標管理の分析・FB)を人事部門がすべて実施するのは現実的に不可能です。特に対管理職を中心にフォローする役割が必要であり、その役割を担うことができる存在の一つが「HRBP(HR ビジネスパートナー)」です。

HRBPは、デイビッド・ウルリッチが定義した概念で、「企業経営や事業に対して価値貢献する、HR領域のビジネスパートナー」を指します 。ウルリッチは人事部門が果たすべき役割として4つ(HRBP、管理エキスパート、従業員チャンピオン、チェンジエージェント )を定義しましたが、今回のテーマ(ジョブ型の定着)においては、その中でも特に「従業員チャンピオン=現場視点」がHRBPとして最も重要な観点だと考えます 。

具体的には、ポイント1・2の観点で成果を出した(=メンバー育成や組織課題解決に貢献した)管理職に対してHRBPの役割を与え、他の現場管理職・メンバーのサポートをフォローする仕組みを検討することが考えられます。

過去、多くの人事制度が定着しなかった背景には、人事主導で制度面だけをトレースしていた、という側面があるのではないでしょうか。現場で企業目的や人事戦略の意図を理解し、自らの言葉でメンバーへ浸透させていく管理職と、その言葉に共感する従業員が増えなければ、制度の目的は達成できません 。

「日本のジョブ型」人事制度においては、現時点の成功よりも、今後のメンバー・組織の自律的な成長が最も重要です 。その領域への寄与が可能な人材(=現場を理解し成果を出してきた人材)を正しく評価し、現場管理職のパートナーとして位置付けること 。これが、ジョブ型人事制度を浸透させるためのキーポイントになると考えます 。



ジョブ型人事制度の導入よりも企業の在りたい姿の浸透を
2020年代初頭のコロナ禍によるテレワークの浸透や社会情勢の激変、そして2025年現在に至るDX推進、リスキリングの必要性、人的資本経営への注目といった流れは、経営戦略・人事戦略の変革と即時的な解決策を求める「追い風」となっています。その一つとして、ジョブ型がクローズアップされている側面は否定できません 。
ジョブ型に関する議論は、どのような等級制度を導入するか、報酬や評価はどうなるのか、といった制度やシステム面にクローズアップされることが多いです 。
しかしながら、ジョブ型を先行導入している企業の事例からは、企業のありたい姿やミッションから逆算し、5年~10年かけて様々な人事制度と合わせて、働き方や社内の文化、風土を少しずつ変化させていくための「仕上げ」として導入しているケースが多いと感じます 。
最も必要なことは、制度の導入そのものではありません。
まずは企業や人事がありたい姿を明確に示したうえで、現場管理職をサポートしつつ、その理解と協力を得ながら、従業員全体への浸透を深めていく。この「過程」こそが最も重要である、ということを結論とさせていただきます 。

 

このコラムを書いたプロフェッショナル

伊藤 裕之

伊藤 裕之
株式会社Works Human Intelligence / WHI総研シニアマネージャー

大手企業の人事業務設計・運用に携わった経験と、約1200法人グループのユーザーから得られた事例・ノウハウを分析し、人事トピックに関する情報を発信。

大手企業の人事業務設計・運用に携わった経験と、約1200法人グループのユーザーから得られた事例・ノウハウを分析し、人事トピックに関する情報を発信。

得意分野 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、労務・賃金、人事考課・目標管理、キャリア開発
対応エリア 全国
所在地 港区
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