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グローバルM&Aにおける「孤立した従業員」問題の解決に向けて

グローバル・カーブアウトの取引が完了し、すべての書類手続きも終わった時、買い手企業は、複数の国に分散する従業員を引き継ぎます。

しかし、その直後に現実が突きつけられます。これらの従業員には、明確な雇用主が存在しないのです。彼らはすでに売り手企業の給与体系から外れていますが、買い手側はまだ給与を支払うことができません。従業員たちは「雇用の空白地帯」に取り残されてしまうのです。

これが、グローバルM&Aにおける「孤立した従業員(オーファンド・エンプロイー)」と呼ばれる問題です。全従業員の中での割合は小さいかもしれませんが、そのリスクは非常に大きなものとなります。

GoGlobalのパートナーでありM&Aサービス部門の責任者を務めるAndrew Lindquistは、最近MergerWareのポッドキャストに出演し、こうした人材移行の課題について語りました。彼は、次のような厳しい現実を強調して話しています。ディールチームは評価額や相乗効果に目を向けがちですが、実際にビジネス価値を生み出す人材は後回しにされ、その結果、最終的にはディールそのものを脅かす危機へと発展してしまうことがあるのです。

 

少人数のチームが大きな問題を引き起こすとき

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多くのディールチームは、少人数しかいない市場での対応を後回しにしがちです。遠隔地に数名の従業員がいるだけなら、何とか対応できるだろうと考えるのです。しかし、実際はそうではありません。

こうした小規模なチームには、シニアエンジニア、重要顧客を担当するアカウントマネージャー、特殊なスキルを持つ技術者など、事業の根幹を担うキープレイヤーが含まれていることが多く、彼らを失うことで現地の業務が深刻な打撃を受ける可能性があります。

さらに、法令遵守も事態を複雑にします。各国で雇用法、税制、福利厚生の要件は大きく異なり、その知識がM&Aの取引を通じて適切に引き継がれないケースも少なくありません。

「時は金なり」とはよく言いますが、M&Aの現場ではそれがまさに現実となります。新たに法人を設立するには、半年以上かかることもありますが、M&Aの取引は通常、数週間という短期間で進行します。このギャップが生むのは、単なるスピードへのプレッシャーだけでなく、重大なリスクでもあるとAndrewは指摘しています。

 

迅速に対応する2つのソリューション:EORとNRP

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タイトなスケジュールの中で従業員の雇用とコンプライアンスの確保が求められる場合、GoGlobalは国際的に対応を可能にする2つの実績あるソリューションを活用しています。

 

  • 海外雇用代行サービス(EOR):コンプライアンス負担なしのスピード

■仕組み

EORは、御社に代わって従業員を雇用し、法的な雇用主として、現地法に準拠した給与、福利厚生、税務、契約管理をすべて担います。

■役割の分担

EORを利用する場合、御社が日々の業務を管理し、法的・人事・コンプライアンス面はすべてEORが対応します。

■対応地域

EORは世界中の多くの国で利用可能です。

■主なメリット
・設立に数週間、数か月を要しないスピード感
・管理業務が最小限に抑えられ、従業員ごとのコストも明確で予測可能
・コンプライアンスリスクはEORが管理
・人事サポートが付随し、社内コストを軽減
・柔軟なスケーリングが可能
・法人設立までの一時的な対応策としても活用可能

■適しているケース

EORは、スピードが重視される案件や、スケジュールに余裕がないM&A案件に最適です。短期・長期どちらの活用も可能です。

■限事項

EORでは、従業員が直接雇用を好む、またはEORの仕組みに不慣れな場合があります。また、現地の人事プロセスへのコントロールは限定的で、すべての長期的な組織構造に適しているわけではありません。

 

  • 非居住者給与(NRP):法人を持たない直接雇用

■組み

NRPは、御社が現地に法人を設立することなく、給与目的の登録のみを行い、従業員を直接雇用できる仕組みです。

■役割の分担

NRPでは、御社が日々の業務だけでなく、雇用関係自体も直接管理します。給与関連のコンプライアンスは登録を通じて対応され、現地の専門家によるサポートが強く推奨されます。

