オーラルケアがビジネスパーソンの喜ぶ健康施策である理由
企業による健康投資は多様化してきていますが、『国民皆歯科健診』の話題など、ここ数年注目が高まっているのが歯科取り組みです。
今回は健康経営の専門家である株式会社イブキの平井氏に、健康経営に取り組む企業とオーラルケアについてインタビューを行いました。
01「健康経営銘柄」に選定された企業が、健康経営に取り組むまでの流れ
平井さんは「健康経営銘柄」に複数選定されている、株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)にて健康経営の専門部署CHO(Chief Health Officer)室を創設し、健康経営に取り組んできたそうですね。そもそも健康経営に携わるようになったきっかけを教えてください。
平井:私は元々、プロゴルファーを目指していたため、競技パフォーマンス向上に向けて色々な健康法を実践していました。運動・食事・睡眠・メンタルなど、多種多様なことを深く突き詰めていた、いわゆる健康オタクですね。その後、DeNAの人事部で働くようになったのですが、2015年頃、腰痛やメタボなど健康面に課題を持つ従業員がいることに気がつきました。
実際に何人かにヒアリングすると、「デスクワークの時間が長いからか、腰が痛くて仕事に集中できない」や「運動不足により体重が増えてしまい、体型を元に戻したい」など聞こえてきました。しかし、健康面の課題を自覚しながら、改善方法がわからない人も少なくありませんでした。
従業員への健康投資は会社のためにもなる
こうした人たちの健康をサポートすることで、本来の能力発揮を促進できるのではないか。私が実践していることや知識をもとに、何かできることがあるのではないか。そう考え、まずは姿勢を整えることで腰痛を緩和するゴムチューブをエンジニアに配り始めました。
自分のできる範囲で、従業員が抱える健康課題の解決に取り組み出した頃、ある経済誌の【時代は『健康経営』エクセレントカンパニーの新条件】という特集を知りました。読んでみると、従業員の健康に投資をすることは経営面でもメリットがあるという企業の実例が書かれていたのです。
経営者と現場の想いの共鳴が健康経営の源
これが大きなきっかけになりました。みんなに健康になってもらいたいという私の気持ちと、健康経営という世の中の流れがうまくマッチするのではないかと思い、様々な専門家の協力の下、DeNA流の健康経営の企画書を一心不乱につくりました。
しかし、「健康は自己責任でしょ」という考えを持つ役員もいて、経営層に理解を示してもらうのは大変でした。しかし、健康状態が悪化することによる労働損失額(プレゼンティーズム)など健康サポートの投資対効果の算出や、会長の「一緒に働く仲間にはいつも元気でイキイキとしていてもらいたい」という想いが決め手となり、健康経営を始めることができたのです。
0220-30代の従業員がもっとも知りたい健康に関する情報とは?
平井さんは健康経営の講演やメディアなどでオーラルケアの重要性を強調しています。それはなぜですか。
平井:2016年1月、DeNAは「健康経営に取り組みます!」と全社に宣言しました。すると、20-30代の従業員中心に、一番多く相談があったのは、「渋谷(本社所在地)でおすすめの歯科医院を教えて欲しい」という内容でした。
「平井さんは健康のためなら死ねる人だよね」と言われるくらい、自身の健康に万全を期していた私は、口の中に課題や不安がありませんでした。そのため、10年ほど歯科医院には行っておらず、すすめられる歯科医院がなかったため、いくつかの歯科医院に実際に行ってみました。その際、かなり厄介なむし歯が発見されたのです。
口の中は死角だった
むし歯があったこともショックでしたし、何より治療には手術が必要だということに衝撃を受けました。私は手術が大の苦手で、健康に気をつかっていたのに、まさか口の中が死角になっていたとは思いもよりませんでした。
そこから、むし歯を治せないかという一心で、歯科医師や研究者など、あらゆる専門家に相談に行きました。結論として、「手術以外では治せない」ということでしたが、試行錯誤をしていく中で、気がつけばオーラルケアに関する知識が豊富になり、その重要性を人一倍実感するようになっていたのです。
例えば、腸活に力をいれた際は、中々実感は得られづらかったのですが、オーラルケアは口の中がすっきりするので、より一層ケアするモチベーションが湧きました。口の中がすっきりすると、リフレッシュできますし、集中力も増す気がします。口の中を整えることの意義を強く感じました。
なぜオーラルケア取り組みが求められたか?
