「個人情報保護法」対応済み企業は34%
アビームコンサルティングが調査を実施
大手コンサルティングのアビームコンサルティング(東京都千代田区、西岡一正・代表取締役社長)は、個人情報保護法への企業の対策の実態を調査するために、法施行3カ月前にあたる2005年1月、個人情報取扱事業者となる企業を対象に、詳細なアンケートを実施し121社から有効回答を得ました。
個人情報保護に関する基本方針においては (1)社内規程の作成(2)組織での責任体制(3)従業員教育の3点が重要項目として挙げられていますが、これらすべてに対応している企業はわずか34%にとどまり、6割以上の企業の対応はいまだ不十分であることがわかりました。項目別に見ると(1)社内規定の策定に関して「作成中」「なし」とした企業は51%(2)組織での責任部署の設置状況について「検討中」とする企業は32%(3)社員教育に関しては57%の企業が実施していないことがわかりました。
2004年1月から2005年1月までに発生した過去の漏えい事件を見ても、顧客の申込書などの紙媒体によって情報が漏えいした事件は3割強を占めていますが、今回の調査でもこれを裏付ける結果が出ています。取り組みの進んでいる企業のうち、漏えい経験のある企業とない企業を比較すると、漏えい経験のある企業は、紙媒体への対応など物理的対策にとくに注力していることがわかりました。また、すべての経験済み企業が「キャビネ施錠」を必須対策としていることが明らかになりました。新たな紙媒体の増加防止を目的とした「ペーパーレス化」でも、未経験企業が14%しか実施していないのに比べて、経験済み企業の62%が実施しています。同じく「印刷制限」も未経験企業の21%に対して、経験済み企業は46%が対応しています。
業種別に個人情報保護法への対応の進捗度合いをみると、情報サービス業が偏差値55.7と最も対策が進んでいます。他の業種と比べて、とくに外部委託先に対する管理や、チェック機能、および社員教育に関しての対策に注力しています。また、次点の金融業も業界偏差値50で、全体的に見るとどの項目でも一定の水準を保っていますが、偏差値60以上の先進企業がある一方で、50以下の対策が遅れている企業も存在し、業界としてばらつきがあることがわかりました。小売業、不動産業では全般的に対応が進んでいないことが判明しました。とくに重点項目の一つである社員教育において遅れが顕著です。
個人情報保護法への対応推進を阻む最大の課題として、多くの企業が時間と直接経費を挙げています。組織・規程作成、現状把握、社員教育においては約60%から75%の企業が時間不足を、また、IT対応、物理的対応、チェック機能の分野で約70%から85%の企業が直接経費を最大の課題として挙げています。さらに危機管理、委託先管理、組織・規程作成の分野では、約50%から70%の企業が阻害要因としてノウハウ不足を挙げています。
詳細はこちらまで。http://www.abeam.com/jp/aboutus/pr2005.html
(アビームコンサルティング http://www.abeam.com/jp//同社プレスリリースより抜粋・2月25日)