リベラルアーツ
リベラルアーツとは?
「リベラルアーツ」とは、人間性を豊かにはぐくむ幅広い知識や物事を深く専門的に追求する上で土台となる基礎的学問の総体、あるいはそれを身につけるための教育手法を指す言葉です。日本語では、一般に教養と訳されます。リベラルアーツの原義は“人を自由にする学問”。もともと古代ギリシアで奴隷と一線を画す市民を育成するための学問として発祥し、その後、言語系3学(文法・論理・修辞)と、数学系4学(算術・幾何・天文・音楽)から成る「自由7科」(セブンリベラルアーツ)として確立、普及しました。リベラルアーツは人としての根幹をつくる学びであり、近年は人材開発の一環として、とくにリーダー育成のための研修などに取り入れる企業が増えています。
グローバル人材に不可欠な人間力を磨く
経営・管理職の8割が学ぶ必要性を認識
古代ギリシアに起源をもつ「リベラルアーツ」の概念は中世のヨーロッパを経て、近代以降、アメリカに継承されました。アメリカには、リベラルアーツ教育に特化した「リベラルアーツ・カレッジ」とよばれる4年制大学があります。数千人程度の小規模校が多く、少人数制の授業によって基礎的な教養と論理的思考力を徹底して習得することに、重点を置いているのが特徴です。リベラルアーツ・カレッジの卒業者数はアメリカの大学卒業者全体の3%にすぎませんが、ある調査によると、全米の企業の最高経営責任者(CEO)の8%がリベラルアーツ・カレッジの出身者であり、アメリカ大統領に至っては、じつにその2割近くを輩出しているといいます。
リベラルアーツを身につけることが、グローバル人材や次世代リーダーに必須の条件であるという認識は、日本企業にも広がりつつあります。リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所が2014年6月に実施した「経営職・管理職のリベラルアーツ実態調査」によると、従業員500名以上の企業に所属する部長以上の経営職・管理職で、リベラルアーツについて聞いたことがあるという人に、「経営職、管理職で成果をあげる上でリベラルアーツは必要か」を尋ねたところ、「必ず必要だと思う」(14.5%)、 「必要だと思う」(35.1%)、「どちらかといえば必要だと思う」(32.8%)をあわせて、全体の8割強が必要と答えています。
グローバル人材というと、「語学に堪能」「海外経験が豊富」などのイメージが先行しがちですが、多くのトップリーダーが異口同音に指摘するのは、最後にモノを言うのは、人柄も含めた本人の“人間力”だということでしょう。厳しいグローバル競争の現場では、会社の看板や組織の肩書よりも、ときには商品やサービスの品質よりも、一人のビジネスパーソンとしての“個”の資質が問われるからです。リベラルアーツはその個を確立するための教育として、いつの時代も重視されてきました。
また、リーダーであれば、チーム全体に進むべき方向性を明示し、その上で各メンバーとのコミュニケーションや、外部との交渉・折衝を円滑に進めなければなりません。そのためには、論理的な思考力や多様なものの考え方ができる客観性、視野の広さが必須だといわれます。こうした力は一朝一夕で身につくものではないでしょう。リベラルアーツを学ぶことが遠回りのように見えて、じつは最も近道なのかもしれません。
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