エンゲージメント・サーベイ「ガッカリ感」の罠

日本人のエンゲージメント<貢献意識>は世界最低レベルである…

そんな話を聞いて、「え?そうなの?」と驚く一方で、「ウチの職場に活気がないのはそのせいか…」と納得する方も多いのではないでしょうか?

別にメンバーが反目しているわけではないのですが、

  • 職場で会話がほとんどない
  • コミュニケーション不足で連携ミスが多い
  • 仕事を押しつけ合っている

などは典型的なエンゲージメント不足の表れです。

そんなとき、「サーベイ(アンケート調査)をやって、現状を確認しよう…」と思うものですが、ちょっと待って。

そこには意外なリスクがあるのをご存じでしょうか?それが、「ガッカリ感の罠」。せっかくサーベイを実施したのに、そのあと何も変わらないと、かえって失望する従業員が出てくるのです。

そうならないためには、導入のダンドリがあります。

「逆算法」と呼んでいますが、まずは「エンゲージメント向上のための打ち手」を仮置きでいいから考えてから、サーベイを実施するのです。

え?そんなこと、できるの?と疑問に思うかもしれませんが、センスのいい企業は取り組んでいます。

たとえば、メルカリさん。

エンゲージメント・サーベイを導入された型はあるインタビューの中で、

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(エンゲージメント・サーベイで出てきた課題は) ほとんどが事前に立てていた仮説とズレることなく、メンバーも大なり小なり分かっていたことでした。うっすら分かっていた課題を、サーベイを通じて、改めて再確認したというイメージです。
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とおっしゃっています。

これであれば、エンゲージメント・サーベイ実施後、素早く解決のための打ち手を採ることができます。

なお、念のためですが、仮説はあくまでも仮説です。エンゲージメント・サーベイを使って恣意的に結論を誘導しようという話ではありません。

本来的なエンゲージメント<貢献意識>は社員の心の奥底に眠っているものです。それを無視して経営陣の勝手な思い込みで施策を打っても、うまく行かないというのが正直なところです。

実はここに人事の大きな役割があります。

現場の情報を的確に収集し、精度の高い仮説を立て、それを経営陣に伝える…

これを実現できる企業が、エンゲージメント・サーベイを活用できる組織です。

 

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  • ロジカルシンキング・課題解決

グロービス経営大学院の立ち上げを担った人材育成のプロ

ワトソンワイアットで人事制度の構築に携わり、その後ロンドン・ビジネススクールに留学し、グローバルリーダー育成の大家スマントラ・ゴシャールに師事(MBA取得)。2012年より米マサチューセッツ大学MBAの教鞭も執る

木田 知廣(キダ トモヒロ) シンメトリー・ジャパン代表

木田 知廣
対応エリア 全国
所在地 港区

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