フジスタッフ、育児中女性の時短勤務のため「育児サポート派遣」を提案
総合人材サービス会社のフジスタッフ(東京都千代田区、増山律子・代表取締役社長)は、2004年10月より育児中女性の社会復帰支援事業「ff-womanプロジェクト」(※)を推進してきましたが、この度、「女性が育児と仕事を両立するうえで困難に思うことは何か」など育児中女性の就業についての意識や、現状を把握するために当社の託児サービス付親子登録会に登録したスタッフにアンケート(2006年10月1日〜12月31日)を実施しました。
同アンケート発表会ではアンケート発表とともに、既婚女性の就業率UPのための具体策として、育児中女性の時短勤務がより社会に広がるように、「育児サポート派遣」を提案いたしました。
人口減に伴う労働力減に対応するために政府の経済財政諮問会議・労働市場改革専門調査会は2007年4月6日、「働き方を変える、日本を変える」と題した「ワークライフバランス憲章」の策定を提言しました。その中で、10年後の2007年の既婚女性(25〜44歳)の就業率を現在の57%から71%に引き上げる目標値を設定しています。
しかしながら、現在の女性の就労形態は、「結婚・妊娠・出産・育児」を機に、7割の人が退職し、育児休業後も就労を継続する人はわずか28%となっております。このような現状の中で既婚女性の就業率71%の数字を達成するためには、現在7割いる、いったん家庭に入った女性を再び職場に呼び戻すこと、また女性正社員の出産後の継続就労率を高めていくことが求められています。
そこで弊社では、育児中の女性正社員が、9時〜15時(例)の時短勤務が可能になるように、その社員の仕事を引き継ぎ、15時〜20時(例)に就労する「育児サポート派遣」を提案いたします。弊社に派遣登録している育児中の女性の約6割が短時間勤務を希望していますが、「育児サポート派遣」が実現すれば、短時間勤務の育児中女性派遣スタッフとペア派遣として組み合わせていくことも可能になり、既婚女性の就業率をより高めることになります。
【 アンケート調査実施 】
弊社では、実際に「育児サポート派遣」として働ける人たちがどのくらいにいるのか、また実際に企業にニーズはあるのかを明らかにするためにアンケート調査を実施いたしました。
■ 派遣で働くことに興味をもつ約7割がシェア派遣に関心
現在派遣スタッフで働いている。もしくは業務経験が3年以上あり、派遣スタッフとして働くことに興味がある300人に、9時〜15時、もしくは15時〜20時まで働く「シェア派遣に興味がありますか」と質問したところ、全体で約7割の人がシェア派遣に関心をもっていることが分かりました。その中でも「育児サポート派遣」に相当する15時〜20時の勤務に関心のある方(6.7%)は、時間帯にこだわりがないがある(38%)を加えると、4割を超えます。また7割のシェア派遣に関心のある人に「給与が何割増しならば15時〜20時の勤務を希望しますか」と質問したところ、33.6%が3割増、28.4%が2割増、14.9%が5割を希望することが分かりました。
■ 主婦の8割がシェア派遣に興味
また、ホワイトカラー業務の経験が3年以上ある、専業主婦(パート就労者も含む)の女性に、同じ質問をしたところ、全体の約8割の人がシェア派遣に関心をもっていることが分かりました。専業主婦の女性の場合、やはり9時〜15時に関心がある人が57.7%と圧倒的に多く、「育児サポート派遣」ができる人(15時〜20時の勤務)に、時間帯にこだわりはないがあるという人を含めても2割しかいないことが分かりました。給与の割増希望については、40.8%が2割増、28.6%が3割増、12.2%がそのままでよいと答えています。
■ 企業側もシェア派遣を6割が関心、スタッフ側と求める待遇、業務内容に差異も
実際に「育児サポート派遣」を活用する側の企業の経営層、または人事担当者150人に「シェア派遣」についてアンケートを取ってみると、約6割の人が関心をもっていることが分かりました。また、「15時〜20時の夕方派遣を利用する場合、給与が割高になっても検討しますか」の問いに、37.7%が「いいえ」と、24.6%が1割増、21.3%が2割増と答えており、シェア派遣で働くことに関心がある人が期待する待遇に比べ、実際に給与を支払う側の考えは低いことが分かります。
また、「時間帯によっての労働力ニーズ」は、正社員の時短勤務があまり進んでいない現状では、「時間帯によってあまり変わらない」が40.4%と一番多く、次いで9時〜15時のニーズが31.5%、15時〜20時のニーズが28.1%となっております。「どの業務で労働力不足を感じていますか」の問いには、営業が30.5%、マネジメント21.9%、事務職19.8%となっており、派遣で働いている、派遣で働くことに興味がある人の58.3%、また専業主婦の女性の63.2%が希望する事務職は、全体の約2割であることが分かりました。
以上のデータから、待遇面、業務内容に関して企業側と潜在スタッフ層の「育児サポート派遣」に対するニーズの差はあるものの、昨今の景気回復による労働力不足、今後の少子高齢化による人口減のトレンドをふまえ、優秀な女性社員をつなぎとめるために、育児中女性正社員の時短勤務を認める企業が増えると想定すれば、「育児サポート派遣」導入が広がる可能性は高くなると考えられます。
■ 約32兆円の経済効果
社会保障、人口問題、労働雇用が専門で、国内でも有数の少子化対策の専門家として、内閣府の「少子化社会対策推進会議」委員も務める富士通総研経済研究所主任研究員の渥美由喜氏に、アンケート結果をもとに、将来シミュレーションをしてもらいました。
渥美氏は、
○ 今後、労働需給が逼迫していく中で、「スキルの高い」元主婦の派遣を企業は奪い合うようになる。
○ 特に、15時〜20時に就労する高スキル・高収入の「育児サポート派遣」に対する潜在的な企業ニーズは60万人いる一方で、労働力の供給は18万人程度しかいないと見込まれる。
○ 今後、育児サポート派遣の拡充により今後10年間で女性の就労継続率71%が実現した場合、新たに約69万人の女性の雇用機会を創出する。
○ これは、約32兆円の経済効果がある(GDPを年率0.53%程度押上げる効果に相当)。
と述べています。
◆ 「ff-womanプロジェクト」とは
ff-womanは、育児中女性の悩みや不安を解消し、社会復帰の支援をしていくプロジェクトとしてスタート。業界初の「託児サービス付き派遣登録会」開催の他、認可外保育料補助金制度、提携託児サービス、ベビーシッター割引制度などさまざまなサポートを行っており、当社の育児中派遣スタッフ数は、2007年3月末時点で3,000人となっています。
(専用サイト http://www.ff-woman.com/ )
(フジスタッフ http://www.fujistaff.co.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・6月12日)