帝国データバンク、企業業績に与える消費税増税の影響度分析
-小売・サービス 6業種対象-
価格転嫁率 50%でも大半で赤字必至
-消費減退による売上減は1~2%の予想-
【はじめに】
今年4月に控える消費税の増税に伴い、消費動向や企業業績に変化が生じるのではないかとの懸念の声は絶えない。とくに小売・サービス業の各企業においては、価格転嫁や販管費の圧縮など、業績の変動に備えた経営施策の実行が急がれるなか、長引く不況に伴う財務体質の悪化から、十分な体制を取れないままの中小企業も少なくないと言われる。
帝国データバンクでは、企業財務データベースCOSMOS1(72万社・480万期収録)をもとにした『全国企業財務諸表分析統計 第56版』(帝国データバンク)、平成7年以降の「家計調査」(総務省)、平成24年「経済センサス」(総務省・経済産業省)を用いて、小売・サービス6業種について消費税の増税が純粋に企業業績に与える影響度を分析した。なお、同様の調査は今回が初めて。
【調査結果】
本分析は、消費税の増税が純粋に企業業績へ与える影響度を予想したもので、景気や業界環境の好転に伴う消費刺激、業績回復に関しては具体的に反映させていない。しかしながら、現在の各業種企業における収益状況から分析すると、消費増税に伴う価格転嫁がまったく実行できなかった(価格転嫁率0%)場合、今回対象の全業種で営業赤字に転落する予想となり、その影響度は企業にとって決して小さくない。とくに、これまでのデフレ傾向による熾烈な価格競争などで、今後の価格転嫁による実質値上げに踏み切れる企業は中小企業を中心に多くはないとの見方もある。価格転嫁ができない場合、販管費などの圧縮で収益性を改善する必要があるが、長引く不況から脱したばかりの企業側にその余力が残っているかは疑問が残る。
今回の分析対象は、消費者にもっとも近い小売・サービス業者であり、比較的価格転嫁も実施し易い側面がある一方、価格転嫁の難しい川上の下請け・製造業者などは、より消費税増税の影響が色濃くなると見られる。国内産業を支える中小企業の業績悪化が景気回復の腰折れ要因となることも考えられ、引き続き動向には注目していく必要がある。
▼詳細は、資料(PDF 304KB)をご覧ください。
(株式会社帝国データバンク http://www.tdb.co.jp/ /2月20日発表・同社プレスリリースより転載)