有期雇用特別措置法の施行に必要な省令・告示案に関する
労働政策審議会への諮問と答申について(厚生労働省)
専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(有期雇用特別措置法)(注)の施行に向けて、厚生労働省は、本日、労働政策審議会(会長樋口 美雄 慶應義塾大学商学部教授)に対して、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」、「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令案要綱」などについて諮問しました。これを受け、本日、同審議会労働条件分科会有期雇用特別部会と職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会(部会長岩村 正彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授)において審議が行われ、同審議会から塩崎 恭久厚生労働大臣に対して、「妥当と考える」との答申が行われました。
厚生労働省では、この答申を踏まえ、速やかに省令・告示の制定を進めるとともに、平成27年4月1日の施行に向けた事業主等への周知に取り組んでまいります。
(注)有期雇用特別措置法の内容
・高度な専門的知識などを持つ有期雇用労働者(高度専門職)と、定年後引き続き雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)が、その能力を有効に発揮できるよう、事業主が雇用管理に関する特別の措置を行う場合に、労働契約法の「無期転換ルール(※)」に特例を設けるものです。
※有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、労働者の申込みにより無期労働契約に転換させる仕組みをいいます。(労働契約法第18条)
・特例の具体的な内容は、高度専門職については一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限10年)、継続雇用の高齢者については 定年後に引き続き雇用されている期間、それぞれ無期転換申込権が発生しないこととするものです。
【要綱のポイント】
1.「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」
有期雇用特別措置法による無期転換ルールの特例の対象となる高度専門職の年収要件(1075万円以上)や、特例の対象となる事業主についての認定事務などに関する規定の整備を行うものです。
2.「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令案 要綱」
「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について」(平成25年2月14日労働政策審議会建議)の内容を踏まえ、労働契約締結時における労働条件の書面明示事項に、有期雇用特別措置法による無期転換ルールの特例に関する事項などを追加するものです。
3. 「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法第二条第一項の 規定に基づき厚生労働大臣が定める基準案要綱」
有期雇用特別措置法による無期転換ルールの特例の対象となる高度専門職について、以下のいずれかに該当する者とするものです。
1 博士の学位を有する者
2 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士または弁理士
3 ITストラテジスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
4 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
5 大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニア又はデザイナー
6 システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント
7 国等によって知識等が優れたものであると認定され、上記1から6までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者
4.「労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部を改正する告示案要綱」
労働基準法に定める有期労働契約の期間の上限に関する特例の対象者について、有期雇用特別措置法の施行に併せて、ITストラテジスト試験に合格した者を加えるなどの改正を行うものです。
5.「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に 関する基本的な指針案要綱」
事業主が、有期雇用特別措置法による無期転換ルールの特例対象者に関する認定を受けるに際しては、特例の対象労働者に対して、以下の雇用管理に関する措置を行うべきこととするものです。
<高度専門職関係>
以下のいずれかの雇用管理に関する措置を行うこと。
・教育訓練に係る休暇の付与
・教育訓練に係る時間の確保のための措置
・教育訓練に係る費用の助成
・業務の遂行の過程外における教育訓練の実施
・職業能力検定を受ける機会の確保
・情報の提供、相談の機会の確保等の援助
<継続雇用の高齢者関係>
高年齢者雇用確保措置を講じた上で、以下のいずれかの雇用管理に関する措置を行うこと。
・高年齢者雇用安定法第11条の規定による高年齢者雇用推進者の選任
・職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
・作業施設・方法の改善
・健康管理、安全衛生の配慮
・職域の拡大
・知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
・賃金体系の見直し
・勤務時間制度の弾力化
◆ 詳しくはこちらをご覧ください。
(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp// 2月9日発表・報道発表より転載)