リテンションマネジメントで“離職防止”をする方法
人を採用してもすぐ辞めてしまう…。そんな課題を抱える企業は少なくありません。
人材流動化が進む今、企業が注力すべきは「採用数」ではなく「定着率」です。
社員が「ここで働き続けたい」と思える環境には、偶然ではなく“仕組み”があります。
その仕組みを設計する考え方が「リテンションマネジメント」です。
この記事では、人材の定着を経営課題として捉え、組織全体で支えるためのポイントと具体的な実践例をご紹介します。
1. リテンションマネジメントとは?
リテンションマネジメントとは、社員が長く意欲的に働き続けられるようにするための「定着設計」のことです。これまでの人事施策では「採用がゴール」となりがちでしたが、それでは人は定着しません。「入社後の体験」まで設計することが大切です。
入社後のオンボーディングから、キャリア支援・評価・学びの仕組みまでを一連の流れで設計することが、社員の離職を防ぐカギになります。
特に注意すべきは、採用・教育・評価の各施策が別々に動いてしまうケースです。
これでは、入社前の期待と実際の体験にギャップが生まれ、早期離職の原因になってしまいます。
リテンションマネジメントは、これらを「従業員ライフサイクル」として再構築し、組織全体で支える戦略的な仕組みとして設計していきます。
2. “辞めない組織”に共通する3つの視点
リテンションを強化するためには、給与や福利厚生だけでなく、「働く意味」を感じられる環境づくりが不可欠です。ここでは、定着率の高い企業が実践している3つの共通視点をご紹介します。
(1)心理的安全性(安心して発言できる空気づくり)
社員が意見を言いやすく、失敗を責められない職場には挑戦が生まれます。
たとえば次のような取り組みが有効です。
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上司と部下が定期的に行う1on1ミーティング
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「学びの共有」が積極的にできる企業文化
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意見を積極的に投稿できる社内SNSの整備
こうした“安心の積み重ね”が、エンゲージメントと信頼関係を強めます。
(2)キャリア支援(成長実感を可視化する仕組み)
人は「成長している」と感じたときに、最もモチベーションが上がります。
定期的なキャリア面談で目標を共有したり、成果だけでなく努力や学びを評価項目に入れたりすることで、離職防止につながります。
上司が部下の“成長のプロセス”を見守る構造をつくることが重要です。
(3)組織文化(共感できる理念の体験化)
たとえ制度が整っていたとしても、「理念」や「ビジョン」に共感できなければ長続きしません。経営層の言葉を動画や社内報で発信し、社員のストーリーを紹介するなど、理念を「体験」として共有することがカルチャー定着のポイントです。
3. 定着を仕組み化する実践例
「リテンションマネジメント」は、日常のコミュニケーションや仕組みの中に組み込むことができます。ここでは、効果を上げている4つの取り組みをご紹介します。
(1)オンボーディングの再設計
入社後90日間を「学びと成長のロードマップ」として設計し、1週間ごとのテーマや到達目標を明確化していきましょう。上司やメンターが進捗を共有することで“自分はこの組織に必要とされている”という安心感を育てることができます。
(2)称賛の見える化
「ありがとう」を見える形にする仕組み(サンクスカードや社内SNS)を導入することで、称賛と承認が文化として定着します。結果として心理的安全性が高まり、エンゲージメント向上につながります。
(3)社員インタビュー動画の活用
社外広報だけでなく、社内向けの発信ツールとしても社員動画は有効です。
「なぜこの仕事を選んだか」「どんな挑戦をしているか」といったリアルな声を届けることで、お互いの理解が深まり職場の一体感を生むことができます。
(4)データ×対話のハイブリッド管理
「エンゲージメントサーベイ」で数値を可視化し、1on1ミーティングで感情面を補うこの「データと心理の両輪」でリテンションを管理するのが理想です。数値だけでなく、対話から得られる温度感を組織運営に活かすことで、再現性のある改善が可能になります。
4. 社内発信が定着を支える
人が定着する組織は、「自分が会社のストーリーの一部である」と感じられる場所です。社内報やメッセージ動画を制作することは、単なる情報共有ではなく、信頼と共感を積み重ねるツールになります。経営者や社員の声が“物語”として伝わることで、会社への愛着と誇りを育てることにつながります。
また、社員の声を拾い上げて発信することも効果的です。
自分の言葉が社内外に届く体験が「この会社に貢献したい」というモチベーションを高めます。
さらに、理念や行動指針を“ビジュアルや物語で見える化”することで、文化が再現可能なカタチで定着します。
5. まとめ|「人が辞めない会社」は設計できる
リテンションマネジメントは、“辞めない仕組み”を偶然ではなく意図的に設計する考え方です。入社後の体験、称賛の文化、成長支援、理念共有などが連動することで、「働く意味」が社員に根づいていきます。
人事部門だけでなく、経営・教育・広報を巻き込み、信頼・共感・誇りを生む社内発信を続けることが、定着戦略につながります。
ホープンでは、採用から定着・育成・成長段階のそれぞれで必要な、人と組織をつなぐ伝わるコンテンツ(社内報・採用パンフレット・メッセージ動画など)を企画や制作だけでなく、印刷まで幅広くサポートしております。
「リテンションマネジメント」の施策について何を行うかご検討中の場合は、ぜひホープンまでお気軽にご相談ください。
このコラムを書いたプロフェッショナル
澁沢 舞
株式会社ホープン 次長
営業・制作経験と人事目線を武器に採用・研修・社内広報をホープンはトータルでサポート。採用・教育・社内施策を実現し「人事の悩み」を企画力とクリエイティブで解決。採用担当のリアルも踏まえながらお客様の課題を解決すべく専門チームを作り提案します。
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| 得意分野 | 人材採用、コミュニケーション |
|---|---|
| 対応エリア | 全国 |
| 所在地 | 世田谷区 |
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