がん治療と仕事 企業にできる両立支援とは
がんの早期発見の進展、医療の大きな進化などにより、がん生存率が上昇。企業にとって、従業員のがん治療と仕事の両立をいかに支援していくかが重要な課題となっている。
ベネッセコーポレーションでは、人事に専門の相談デスクを設置。休職から復職まで決まった担当者が対応し、産業医や上司らと連携して一貫したフォローを行っている。治療のための休暇や休憩時間に関する制度を充実させている企業も多い。大和証券は、副作用や急な痛みが出たときや、複数回に分けた食事が必要なときなどに使える「治療サポート時間(最大60分)」を用意(東京都福祉保健局より)。田辺三菱製薬では、時短勤務と治療休暇(1ヵ月に5日間)を併用できる制度を整えた。運用にあたっては、当事者と上司が月に一度相談しながら月単位で勤務形態を検討している。
国立がん研究センターがん対策情報センターなどの調査によると、「現在の日本社会では、働きたいと思うがん患者を受け入れる職場環境になっている」という問いに対して、「非常にそう思う」(1.3%)、「まあそう思う」(22.6%)という回答が合わせて23.9%。がん患者が安心して働ける職場環境の整備はまだ不十分であることがわかる。がんにり患した社員が働き続けられることは、人手不足を補うだけでなく、職場のダイバーシティも担保する。定年延長などで長く働く人も増えるなか、がん治療と仕事を両立させる施策はさらに重要になってくるだろう。
(『日本の人事部』編集部)