そうした実体験から、DeNAでは新卒研修にオーラルケアセミナーを取り入れました。また、全社の従業員に対しても年間4-5回のオーラルケアセミナーを実施しました。さらには提携先の歯科医院に行くとインセンティブを受けられる制度を作るなど、あの手この手で従業員の歯や口を守る活動を行いました。
これだけ多くの活動を行ったのには理由があります。健康経営の広がりとともに、睡眠やメンタルに関する情報は増えましたが、歯科に関する情報は少なく、学ぶ機会が少なかったからです。実際に、自著(プロフィール参照)で、もっとも反響があったのはオーラルケアについてでした。
DeNAの従業員からは、むし歯や歯周病などのメカニズムではなく、自分に合ったケアの仕方や、歯科医院の見つけ方など実践的な情報が好まれました。
なかには、ドラッグストアに行くたびに新しいハブラシやハミガキ剤を買うくらい、オーラルケアの魅力にはまった人もいました。
結果的に、提携先の歯科医院からは20-30代で予防のために来院するのはDeNAの従業員くらいだと言われるようにまでなりました。少なくともIT企業の中でDeNAはオーラルケアリテラシーが非常に高い会社だと思っています。
03オーラルケアは行動変容が起きやすく継続率が高い
それだけ熱心にオーラルケアの取り組みを行ってみて、どんな気づきがありましたか。
平井:当時のDeNAでは、運動・睡眠・食事・睡眠・メンタルなど幅広いテーマで年間100回ほどセミナーを行っていました。セミナー後のアンケートから、オーラルケアに関するセミナーが、もっとも行動変容を起こしやすく、継続率も高いことが分かりました。
睡眠や食事の方が、行動変容が起きやすいと考えていたので、意外な驚きでした。
そこで、なぜオーラルケアは行動変容が起きやすく継続率が高いのかを考えてみました。
行動変容を起こすには毎日の行動へのアプローチから
まず、行動の取り入れやすさが関係していると思いました。毎日ほとんどの人が、歯をみがいています。みがき方を変える、デンタルフロスを使うなどは、その延長で実践できることから、新しい行動を取り入れるハードルが低いのではないかと思います。
次に、継続率が高い理由は、爽快感と関係していると感じました。たとえば、デンタルフロスを使うと歯間の歯垢が取れ、すっきりした気分になります。人間は気持ちの良い行動は継続しやすいため、継続されやすいのではないかと思います。
オーラルケアに関心を持つことが健康行動の一歩目になる
DeNAでオーラルケア取り組みを進めることで、波及効果がありました。例えば、舌みがきをすることで、味覚を感じやすくなり、薄味志向になった人もいました。歯をみがく回数が増えたことで、口の中を清潔に保ちたいという気持ちが強くなり、間食を減らすようになった人もいました。
このような事例を見聞きすることで、オーラルケア施策は、集中力の維持やリフレッシュ効果など、ワークパフォーマンス向上に役立ち、健康経営の中で非常に価値のある取り組みだと実感しました。
04今後、健康経営に取組む企業におけるオーラルケアの位置づけについて
企業がオーラルケア施策を始める際は、何がおすすめですか。
平井:ビジネスパーソンの多くがオーラルケアに関する基礎知識が不足していると感じます。デンタルフロスを使用していなかったり、ハミガキ剤の成分を意識していなかったり、勿体ない人も多くいます。口腔疾患の発生を防ぐためにも、まずはオーラルケアに関するリテラシーが高まるサポートをされると良いのではないでしょうか。
一般健診でも、自分の体に関心を持っている人は自ら行くものです。リテラシーが高まることで、自発的に歯科医院にいく人も増えると思います。
オーラルケアは従業員のためになる
現在の技術では、歯は失ったら取り返すことができません。しかし、ケアを行うことで、防げることでもあります。従業員に適切な情報を提供し、行動変容のきっかけをつくってあげることは、非常に価値の高い活動だと考えています。先行して取り組む企業の事例が広がることで、今後ますますオーラルケアに取り組む企業が増えていくと予想しています。
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