心理的安全性を高める3つの具体的な方法とは?今すぐ実践可能
今回は近年ビジネスシーンで話題の「心理的安全性」について取り上げます。
・心理的安全性とは何なのか?
・心理的安全性が仕事にどんな効果を与えるのか?
・心理的安全性を高める方法は何なのか?
これらの点を解説していきます。
その上で独自の切り口から、心理的安全性についてまとめます。
特に心理的安全性を高める方法は、単なる抽象的な理論ではなく今すぐできる具体的な方法を紹介しています。
●心理的安全性とは何か?
アメリカのGoogle社が定義した言葉である「心理的安全性」
自社の生産性向上のために調査する過程で、心理的安全性という概念を発見しました。
職場で何を言っても拒絶されず、安心して発言することができる状態。
これが心理的安全性です。
上下関係や役職、年齢や性別、異なる部門や職種を問わず、誰もが平等に意見が交わし合える雰囲気や場のことを指します。
心理的安全性を満たした職場であるほど、組織内で活発なコミュニケーションが発生します。
その結果、生産性が向上したり風通しが良くなったりと、人材育成、業務改善、組織開発など多方面に好影響をもたらします。
●心理的安全性のよくある勘違い
「従業員同士が仲が良ければ心理的安全性が満たされているのか?」
「社長と従業員が近い関係だと心理的安全性が満たされているのか?」
この様な疑問を抱く人もいますが、それは間違っています。
気軽に冗談を言い合ったり、仕事以外の雑談も頻繁にできたりと、単に仲が良い状態は心理的安全性が高いとは必ずしも言えません。
むしろ生産性が下がってしまったり、組織内の人間関係でトラブルが発生したりと、ネガティブな側面もあるのです。
ぬるま湯体質という言葉もありますが、単に仲が良いだけではぬるま湯体質になるかもしれません。
また心理的安全性を高めるためにルールを定めるのも、本来の目的からは異なります。
「誰の発言も否定しないこと」
「発言後に周囲は拍手をすること」
「どんな発言をしても評価に影響しないこと」
たとえばこうしたルールを決めることで、従業員が行動するきっかけを作ることはできるでしょう。
ただし「ルールだからやっているだけ」と思われたり、「本心ではどう思っているのか?」と疑心暗鬼になったりと、本当の意味で心理的安全性が高まるとは言えないのです。
心理的安全性とは「雰囲気」や「空気感」のことです。
誰が何を言っても否定されない、罰せられない雰囲気ができているかどうか。
目に見えない要素が多分に含まれているのです。
それこそ普段から従業員同士の仲が良くても、いざ会議になると上司に遠慮して発言できなければ、心理的安全性が高い職場とは言えません。
普段から仲が良いかどうかに関係なく、いざ会議になれば遠慮なく発言できる状態が、心理的安全性が高い職場だと言えます。
「この発言をして嫌われたらどうしよう…」
「発言後に居場所がなくなったらどうしよう…」
「評価が下がってしまわないだろうか…」
こうした心配なく誰もが発言できる状態は、心理的安全性が高いといえるのです。
●心理的安全性を高める具体的な方法
ここからは実際に組織において、心理的安全性を高める具体的な方法を解説します。
「具体的な」とあえて書いているのは、心理的安全性を高める方法の多くが抽象的なものだからです。
・社内でのコミュニケーションを活発にとりましょう
・どんな意見も承認しましょう
・いざという時に相談できる体制を整えましょう
・お互いに助け合って業務に励みましょう
・失敗を許容する文化を作りましょう
たとえばこれらは抽象的ですし、具体的に何をやればいいのかわからないのです。
また心理的安全性を高めようと思うほど、組織全体に働きかけようとします。
それも重要なことですが、組織全体への働きかけは時間もかかりますし、従業員の意思統一をするのも大変です。
私が企業での研修や講演会等でお伝えしているのは、まず従業員それぞれが心理的安全性を意識すること。
組織全体の前に個人へアプローチすることで、結果的に早く心理的安全性を高めることができるのです。
個々に心理的安全性が高まれば、組織全体でも意思統一をしやすくなります。
そこでこの記事では個々に心理的安全性を高める方法を紹介します。
その1:感謝の気持ちを伝える
まず最初の方法が感謝の気持ちを伝えること。
実は感謝とは心理的安全性を高めるうえで非常に重要な方法なのです。
感謝の気持ちをひらがなで表すと「ありがとう」
有る・無しの「有る」に意識が向いており、究極的にはそこに居ることへの感謝なのです。
つまり感謝を伝えることは、相手の存在承認につながります。
感謝の気持ちを伝えられて、嫌な気持ちになる人はいません。
人間関係をより円滑にすることにも、感謝は寄与するのです。
また感謝の気持ちが幸福感を高めるなど、あらゆる事柄に好影響を与えることは、近年の研究でも明らかになっています。
そして感謝の気持ちを言葉にして伝えていなかったり、感謝に意識を向けていない従業員は意外と多いです。
