なぜリーダーの育成がエンゲージメント向上につながるのか
皆さんは会社の理念や目標、パーパス、中・長期計画目標などをどのような言葉で伝えていますか?また、従業員は自分の言葉で語ることができますか?
*Contents*
・理念を語れるリーダーの重要性
・エンゲージメントの高い組織:3つの特徴
・1.理念の体現
・2.コミュニケーションが活発
・3.学習意欲・積極的行動の促進
・理念の体現につながるインナーブランディング力を高めるために
理念を語れるリーダーの重要性
人事担当者であれば、採用活動や従業員との面談など、企業としての考えを他者に伝える場面が多く、理念や目標を語ることは日常業務の一部となっているでしょうし、会社の意向を理解した上で他者に話をしなければいけない場面があると思います。しかし、これは人事だけが担うべき役割ではありません。本来、すべての従業員が企業の理念や目標を理解し、自分の仕事に落とし込み、周囲を巻き込むことができる状態ー体現できていることが理想です。とはいえ、仕事への思いや経験年数、組織文化などの要因により、理念を自分の言葉で語ることに難しさを感じる人も少なくありません。
だからこそ、リーダーには自らの言葉で企業の理念や目標を語り、自部署が果たす役割を明確に示す責任があります。リーダーが理念を語り行動で示すことで、メンバーは自分の仕事の意味を再認識し、組織への貢献意欲が高まります。そのため、リーダーが語れるようになるためにも、理念をもとにした育成機会が肝要です。
エンゲージメントの高い組織:3つの特徴
では、リーダーが理念を理解し自分の言葉で語り体現できるようになると、どのような効果があると思われますか。昨今課題となっている「エンゲージメント」の面からその効果を見ていきたいと思います。
エンゲージメントの高い組織には、いくつかの共通した特徴がありますが、今回は3つの面からご紹介します。
1.理念の体現
1つ目は、理念・ビジョンの浸透(体現できていること)です。
中小企業庁の「2022年版中小企業白書」によれば、経営理念が全社的に策定・共有されている企業では、労働生産性の上昇幅が大きい傾向が確認されています。一方で、理念の明文化がされていない企業も13%弱あり、経営理念・ビジョンが明確になっていないことで、課題や戦略が曖昧になり、労働生産性の上昇幅がマイナスとなっていました。理念の浸透は、組織の方向性と成果に直結する重要な要素なのです。

この点について心理的安全性の提唱者であるエイミー・エドモンドソンは、心理的安全性の創出はリーダーの責務であり、目的意識の明確化がその土台になると述べています。
組織の使命や価値を繰り返し伝える努力が、安心して意見を出し合える風土を育てるのです。リーダーが理念を語り、行動で示すことで、メンバーのモチベーションや生産性、心理的安全性が高まることは多くの研究でも明らかになっています。
2.コミュニケーションが活発
2つ目に、コミュニケーションが活発になる効果があります。
昨今注目されているリーダーシップスタイルとして、
・インクルーシブリーダーシップ(多様な価値観を受容し、尊重の姿勢と安心して対話ができる職場環境を構築し、成果につなげる包括的なリーダーシップスタイル)
・サーバントリーダーシップ(部下やチームを優先的に考え、支援者としてメンバーの力を引き出すことを優先的に考えたリーダーシップスタイル)
があります。
これらは、メンバーの特性を活かし成果をあげるコミュニケーションスタイルですが、エンゲージメントの高い組織では、自己のスタイルを理解したうえで相手のスタイルに合ったコミュニケーションを取れるようになるためのトレーニング機会があります。
また、こうしたコミュニケーションの知識とスキルが身につくと、結果だけでなく、努力やプロセスを見ること、建設的なフィードバックがなされるようになるため、メンバーとの信頼関係が築かれます。理論的な裏付けとして、Hackman & Oldhamの職務特性理論でも、フィードバックはモチベーションを高める重要な要素とされています。
3.学習意欲・積極的行動の促進
3つ目に、自己啓発学習への意欲やプロアクティブな行動が促進される効果があります。
新しいアイデアや改善提案が出やすく、役割外行動も自然に生まれます。こうした環境を支えるのも、心理的安全性が確保がされた上で、リーダーの支援的な姿勢が土台となっているからです。
これらの特徴を持つ組織では、リーダーが企業理念に共鳴し、自律的に目標達成に貢献する姿を示すことができているため、メンバーを牽引することが可能となっています。
しかし、リーダー自身が、理念を自分の言葉で語り行動していくための知識や経験に乏しい場合、自力で効果的にメンバーと関わることができる人はわずかな人に限られるでしょう。
理念浸透のためのインナーブランディング力を高めるために
以上のことから、改めて自社の強みを知り、自分の価値観とすり合わせ、理念や方向性を理解した上で、自分の言葉にしメンバーに伝えていく「インナーブランディング力」を高めることが重要といえます。そして自部署では目標に対する課題を見つけリーダーシップを示せるようにする。
よって、リーダー層に対する
・理念や組織目標を深く理解し自らの言葉で語るトレーニング
・人材を育てるための理論や知識を学んだ上で一定期間をかけたトレーニング
・スキルの習得だけでなく、同じ立場の人との交流を通じて、自信と勇気を得る
このような機会を設けていくことが必要です。
弊社では人材育成ご担当者様向けにエンゲージメント向上セミナーをオンラインで開催いたします。エンゲージメント向上につながる、おさえておくべきリーダー人材育成企画・運営の要点をお伝えするセミナーです。
リーダー研修企画・運営を担われている人材育成担当者様、当該テーマにご関心をお持ちの経営者様は、是非この機会をご活用ください。
(参考)
図表は、中小企業庁 2022年版 中小企業白書 第2章 第3節より引用
このコラムを書いたプロフェッショナル
後藤 真紀子
研修コーディネーター/キャリアコンサルタント(国家資格)
人事・研修企画~運営における、お悩みや課題をお聞きしながら、社員一人ひとりの成長が組織の成長につながるよう、研修企画~フォロー施策まで伴走させていただきます。
後藤 真紀子
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得意分野 | モチベーション・組織活性化、人材採用、キャリア開発、コミュニケーション、ビジネスマナー・基礎 |
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対応エリア | 全国 |
所在地 | 横浜市中区 |
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