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【ヨミ】ナッジ ナッジ

「ナッジ(nudge)」とは、直訳すると「ひじで軽く突く」という意味。行動経済学などで使われる用語で、ちょっとしたきっかけを与えることで消費者に行動を促す手法のことを指します。最近では、行動科学分野にとどまらず、政府や自治体などの取り組みでも使われ始めています。人は選択肢を与えられることにより、自分で選んだという意識が芽生えます。ルールで強制されるのではなく、望ましい行動をするよう、誘導する際に有効な手法とされています。
(2018/6/28掲載)
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ナッジのケーススタディ

ちょっとしたきっかけで行動変容
販促のみならず人事領域にも応用を

アムステルダムのスキポール空港の男性トイレの便器には、小さなハエが描かれています。清掃員の人件費削減のため、使用者に「確実に的を当てる」ことを誘導した事例です。これはナッジの中でも最も有名な成功事例だといわれています。

ナッジは、生活の中のさまざまなシーンに隠れています。レストランのメニューで「本日のオススメ」と書かれていたり、コンビニのレジの前には足跡マークが付けられていたり。ネットショッピングをするときなどに、メールマガジンの登録欄にあらかじめチェックボックスが入っており、不要な人はチェックボックスを外すというやり方も、ナッジを活用したものです。選択の余地を残しながらも、消費者を特定の選択肢に誘導すれば、消費者は自発的に選択した感覚があるため、商品やサービスの体験を損ねません。

海外では、行政や公共事業でもナッジが活用され始めています。国民に、自らの意思で公共の利益につながる選択を促しているのです。英国では2010年に内閣府の下に、また米国では2015年に大統領府内にナッジを政策に応用するための専門チームが設立され、公共政策での活用を推進しています。

イギリスでは、納税通知書に同じ地域に住む住民の納税率を記載。その納税率を見た滞納者の義務履行意識が高まり、地域全体の滞納率が減少したそうです。この結果を踏まえ、ナッジを用いたメッセージを納税通知書に記載することが2012年に決定し、年間およそ2億ポンドの税収の増加を実現しています。

人々の行動変容を促すナッジは、公共政策だけでなく、人事領域にも生かすことができるはずです。長時間労働をしなくなるような仕組みや、企業に対する意見を率直に発言できるようにする仕組みなどができれば、多くの企業で活用できるでしょう。ナッジには、「デフォルト設定(取ってほしい選択肢をあらかじめ初期設定として用意することで、その選択肢を選んでもらいやすくする)」や「インセンティブ(何らかの報酬を用意することで、行動を促す)」といった基本的なテクニックがあるため、それをもとに仕組みを考えることもできそうです。一方で、ナッジは個人の選択に対し、無意識のうちに先入観を与えてしまうこともあります。倫理や社会利益に反しない用途に限るよう、設計側の配慮も求められるでしょう。

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