【ヨミ】オワハラ おわハラ
「おわハラ」とは、「就活終われハラスメント」を略した新語で、企業の人事担当者が就職活動中の学生に対し、他社への就活を終わらせて、自社への入社を決断するように強要したり、嫌がらせをしたりする行為を指します。2015年の採用活動では経団連の指針変更により、採用・選考時期が大幅に後ろ倒しされるため、指針を守る義務のない経団連非加盟の中小・ベンチャー企業などが優秀な人材を大企業よりも早く囲い込もうとして、「おわハラ」に走る可能性が懸念されています。
(2015/4/8掲載)
おわハラのケーススタディ
「内定が欲しいなら他社を断れ」――
就活後ろ倒しで学生の囲い込みが激化
2016年3月卒業の学生を対象とする採用活動が、先月1日に“解禁”されました。求人数が回復し、売り手市場の傾向が鮮明になる中、企業が学生に対して「うちの内定が欲しければ就活を終了しろ」などと脅したり、他社への応募を妨害したりする行為が問題になっています。そうした行為は、学生から職業選択の機会を奪いかねないハラスメント(嫌がらせ)だとして、「おわハラ」(就活終われハラスメント)という新しい言葉まで作られました。
背景にあるのは、経団連の「採用選考に関する指針」の変更による、採用活動の大幅な後ろ倒しです。例年では、大学3年の12月から企業の広報活動が始まり、4年の4月に面接が解禁、10月に内定式というスケジュールでしたが、今年の16年卒からは、大学3年の3月に広報を開始し、4年の8月に面接解禁、10月に内定式となります。面接の時期が4ヵ月も繰り下げられたので、実質的な採用活動は“短期決戦”に変わりました。
しかし、こうした変更に拘束されるのは、大手を中心に経団連に加盟する企業約1300社です。加盟していない中堅・中小企業やベンチャー企業、外資系に、この後ろ倒しのスケジュールを遵守する義務はありません。非加盟企業の多くは、指針に縛られる加盟企業を尻目に、いち早く接触し内定を出そうとするでしょう。せっかく良い人材を確保しても、囲い込んでおかないと、後から選考する大手企業に取られかねない――そういう意識から「おわハラ」にエスカレートするのではないかと懸念されているのです。
報道などによると、おわハラの“手口”には先述のように、内定をちらつかせて他社を辞退するよう強迫するパターンや、他社の選考に行かせないように、毎日のように面接の日程を入れるなどして妨害するパターン、あるいは内定を辞退しようとした学生を脅して入社を迫るパターンなどがあるといいます。
もちろん、内定者や内々定者のフォローは欠かせません。同じ“囲い込む”にしても、無理に拘束するのではなく、内定者限定のSNSの活用や先輩社員との交流の場を設けるなどして、入社したいという気持ちを高める戦略をとるべきでしょう。