変革が必要な人事運用
現在の人事の運用
現在、日本の企業の人事の運用は、昇給、昇格、評価はあらかじめ決まっています。
これに加えて、採用、退職施策、教育研修、労働環境整備は毎年その方針やボリュームが変化をします。
また突発的な課題などが出た場合には当然計画になかった人事施策を行わなければなりません。
議論があるのはあらかじめ決まっているスケジュールについても一部議論がありますが、その他の施策についてはいつ計画をするかということが重要なポイントになります。
企業は次年度の計画を前年度の第四クォーター末までには作り、発表しなければなりません。当然この経営計画の中には人事部門としての計画も入っています。
人事部門は各事業部での人員の保有状況と今後の事業の成長を見込んで、採用や退職施策計画を作ります。
また教育研修、労働環境整備については、前年度に実施されたエンゲージメントサーベイ、教育研修ニーズの聞き取りなどで計画を立てることになります。
新卒採用の多い会社は第一クォーターで新人研修やその配置に追われることになり、既存の社員に対する施策は実行されることはあまりありません。
あるとしたら前年度の評価とその結果の反映としての昇給昇格です。
このように人事の計画は事業計画から発生し集計をした人事計画と、前年度の何かしらの調査による人事施策の計画から成り立ちます。
これが合理的でかつ効果的な方法であるかを検討しなければなりません。
計画立案に必要な情報
現在の日本の企業の人事計画は、定性的な情報をもとに作成されています。
本来であれば人事機能が適正に作動しているか定量的に把握をしなければ、強み弱みがわかりません。
経営陣および人事部門で人事のKPIを決めその指標を毎年集計し、人事の状態を把握することが必要です。
この定量的なKPIとは例えば労働分配率、各種生産性、外部労働市場との差などで、一般的に50個ぐらいの指標があり、その中で自社に必要なKPIを選ぶのが望ましいでしょう。
さらにエンゲージメントサーベイを行うことは必須で、これは会社の業績に直結する重要な情報です。
人事機能の適正さを測定するためには、定量分析とエンゲージメントサーベイの情報が必要ということになります。
まずエンゲージメントサーベイについては一年間の状況を把握するために3月末決算の会社の場合には2月ぐらいに行うのが望ましいでしょう。
次に定量分析ですがこれは人事データとともに会計データが必要です。
前年度の会計データが集計されるのは4月か5月前半ぐらいでしょう。ですから、5月中に定量分析を行わざるを得ません。
この二つの情報が出揃った段階で前年度の状況に対応した人事計画が初めて作ることができます。
運用の変更ポイント
人事の運用で変更しなければならないポイントがいくつかあります。
第一は、上述のように前年度の状況に応じた人事計画を作成するためには5月末6月前半ぐらいになるということです。
第二クォーターから第四クォーターまでの計画を作成し、人事制度の一部改定や、教育研修の実施、採用、退職施策などが行われることになります。
他にも運用の変更ポイントがあります。
まず変化の激しい社会情勢の中で、昇給が年一回であるということは見直さなければいけないと言うことです。物価の変動などが激しく、社員の生活を維持向上していくためには、年一回の昇給では状況に対応できないのではないかということです。
また他にも教育研修は今までよりも質量ともにレベルアップしなければなりません。
しかし効果的に実施するためには、エビデンスが必要です。
教育研修のニーズのエビデンスは、評価情報しかありません。
どの職種、レベルの社員がどの評価項目が低いかを集計して、教育を行うことが最も効果的でしょう。したがって教育は低い評価項目を高くするための教育ですので当然評価項目が研修のテーマになるということです。
あとは評価制度でしょう。今までのようなやり方では機能しないことが分かっています。
制度改定も必要ですがこの問題は運用にあります。
多面評価の導入、評価表の公開、評価会議などの手法を使い実力主義時代にあった評価制度に変貌させなければなりません。
YouTube番組 Dig Deep人事「人事の運用を改革する」を参考に執筆
このコラムを書いたプロフェッショナル
林明文
合同会社HRMテクノロジー 代表
様々なメディアで経営、人事に関する最新の情報や重要データなどを提供します。また有識者と意見交換をするなど、経営者や人事部門の最新の人事管理の理解促進に努めます。

林明文
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得意分野 | 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、労務・賃金、人事考課・目標管理、キャリア開発 |
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対応エリア | 全国 |
所在地 | 練馬区 |
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