感謝の反対語は「当たり前」です。
・仕事をしてくれて当たり前
・納期を守って当たり前
・できて当たり前
こうした意識を持つと感謝を忘れてしまうのです。
その上で、できていない点に意識が向いたりダメ出しをしやすくなります。
大事なのは「数多くの感謝の気持ちを伝えること」
1日に一度や二度ではなく、何度も感謝の気持ちを伝えることで心理的安全性は高まります。
その2:サンドイッチパターンで伝える
コミュニケーションの技術の1つに、サンドイッチパターンというものがあります。
特に上司が部下へ指導する場面で、心理的安全性を高めるには、サンドイッチパターンを活用してみてください。
まず褒める
↓
次に指摘する
↓
最後に前向きな言葉で締める
この順番でコミュニケーションを取ると、部下も素直に聞く耳を持ちやすくなります。
いきなりダメ出しをしてしまうのは、多くの上司がやりがちです。
これでは部下も落ち込んでしまいますし、反発されるかもしれません。
「上司は何もわかってくれない」と、意固地になる部下も出てしまうのです。
これでは心理的安全性は高まりません。
サンドイッチの間にはさむ具のイメージで、指摘を褒めたり前向きな言葉の間に行うのです。
「仕事が早くて良いね」
「丁寧にやってくれてありがたいよ」
↓
「このタイミングで報連相をしてね」
「まずは伝えたことを素直にやってね」
↓
「この調子で頑張っていこう」
「いつもありがとう」
たとえばこの様なイメージで会話することで、部下も必要以上に落ち込まず話を聞いてくれます。
褒める言葉が思い浮かばない時は、日頃の感謝の気持ちを伝えることでも効果を実感できます。
サインドイッチパターンを意識することで、部下も信頼関係を深めながら仕事に取り組んでくれます。
その結果、お互いに何でも言い合える風通しの良い関係性が構築できます。
その3:「どうしたい?」と問いかける
そして3つ目の方法が「どうしたい?」と問いかけること。
「どうしたい?」の主語は自分自身です。
自分軸と他人軸という言葉がありますが、「どうしたい?」という問いかけは自分軸です。
普段から「どうしたい?」を意識して仕事をしてください。
また周囲と関わる上でも、「あなたはどうしたい?」といった形で接してください。
・まず何から取り掛かりたい?
・何か質問したいことはある?
・納期を短くするためにどうしたい?
この様に語尾を「〜したい」の形で問いかけることです。
自分がしたいと思うことだからこそ、納得感を持って仕事ができます。
一方で心理的安全性が低い組織ほど、自分を主語に問いかけていません。
「した方がいい」
「するべきだ」
「しなければいけない」
「して欲しい」
「してあげる」
これらは自分を主語にしておらず、自分以外の誰かや何かのことを先に考えています。
他人軸の言葉になりますし、これらの言葉が浮かぶほど心理的安全性も低いのです。
・上司に言われたから…
・義務だから…
・我慢しきゃいけないから…
こうした気持ちが芽生えやすくなるので、不満やストレスを従業員が感じやすくなります。
他人軸で仕事をしていると、何かあっても誰かのせいにしようとしたりと、他責思考が常態化してしまいます。
心理的安全性が低くなるばかりか、生産性も下がってしまうのです。
普段から「どうしたい?」を意識することは、心理的安全性を高めるために不可欠です。
●大事なのは「習慣化」です
ここまで紹介した3つの方法を実践することで、今すぐ心理的安全性を高めることができます。
ただし大事なのは「習慣化」です。
一度や二度だけ実践しても…
数日だけ実践しても…
根本的な変化につながりません。
何度も実践して習慣にするからこそ、心理的安全性は高まります。
即効性のある効果も見込めますが、心理的安全性とは今までの職場作りで構築されたものです。
一定の期間をかけて取り組みを継続しないと、効果は持続しません。
だからこそ、習慣になるまで続ける必要があります。
ただし今回紹介した方法は、個々人が今すぐできるものですので、誰でも実践することが可能です。
本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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カスハラ対策でクレーム・トラブルに負けないメンタルを作る!社員が自力でメンタルを立て直せる実践型研修・コンサルティングプログラム
高校教員を経て、独立した2017年から7,000名以上のお客様を支援。自身もカスハラを受けた経験があることから、企業におけるカスハラ対策をサポート。カスハラやクレームを受けても現場の社員や管理職が自力でメンタルを立て直せる3ステップを開発。
伊庭 和高(イバ カズタカ) 株式会社マイルートプラス代表取締役
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