グループ会社への出向契約における就業条件について
社員をグループ会社へ出向を命じる際に、条件面で出向元と出向先で注意すべきポイントなどご教示いただけないでしょうか?
大前提として、本人に不利益にならないようにする事は理解しつつも、働き方や給与面で悩む点が多い為です。
質問①
例えば、出向元と出向先で勤務時間が異なる場合、原則は出向先の就業規則に
準ずると出向規程上も定めています。
ですが、出向元の休日数110日、所定労働時間8時間 →出向先の休日数120日、所定労働時間7.5時間というように、出向先が就業時間など短い場合、
出向先に合わせる形に準ずるとした場合、給与面で意識すべきポイントはありますでしょうか?
これは出向先で勤務することで、勤怠は出向先に準ずると時間外手当が7.5を超過した時から発生する、と想定しています。
また出向先・出向元の人件費の請求負担割合は、出向先で見ると、1日7.5hの
所定労働働いた社員の人件費を超える分を出向元が負担するなど相談する形はよいのでしょうか?
質問②
出張規程で比較した際に、出向元は日当あり、出向先は日当なし、宿泊費用は出向元の方が多く会社側が補填している場合、出向元に準じて契約締結を
行うことは問題ないのでしょうか?
投稿日:2025/06/27 09:36 ID:QA-0154599
- 人事🔰さん
- 東京都/繊維製品・アパレル・服飾(企業規模 5001~10000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、質問1につきましては、出向先で勤務時間等少なくなる場合ですと、出向者に有利な扱いとなりますのでそれ自体問題はございません。但し、時間が減った分について賃金カット等をされますと、不利益変更となり認められませんので注意が必要です。一方、費用負担をどちらの会社がされるかについては、協議の上決められる事で差し支えございません。
質問2につきましても、出向元の制度に基づく措置によって労働者に有利な扱いとなりますので、問題はございません。
投稿日:2025/06/27 10:59 ID:QA-0154612
相談者より
アドバイスいただきありがとうございました。
本人の不利益にならないように慎重に検討して参ります。
投稿日:2025/06/27 16:32 ID:QA-0154650参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
質問1について・・・
勤務時間は、出向先に準じる
給与計算は、出向元に準じる 場合、
出向元の所定労働時間が8時間であれば、8時間を超えた時間から時間外手当の
支払いが必要であり、7.5時間を超過した時から発生するものではございません。
勿論、労働者有利に支払っていただく分には労働法令上の問題はありません。
また、人件費負担の取扱いについては、労務提供に応じた分のみが人件費として、
損金計上できます。逆に労務提供なく負担した人件費については、損金計上が
不可と見なされるケースがございますので、こちらについては、税務の専門家
である、税理士へご確認いただくことをお勧めいたします。
質問2について・・・
こちらも論点としては、旅費として損金計上できるか否かがポイントかと
思案いたします。税務上の問題となります為、税理士へご確認いただくことを、
お勧めいたします。
投稿日:2025/06/27 11:40 ID:QA-0154620
相談者より
税務面のアドバイスをいただきありがとうございます。税理士との相談含めて参考にさせていただきます。
投稿日:2025/06/27 16:33 ID:QA-0154651参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
社員のグループ会社への出向に関しては、労務・人件費・労契法上のポイントを明確に整理しておくことが極めて重要です。以下、いただいた2つのご質問に分けて、それぞれ実務的観点からご回答いたします。
1.質問(1)勤務時間・所定労働時間の違いと給与面の対応
(1)前提
出向元:所定労働時間8時間/日、休日110日
出向先:所定労働時間7.5時間/日、休日120日
勤怠管理・労働時間は出向先に準ずる
出向社員の給与支払いは出向元が継続
(2)原則的な考え方
→ 就業条件(労働時間・休日)は出向先に準ずる
就業時間・休日のルール(いつ働くか)は出向先に準拠