■対応地域

NRPは主にヨーロッパ、カナダ、オーストラリアで一般的に使われており、収益を伴わない業務向けに適しています。

■主なメリット
・直接的な雇用関係を築ける
・給与や社内制度、契約へのコントロールがより高まる
・法人設立よりも迅速な立ち上げが可能
・小規模~中規模チームに対して費用対効果が高い
・市場参入テストや法人設立前の採用に適している

■適しているケース

NRPは、EORよりも高い雇用コントロールを求めるものの、恒久的な法人設立までは踏み込みたくない企業に適しています。

■制限事項

NRPでは、収益を伴う事業活動には利用できず、対応可能な国・地域も限られています。また、提供できる福利厚生の選択肢が制限される場合があります。

 

ディールに応じた最適な手法の選択

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すべての取引にはそれぞれ固有の優先事項がある、とAndrewは指摘します。そして、ワークフォース戦略はそれらの優先事項を反映したものでなければなりません。

スピードと安心感が最も重要な場合、EORが最適な選択となることがよくあります。EORはスムーズな引き継ぎを可能にし、従業員への給与が滞りなく支払われることを保証します。現地でのサポートも初日から提供され、従業員に対して「あなたは大切な存在であり、この先もここで安心して働ける」という明確なメッセージを伝えることができます。

一方で、より高いコントロールや深い組織統合が優先される場合は、NRPの方が適している場合もあります。このモデルは、従業員が第三者機関を雇用主とすることに抵抗を感じやすい市場において特に有効です。直接雇用であることで、人事プロセス全体に対する管理権限も強化されます。

どちらのモデルも、既存の雇用条件に沿った形で柔軟に設計することが可能であり、企業文化や業務の一貫性を維持しながら、取引に求められる実務要件を満たすことができます。

 

現地法人の設立:長期的なコミットメント

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多くのグローバルM&A取引において、EORやNRPは一時的な橋渡しの役割を果たします。買収側が現地法人の設立という時間のかかるプロセスを進める間も、従業員の雇用継続、給与支払い、法令遵守を維持するための手段です。

現地法人の設立は、最も手間とコストのかかる選択肢です。多額の初期投資と長期的な準備期間が必要となります。その一方で、事業運営の完全なコントロールを得られ、現地市場への深い統合が可能になります。

現地法人の設立が必要となるのは、以下のような場合です。

  • その国で恒久的な法的拠点を必要とする場合
  • 収益を伴う事業活動を行う予定がある場合
  • 今後、現地での従業員数が大幅に増加する見込みがある場合
  • 現地の顧客やパートナーと直接契約を結ぶ必要がある場合

設立にかかる期間は国によって異なりますが、通常は数か月を要します。このため、M&Aにおいては、従業員の移行に関するスケジュールを守るために、EORやNRPが有効な暫定ソリューションとなり得るのです。

 

従業員体験が重要な理由

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M&Aにおいて、数字が取引を成立させるかもしれませんが、その価値を決定づけるのは「人」だとAndrewは語ります。適切な人材を失えば、それは単なる人員の減少以上の損失となります。

顧客との関係が弱まり、技術的な専門性が社外に流出し、築き上げた市場に関する知見が失われてしまいます。

旧オーナーと新オーナーの間に取り残された「孤立した従業員」にとっては、不確実性が日常となります。彼らはこうした疑問を抱えます――「自分の仕事はこの先もあるのか?」「給与や福利厚生は変わってしまうのか?」「ここでの将来はどうなるのか?」

これらの疑問が放置されれば、退職願へとつながるのは時間の問題です。一方で、早い段階でしっかりと対応すれば、信頼を築くための土台となります。その信頼が、チームのエンゲージメントを維持し、重要なナレッジを守る鍵となるのです。それは、取引の長期的な価値を守ることにもつながります。

Andrewは、「M&Aにおける人材の安定性は、人事部門だけの問題ではない」と強調しています。それは、ビジネスの継続性を守るために欠かせない経営上の課題なのです。

 

対応が遅すぎることの代償

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Andrewはクライアントとの最初の会話から一貫して強調しているポイントがあります。それは、「人材に関する計画は、取引完了後ではなく、デューデリジェンスの段階から始めるべきだ」ということです。

1週間ごとに影響は大きくなります。対応が遅れると、現場は「火消し対応」のような状態に陥ります。ギャップに気づいたときには、もはや最善の解決策を講じるには時間が足りなくなっているのです。その結果、従業員体験に悪影響を及ぼし、取引の成功に不可欠な人材の定着にも支障をきたしかねません。

