人材ビジネス市場に関する調査を実施(2025年)
2024年度の人材関連ビジネス主要3業界市場は前年度比3.4%増の9兆7,962億円
~人材獲得需要の高まりや人材派遣単価の上昇等を背景に市場が拡大~
株式会社矢野経済研究所は、国内人材ビジネス市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2024年度の人材関連ビジネス主要3業界(人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.4%増の9兆7,962億円であった。内訳は、人材派遣業市場が9兆3,220億円(前年度比3.0%増)、ホワイトカラー職種の人材紹介業市場が4,490億円(同12.0%増)、再就職支援業市場が252億円(同2.4%増)となった。
人材派遣業市場は、労働力不足が継続する状況下で企業からのサービス需要が高く、また多くの人材派遣事業者が派遣スタッフの賃上げに対応すべく派遣料金の引き上げにも取り組んだことで派遣単価が上昇し、市場は順調に拡大した。一方で、人材獲得競争の激化に伴う派遣スタッフ獲得コストの上昇等といった要素は市場の成長を阻害する要因となっている。
ホワイトカラー職種の人材紹介業市場は、ミドルシニア層人材や専門職人材(ITエンジニア等)など、1件あたりの紹介料が高いハイクラス人材(管理職層の人材や高い専門スキルを有する人材等)の獲得に向けたサービス利用が活況となり、市場規模はプラス成長を続けた。
再就職支援業市場は、人手不足感が強まる状況下でも、産業構造の変化に合わせた長期的な事業戦略のもと、組織強化を目的とした雇用調整などの構造改革を行う企業が増加したことでサービス需要が高まり、市場規模も拡大した。
2.注目トピック
AIの発達に伴いサービスの価値向上が進む人材ビジネス市場 人材ビジネス市場に参入している事業者において、生成AIをはじめとするデジタル技術を活用した機能・サービスの事例が多数見受けられる。
これまで、人材ビジネス事業者によるサービス提供事例としては、求職者や派遣スタッフ向けに生成AIが職務経歴やプロフィールの作成をサポートするものなど、文章生成を基本としたものが多かった。直近では、AIが求職者の模擬面接を行い改善点等をフィードバックするサービスや、派遣スタッフと派遣先を定性情報(社風や文化など)でマッチングさせるAIの導入などが提供されており、デジタル技術の活用領域が拡大している。
事業者間の差別化が困難な人材ビジネス市場において、デジタル技術の活用は新たな優位性を生み出す契機となることが見込まれ、今後も人材ビジネス事業者各社においてはサービスの提供価値向上に向けたデジタル技術の活用が続くものとみられる。
3.将来展望
2025年度の人材関連ビジネス主要3業界(人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.1%増の10兆955億円の見込みである。2025年度は継続する人手不足を背景に、人材派遣業とホワイトカラー職種の人材紹介業の成長が市場を牽引する形となり、10兆円を上回ると見込む。
調査概要
調査期間: 2025年6月~9月
調査対象: オフィスワークを中心とした人材派遣事業者、ホワイトカラー職種を中心とした人材紹介事業者、再就職支援事業者
調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、郵送によるアンケート、電話・e-mailによるヒアリング、文献調査併用
<人材関連ビジネス主要3業界市場とは>
本調査における人材関連ビジネス主要3業界市場とは、①人材派遣業市場、②ホワイトカラー職種(事務系、営業系、管理系、IT系などの職種)の人材紹介業市場、③再就職支援業市場を対象とする。なお、人材派遣業の2023年度までのデータは、厚生労働省「労働者派遣事業報告書(一般労働者派遣事業の売上高)」データより引用している。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社矢野経済研究所 /10月24日発表・同社プレスリリースより転載)
- 参考になった0
- 共感できる0
- 実践したい0
- 考えさせられる0
- 理解しやすい0
無料会員登録
記事のオススメには『日本の人事部』への会員登録が必要です。