ただし、給与額そのもの(いくら払うか)は、出向元で継続が原則
出向によって実質的な減給となる場合、労働条件不利益変更に該当する可能性があるため慎重に扱う必要あり
(3)出向先の所定労働時間が短い場合の対応ポイント
時間外手当の発生基準
出向先が7.5時間/日なら、出向先での1日8時間労働は時間外扱いになる
しかし、出向元では「所定=8時間」で給与設計されているため、出向社員が8時間勤務した際に超過分0.5時間をどう扱うかが問題となります
(4)実務対応(おすすめ)
出向契約書(出向元⇔出向先)で「時間外の起算は出向元基準」であることを合意
- つまり、1日8時間までが所定労働時間
または「出向先基準で勤怠管理を行い、発生する時間外手当は出向元が負担」と明記しておく
(5)出向社員の給与水準について
出向先の就業時間が短い(7.5時間/日)ことにより、実働が減るのに給与が変わらないと、出向先との「人件費バランス」に齟齬が生まれます
(6)実務対応:
出向元と出向先で「実労働分の人件費を出向先が負担し、超過分は出向元負担」とする調整契約を結ぶことが実務上よく見られます。
例:
・出向社員の月額給与=40万円(出向元)
・1か月160時間勤務予定(7.5h×21.3日想定)
→ 時給換算:40万円 ÷ 173.3h ≒ 2,307円/h
→ 出向先負担:2,307円 × 実働時間(例:160h)
→ 差額・時間外分などは出向元が負担
(7) ポイントまとめ(質問(1))
項目→実務的な扱い・留意点
就業時間・休日→出向先に準拠でOK
時間外労働の起算→出向元基準で合意 or 出向先基準で超過分は出向元負担
給与→出向元基準継続(原則)
人件費の負担割合→実働時間に応じて出向先、超過分は出向元とする形が妥当
2.質問(2)出張旅費(日当・宿泊費)の違いへの対応
(1)前提
出向元:日当あり、宿泊費補助あり
出向先:日当なし、宿泊費も控えめ
出張旅費規程が異なる
(2) 原則的な考え方
出張旅費のような手当・福利厚生的支給項目については、「支払主体」によって準拠先が変わります。
→ 出向中も給与を支払うのは出向元 → 出向元の出張規程を適用可能
出向契約書に「出張旅費は出向元規程に基づき支給する」旨を明記すれば問題なし
金額差(不公平)は問題ない。出向元が出向者に不利益を与えないために支給する、という建て付けであれば法的問題はありません
(3) 実務対応(おすすめ)
出向契約書に次のような文言を明記:
第○条(出張旅費等)
出向社員が業務上の出張を行う場合、旅費・日当等は出向元の出張旅費規程に基づき、出向元の負担により支給する。
出向先が負担する場合は、逆に「出向先の規程に準ずる」旨を記載して調整可
(4) ポイントまとめ(質問(2))
項目→実務対応
日当・宿泊費等→出向元が支給主体なら、出向元の規程に準拠で問題なし
明文化の必要性→出向契約書または通知書で、どちらの規程に従うか明記することが重要
不利益変更の観点→出向先の方が条件が下がる場合は、必ず出向元規程の適用 or補填で調整を
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/27 12:20 ID:QA-0154627
相談者より
ご教示いただきありがとうございます。
実務的なポイントまで詳細を教えていただき大変
参考になりました。
慎重に検討して参ります。
投稿日:2025/06/27 16:34 ID:QA-0154652大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
基本的に出向は会社の都合であり、社員には関係ありませんので、現状より不利な条件は認められません。給与が減る、勤務時間が延びる、手当が出ない等が該当します。
逆に出向先の勤務時間が短くなるなど、社員が有利な条件であれば認められることになります。ただし勤務時間減等に比例して給与が下がるのであれば、不利な条件となるので、それらが無いようにご配慮下さい。
この条件を満たしていれば、出向契約は会社間で定義できます。
投稿日:2025/06/27 12:29 ID:QA-0154629
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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