規模の小さな市場であっても、大規模拠点と同様の注目と優先度をもって対応すべきです。そうした国は、しばしば企業の成長の起点であり、そこで人材を失うことは、そのまま事業の勢いを失うことにつながります。

 

実際の事例紹介

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最近のカーブアウト案件で、GoGlobalは製造業の買い手企業を支援し、従業員数の少ない複数の国で働く人材の管理をサポートしました。

スケジュールは非常にタイトで、各国ごとに異なるコンプライアンス要件に対応する必要がありました。

GoGlobalは、複数の国でEORとNRPの両方のソリューションを組み合わせて導入し、取得した従業員の状況に最も適した方法を選択しました。ある市場では、EORが最速で雇用の継続性を確保する手段となり、別の市場では、NRPが従業員にとって馴染みやすく、管理の自由度を高める選択肢となりました。

いずれの方法でも、給与支払いは途切れることなく行われ、福利厚生も引き継がれました。その結果、移行期間中の人材流出はゼロ、コンプライアンス違反もなく、初日から完全な業務継続が実現できました。

 

ディールチームへの戦略的なポイント

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Andrewの豊富な経験に基づき、複雑なグローバルM&A取引を乗り越えるうえで何度も浮かび上がる重要な教訓があります。

まず、早めの対応が不可欠です。人材統合は後回しにできるものではなく、理想的にはデューデリジェンスの段階から注力すべきです。早期に従業員の状況を把握することで、予期せぬ問題を防ぎ、円滑な移行を実現できます。

また、小規模な市場を見落とさないことも重要です。必ずしも最大規模の国に最も重要で価値ある人材がいるとは限りません。こうしたチームを無視すると、ディールの成功に欠かせない専門知識を失うリスクがあります。

さらに、適切な手法を選ぶことがカギとなります。EORとNRPはそれぞれ異なる役割を持っており、現地の労働環境やディールの優先事項に合った方法を選択することで、従業員の定着を左右します。

人材の定着こそがすべてです。給与、福利厚生、雇用の安定性について明確かつ迅速にコミュニケーションをとることは信頼構築につながります。従業員が大切にされていると感じ、情報を十分に得ていると認識すれば、長く留まろうとする意欲が高まり、それがディールの長期的な価値を支えます。

M&Aにおいて、人は単なる帳簿上の資産ではなく、ビジネスの心臓部です。その移行を丁寧に扱うことが成功の鍵となります。

 

現地の専門知識とグローバルなネットワークを活かして、複雑なカーブアウトを成功に導く

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カーブアウトは複雑なパズルのようなものです。単なる財務取引ではなく、人と業務の変革が絡み合った繊細なプロセスです。買収された従業員こそが顧客関係や組織の知識、そして継続的な価値の鍵を握っています。彼らの移行を支えるには、一律の解決策は存在しません。集中管理されたテクノロジーとグローバルなネットワークに、現地に根ざした深い専門知識を融合させたパートナーが必要です。

カーブアウトの成功は、法務や財務構造の設計から業務の引き継ぎ、従業員の安定確保まで、多くの要素が連動することにかかっています。グローバルに繋がりながらも現地に密着したアプローチは、これらの複雑な要素を一つにまとめるための効果的な方法の一つです。カーブアウトの最終段階では、言語に通じ文化を理解し、規制を熟知した現地の専門家による迅速な対応と確立されたシステムの活用が欠かせません。

集中管理による効率性と見える化、そして現地の細やかな知見を組み合わせることで、このモデルは他のアドバイザーの取り組みを支援し補完し、ディールチームが計画をスムーズに遂行し、長期的な価値を守ることに貢献します。

 

本コラムで提供する内容は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言と見なすべきものではありません。今後規制が変更されることがあり、情報が古くなる可能性があります。GoGlobalおよびその関連会社は、本コラムに含まれる情報に基づいて取った行動または取らなかった行動に対する責任は負いかねます。

このコラムを書いたプロフェッショナル

沖室 晃平

沖室 晃平
GoGlobal株式会社 代表取締役

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アウトソーシング、現地法人設立まで、すべてGoGlobalにお任せください。

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得意分野 人材採用、グローバル
対応エリア 全国
所在地 渋谷区

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