出生率に対する企業責任
ペイforパフォーマンス
企業は営利を追求するとともに様々なステークホルダーに対して満足を与える存在です。
企業が継続的に発展するためには、営利を徹底的に追求するとともに、日本の社会的問題に対して社会の公器として貢献をしていかなければならないでしょう。
この議論は現在の日本では大変難しい議論だと言えます。経済弱国になりつつある今、企業は新しいサービスの提供や新しい商品の開発、販路の拡大など利益追求のためにやらなければならないことが山ほどあります。
またこれらを達成していくためには、優秀な人材を育成する必要があります。
今までのような年功序列終身雇用型の仕組みでは、イノベーションを起こす人材が少なく、ビジネスマンとしての能力が磨かれない、そしてグローバル競争に勝てないとなります。
そこで実力主義的人事を導入しなければ、個別企業の利益追求は上手くいかないでしょう。ペイforパフォーマンスはこれからの経営に絶対的に必要になります。
この利益追求と同時に企業は社会的問題に対しても対応をしなくてはなりません。
すでに女性活躍推進やコンプライアンスの徹底など充分な努力をしている企業も多々あります。
その中で日本の最も重要な問題と言える出生率の低下については、出生率に対応する施策を全面的に打ち出す企業はあまりありません。将来の日本の市場が縮小していくことを食い止めるためにも、出生率の回復を急がなければなりません。
企業はこれにたいして家族手当や子女手当など支給する会社多く、これは出生率の問題への企業としてのサポートと言えるでしょう。しかしペイforパフォーマンスの流れの中で家族手当や子女手当は減額する、果ては廃止をする企業が多くなってきました。
出生率の回復のための企業努力
出生率の回復は、本来、国が中心になって行うものです。
しかしながら約20年本格的に少子化問題に取り組んでも出生率は減少傾向です。
このままでは日本のマーケットが全く魅力を失い、日本そのものも世界に取り残された、昔繁栄した極東の小国と位置づけられるでしょう。
この問題を、国の代わりに企業がその解決により協力していくためには、今まで減額や廃止の議論が中心であった家族手当や子女手当を、見直す必要があるのではないでしょうか。
日本はすでに女性の就業率が8割を超えているため、子どもへの支援を企業がより大きくすることが重要な社会貢献ともいえます。
出生率が低いのは経済的な要素が大きいと言われています。今後企業は社員への分配を高め成長により多くの報酬を与えなければなりません。
そして企業として出生率回復のためには、今よりも大胆な子女手当を支給することが重要な施策ではないでしょうか。
子女手当はいくらが妥当か
では子女手当はいくらが妥当でしょうか。
子供一人生まれるとプラスαの支出は月額5万から7万ぐらいではないでしょうか。とても政府が出している子ども手当では足りません。
仮に必要額が7万円だとしたら6万円の負担がかかるということになります。
出生率を上げるには子供が生まれて経済的にマイナスにならない状態を作らなければなりません。
単純に考えれば政府が1万円補助しているのであれば7万円-1万円の6万円を一人当たり支給すれば経済的な問題はかなり楽になります。これを大企業で先進的な企業が導入するのであれば、子供一人当たり月額6万円の子女手当を支給すると効果的です。
この考えが多くの企業に浸透すれば、夫婦が勤めている2つの会社から6万円を支給されれば良いため、一つの会社の子女手当は3万円となります。
新しい報酬ポリシー
仮に子供一人当たり6万円支給すると、同じ実力を持っている社員でも子供が居ると報酬が増えるという仕組みになります。
実力主義的人事制度で評価され50万円の月給をもらっている社員と、同じ実力を持ち50万円の月給をもらっているが、子供が2人いる社員は、62万円の月給をもらうことになります。ペイforパフォーマンスと、ペイforチャイルドという一見相反した報酬システムになります。徹底してパフォーマンスにこだわるか、それとも最大の国難に対して企業が最大の貢献をするという観点で子供への支給を圧倒的に増やすかという議論です。
実力主義的人事は、徹底した上に子供に対する手厚い配分を行うことを同居させるという、新しい日本型の報酬ポリシーは検討に値するのではないでしょうか。
パフォーマンスだけであれば企業は出生率に正面から貢献してないと考えられます。大胆なペイforチャイルドを導入する企業が増えることで、出生率問題を解決する機運が一気に高まるのではないでしょうか。
*YouTube番組 Dig Deep人事「少子高齢化に対する企業の役割」を参考に執筆
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様々なメディアで経営、人事に関する最新の情報や重要データなどを提供します。また有識者と意見交換をするなど、経営者や人事部門の最新の人事管理の理解促進に努めます。
林明文(ハヤシアキブミ) 合同会社HRMテクノロジー 代表

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