【ヨミ】ジーガタダイガク エルガタダイガク G型大学・L型大学

「G型大学・L型大学」とは、それぞれグローバル(Global)型、ローカル(Local)型の大学という意味で、2014年10月に開かれた文部科学省有識者会議において、経営共創基盤CEOで経営コンサルタントの冨山和彦氏が提言した新しい大学教育のあり方を示す言葉です。提言では、日本の大学をごく一部のトップ大学・学部に限定したG型と、その他の大多数の大学・学部からなるL型に二分。前者では、グローバルで通用するきわめて高度なプロフェッショナル人材の輩出を、後者では、地域経済の生産性向上に資するスキル保持者の養成を目的とする――としています。日本の大学の大半を実質的に“職業訓練校”として位置付ける内容だけに、提言は賛否両論を呼んでいます。
(2015/4/22掲載)
 

G型大学・L型大学のケーススタディ

限られたトップ校以外は職業教育訓練校に
地域経済の生産性底上げには実学が不可欠

産業再生機構COOを務めた経験をもち、疲弊した地方経済や中小企業の実態にもくわしい冨山氏が「G型大学・L型大学」構想を提言した背景にあるのは、日本の産業構造の実態と、それに対応しきれていない大学教育に対する厳しい現状認識です。

冨山氏によると、日本経済には、経済特性や産業構造が大きく異なる二つの“世界”=経済圏があるといいます。一つは厳しいグローバル競争を戦う、大企業と製造業が中心の「Gの世界」(グローバル経済圏)。もう一つは地域密着型の域内競争が基本で、中堅・中小企業とサービス産業が中心の「Lの世界」(ローカル経済圏)です。問題は、雇用がGでは長期的に漸減傾向であるのに対し、Lでは増加傾向で労働力不足が深刻化していること。大企業に勤める人の比率は過去20年間減少し、いまや10%台しかありません。圧倒的多数を占める地域密着型の労働者の労働生産性≒賃金を上げて、Lの労働力不足を解消しなければ、日本経済全体の底上げは難しい。そのために、一部のトップ大学・学部以外はL型大学と位置づけ、スキルアップに資する職業訓練的な教育内容に大転換すべきというのが冨山氏の主張です。

具体的なL型大学のカリキュラムとしては、たとえば経済・経営学部では、マイケル・ポーターなどの難しい経済理論ではなく、会計の基礎知識や弥生会計などの会計ソフトの取り扱いを。法学部では、憲法や刑法より道路交通法を学び、大型第二種免許・大型特殊第二種免許の取得を。工学部では、機械工学や流体力学ではなく、トヨタで使われている最新鋭の工作機械の取り扱いを学ぶ、といったことを想定しています。教員も民間企業の実務経験者から選抜して充てるなど、L型では学問より“実践力”を養う教育を実施するのがねらいです。

この「G型大学・L型大学」の構想は、アカデミズム一辺倒で、事実上、偏差値でしか差別化できない日本の大学教育に、“実学”という新しいラインを打ち立てるという主張ですから、当然、アカデミズムの側からは発表以来、激しい反発が寄せられました。曰く「GとLでカリキュラムを分離することは階層の固定化につながる」「実利ばかりが優先されて教養が軽視される」。一方で、産業界を中心に「社会に出て役立つ実学こそが求められている」という肯定意見も少なくありません。冨山氏自身も、提言への批判に対し、「日本の大学教育が、平均的な学歴で社会へ出て行く大多数の人たちにとって何の役にも立たないというのがそもそもの問題。中堅・中小企業で働くことの現実と、大学が教える内容とはまったく合っていない」と反論しています(「週刊東洋経済」1月31日号)。労働人材をめぐる日本人の価値観や企業戦略に今後どのような影響を及ぼすか、G型L型論争の展開から目が離せません。

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