労務行政研究所、「職場における上司の実像」について
民間調査機関の(財)労務行政研究所(東京都港区、矢田敏雄・理事長)ジンジュール編集部では、フリーペーパー第2号の発行を機に、「ビジネスパーソンの生活スタイルと仕事力に関するアンケート」を実施し、このほど結果を発表した。
◆ ジンジュールWebサイト: http://www.jinjour.jp/
■ 職場での人間関係の悩みのタネは、男性上司がダントツ
現在の職場の人間関係で悩みがある人は、全体の61.2%(大いにある13.1%+多少ある48.1%の合計)に上る。ちなみに、「悩みがある」と回答した252人に悩みの対象を複数回答で聞いたところ、全体では「男性の上司」が52.2%と、2位の「男性の同僚」14.8%を大きく引き離して1位だった。
男女別にトップ3をみると、男性では「男性の上司」57.3%、「男性の同僚」18.2%、「男性の先輩」12.6%の順。女性は「男性の上司」42.4%、「女性の上司」「女性の同僚」がともに21.2%となっている。男女とも上司や同性の同僚が悩みのタネのようである。
■ 上司の「弱み」として最も多く挙げられたのは、「部下のやる気を引き出す力」
自分の上司の「強み」と「弱み」を感じる項目を3つ挙げてもらい、その「強み」とされた割合から「弱み」の割合を引いたものがである。
赤の部分が「弱み」が「強み」を上回る部分、いわばウィークポイントといえる。「部下のやる気の引き出す力」マイナス15.5ポイント、「部下を指導・育成していく力」マイナス12.8ポイントが、他の項目を大きく引き離している。
一方、強みの傾向としては、「交渉力(説得力)」11.6ポイント、「(業務に関する)高度な知識・スキル」「メンタルタフネス(精神的な強さ)」ともに9.5ポイントが挙げられている。この結果から全体的な傾向として、業務を遂行していくうえでのスキルや管理能力は、「強み」と認識されている一方で、業務上の判断能力や部下を育成したり、やる気を引き出したりといった、部下と深く関わっていく力については、弱みと受け止められていることが分かる。
■ 理想の上司は、男性がタモリさん、女性は天海祐希さん
モチベーションを上げて仕事をしていくためにも、上司がどんなタイプかは重要な要素となる。今回、ビジネスパーソンに理想とする上司のタイプを各界の有名人に例えて、男性上司・女性上司別に聞いてみた。
(1) 男性上司編
男性の上司のトップは、大物司会者として数多くのヒット番組を支えるタモリさんタイプで21.6%の回答を集めた。日ごろテレビ等で見かける、“部下を頭ごなしに叱ることはなく、どんな相手とも友好な関係性を築く調整役”という上司像が、現在の職場にフィットするようだ。
このほか上位に挙げられたタイプを見ると、2位に“出しゃばることなく、穏やかに、堅実にデータを取り扱う職人肌の分析家”である、ニュース解説者の池上 彰さんタイプで15.7%。3位には、“与えられた職務に応じてベストな行動をするが、飲み会の席では常に本音ベースのトークを展開”する俳優の唐沢寿明さんタイプ(10.4%)となっている。そして、“寡黙に自分の仕事を進めるが、時折発するウィットの効いた冗談で部署の空気もつかむ”俳優の阿部寛さんタイプ(8.6%)と続く。
いずれのタイプも、自分の職務をしっかり全うしたうえで、それぞれのスタンスで部下との関係性を築くタイプであることが目を引く。
職場で求められる上司の要件が、強烈なリーダーシップを発揮して部下を引っ張っていくタイプからずいぶん変化してきていることが分かる。
(2) 女性上司編
理想の女性上司の1位は、天海祐希さんタイプという結果になった。天海さんは、仕事をバリバリこなし、部下からの人望も厚いキャリアウーマンの鏡のようなイメージと同時に、時折、真顔でその場を和ます発言で、部下から突っ込まれることもありそうという二面性がある。デキる女である部分に加え、ちょっぴり“抜けてみえる”キャラに親しみを感じるようだ。
2位は、同率で麻木久仁子さんタイプと勝間和代さんタイプ。麻木さんは、クイズ番組での知的な様子や若手出演者への気配りから、理論家肌であり、若手社員でも気軽にコミュニケーションができるというイメージがあるようだ。一方、勝間さんは、自分の意見をはっきりと言う姿がお茶の間に浸透し、もし会社にいても、上司に正面からモノ申し、自己実現に向かって邁進するパワフルなキャリアウーマンととらえられている様子だ。
この結果から、ビジネスパーソンが求める女性上司像としては、まず、「仕事ができる」「バリバリこなす」ところが不可欠であり、加えて、天海さんのように周囲を和ます雰囲気や場作り、麻木さんのように若手でも気軽にコミュニケーションができそうという「親しみやすさ」が大切ということが分かる。
調査名 : ビジネスパーソンの生活スタイルと仕事力に関するアンケート
調査方法 : 株式会社マクロミルのモニター(25〜59歳のビジネスパーソン)を対象にインターネットで調査
調査期間 : 2010年7月21〜22日
サンプル数:412サンプル(男性272サンプル、女性140サンプル)
財団法人 労務行政研究所 https://www.rosei.or.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・9月9日